欲しかったのは「ロマンと希望」・・・タイタニック現象
世界53カ国で興行収入1位 |
支えたリピーター実に3割 |
産経新聞1998年5月21日付朝刊より。産経新聞の購読申し込みはこちら
一大ブームを巻き起こしたアメリカ映画「タイタニック」が、ついに興行収入で「もののけ姫」を抜き去った。世界53カ国で興行収入一位という一大記録を打ち立てた背景には、量産されつくした感のあるSFやアクション映画に飽きた観客が、この作品の持つ「ロマンと希望」に強く惹かれた、という事実があるようだ。
配給元の20世紀フォックス(極東)映画会社によると、昨年12月8日に日本に公開された「タイタニック」の興行収入は183億3500万円(98.5.17現在)。大ヒットの要因について、古沢利夫宣伝部長は「今、アメリカをはじめ、世界の観客たちの間には『ロマンと希望への回帰』という現象が起きている。この映画は、要は『タイタニック号の中で繰り広げられるロミオとジュリエット』。しかし、こうしたエピック(叙事詩的)ロマンは1965年の『ドクトル・ジバゴ』以来つくられていなかったので、観客に強く訴えたのではないか」と分析する。
しかし、公開前、日本の映画業界では、「タイタニック」の興行収入を「20億円以下」とする予測が大半だった。理由は、日本同時公開だったために事前の宣伝がしにくいことと、作品が3時間15分という長さであるため、映画館で最大でも1日3回しか上映できないことが不利に働くと思われたからだ。
古沢部長は「作品は素晴らしかったので、私自身は興行収入で50億円はいく、と思っていたが、『もののけ姫』を抜くとは想像もしなかった」と話す。
ところが公開されてみると、予想を超える反響を呼び起こす。通常、映画はどんなヒット作でも週を追うごとに観客動員数が下落していく。昨年7月に公開されて現在も一部映画館で上映中のアニメーション映画「もののけ姫」も、8週までは100万人以上を集めていたが、9週目に79万人、15週目には2万人台に落ち込んだ。しかし、「タイタニック」は15週を過ぎても毎週80万人以上の観客を集め続けた。特に大阪市北区の北野劇場では、興行収入が最終的には9億5千万円に達する見込みで、「一作品での興行収入で、おそらくギネスブックに載るのではないか」(古沢部長)という。
また、同社が東京都千代田区の日本劇場で調査した結果では「タイタニック」の観客の30%が、二度三度と映画館に足を運ぶ「リピーター」だった。通常、リピーターの割合は2%といわれており、いかに「タイタニック」が観客を惹きつけたかが分かる。
古沢部長は「アメリカの歴代興行収入十傑を見ると、SFとアクションだけで、過去を題材にしたものは一つもないし、観客を泣かせてヒットしたのは『E・T』と『フォレスト・ガンプ/一期一会』だけ。『タイニック』が成し遂げたのは、まさに偉業といえるのではないか」としている。
同社では今年7月以降も単館上映を続ける予定。当分「タイタニック」は順風満帆な航海を続けそうだ。
予想を超える大ヒット |
観客はSF、アクションに食傷気味? |