取り舵・面舵の意味が逆転したことについて

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  映画『タイタニック』の中で、「右前方に氷山!(Iceberg right ahead!)」という知らせを受けたマードックが、操舵手のヒッチンズに、"Hard a' starboard!"と命令するシーンがあります。劇場公開時は、この部分の字幕が「面舵いっぱい!」とありました。ここで、「?」と感じた方もおられたはずです。「船は氷山を避けて左(取り舵)に進んでるのに、何でセリフは"starboard(右)"で、字幕も面舵(右)なんだ?」と。
  これは結論から言いますと、原語のセリフは正解で、字幕が間違いです。次の表をご覧下さい。

  英国 日本の商船(日本式英語) 日本の海軍(自衛隊も含む)
1912年当時 starboard スターボード 取り舵
1939年以降 portside ポートサイド 取り舵

  以上のように,英語と日本式英語(商船業界の業界語)では意味が逆転していますが、ポピュラーな日本語である「取り舵」ならびに「面舵」の用法は、古来一貫しています。なお、英国で意味が逆転した時期は1931年前後だと思われます。

  ということは、ジェームズ・キャメロン監督は、時代考証通りに、"starboard"としたわけですが、字幕の方は1997年の段階での"starboard"の意味として「面舵」と間違って訳してしまったんですね。ですから、正しく字幕は、「取り舵」です。あるいは、「スターボード」とカタカナで書くべきです。

(参考:”MOVIEs(2001年現在存在しない)”<タイタニック掲示板>、1998.4.2付、プーのマキさんご発言より)