昔、大平橋のたもと近くに弁天宮があった、その境内に大木の一本松があり、街道にも目立つものであった。ところが里に縁盛寺と云う寺があり、ある年、その御厨を改築する事になり、用材を広く求めていたが建物の力となる通し材として、この一本松を必要とした。何分これ程の名木を切倒すことは公にはばかられたが、幸に寺の同行衆に神谷某と云う庄屋を勉める者があり、その暗黙の許可を受け切り倒した。翌日その庄屋立ち出で、昨夜は大風が吹いたとみえる。あの大松が倒れている、として大風で倒れた事にして済ました。この大木をもって用材とす。 |