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昔、次郎と云う大男がいた。その男、里人に田起をたのまれ一段の田を打起すことを引き受けて備中を肩に出て行ったが、小半日も過ぎると帰ってきた。里人は昼飯に帰ると思っていたが、更に出かける様子がないので、そのわけを尋ねると、すでに田は起し終わったと言ってすましているので、不思議に思った里人は田を見に行って驚いた。一段の田はすでに起こされていたが、しかし、土は田の真中に小山の様に寄せ集めてあった。これでは田植えもできないと平らにする様に話すと、たちまちにしてならしてしまった。
また、この大男、焼米を大変に好むので、ある人が彼に一升山盛の焼米を与えるとこれを両手を合せ受けたが、一升山盛も皆その手の中に入ってしまった。そして世間話をしている間に、その焼米を平らげてけろっとしていた。 この男大変信心深く、よく寺にお参りするが、いつも人々の後ろに座っていた。ある人そのわけを尋ねると、前に居ると自分はよいけれど、身体が大きいので後方の人のじゃまになるかと思うので、いつも後ろに座ると答えた。 |