小学生編 その4

 後がない僕達が勝つにはこれしかない。H君は多分負けてしまうだろう。それなら、少しでもA君を疲れさせる方法をとる。
  “相手のコートに入らなくてもいいから、とにかく思い切り打ち返そう!”

 なんか聞こえは良いが、はっきり言って、球を取りに行くことによって体力を奪おうという作戦。我ながらあまりの計算高さに嫌気がさしましたが、それはそれ。H君頼むよ!

(あ、負けてる・・・・・思い切り打つどころか当たってないじゃん。もう、どうしよう。次は誰だっけ??!Tちゃん!!これはダメだ。けどかわいい。いかんいかん。)

“Tちゃん。負けてもいいから思い切り行こう!”
“うん。でも負けるつもりではやらないよ。”

(・・・・なんていい子なんだ。がんばれTちゃん)

 僕はアイドルのファンのようです。試合が始まりましたが、A君はTちゃんからどんどん点を奪います。

“そ、そこ。あ、あ!だめだよ・・・・もう。” 注:いやらしい声じゃありません

 劣勢を強いられている戦いに、僕のファン心理はいつしか消えさり、苛立ちがこみ上げてきました。
   (Tちゃんがんばれ。あ、でもなんでそれ取れないの?)
   (サーブぐらい入れようよ。)
と、心の中で呟いていた言葉が公の場に出てしまった。

utti “ちゃんとやろうよ!”
T  “・・・・ちゃんと、やってるよ・・・・”
utti “もういいよ、交代しよう。次は俺だから。”
T  そんな・・・・・・(怒)わかりました、はい!”

と、ボールを手渡されたその感触には、はっきりと『怒!』がこもっていました。

(やっちゃった・・・・・)

 僕は今もそうなんですが、好きな人に優しくしようとしてもつい厳しくなったり、いじわるしてしまう傾向があります。常々反省しておりますが、初めてそういう自分に気付いたのでした。

A“早くやろうよ。”

A君自信に満ち溢れた声で挑発してきます。
  (許せん!)
僕は、悪いのは自分なのに勝手にA君を悪役にみたてて燃えていました。

“さあ、恋!じゃなかった。来い!”

to be continued........

この中に赤いゴムで髪を結んだTちゃんが!