GLASGOW (1)


知る限りで一番好きな街。

イングランドからの列車は、ロンドン・キングスクロス駅を出発し東海岸を経てエディンバラに至るものと、ユーストン駅から西側を辿ってグラスゴー・セントラル駅に到着するものに大きく分かれます。 なんとも残念なことに写真を撮り忘れてしまったのですが、グラスゴー・セントラル駅は古めかしい大きなドームに覆われた趣のある駅です。
グラスゴーには2つのターミナル駅があり、もう一つはスコットランド国内への列車が発着するクイーン・ストリート駅です。 こちらはセントラル駅と比べると日常的な駅で、朝の通勤時間帯ともなると結構混んでいて立っている乗客も見かけます。
クイーン・ストリート駅からグラスゴーの目抜き通りであるブキャナン(Buchanan)通りやソキホール(Sauchiehall)通りへは目と鼻の先。 駅の南側に出るとそこはジョージ・スクエア(Geroge Square)でちょっとした公園になっています。 ベンチとハトと銅像がいっぱいあって、晴れた日に新聞でも読みながらゴロゴロするのにはもってこいの場所です。 ゴロゴロするのに飽きたらショッピング街を冷やかすのもまた楽し。


Glasgow University from Kelvingrove Park

グラスゴーの魅力はそこに住む人々にあるのではと思います。 エディンバラが政治の中心であるとしたら、グラスゴーは経済の中心です。 そして今情報発信や芸術の中心となるべく頑張っています。
もともとグラスゴーは鉄鋼と造船業で栄えた街です。 街の建物も表面がすすけているものが多く、重工業が盛んだった頃の面影をそこに見ることができます。 (もっとも最近は黒ずんだ建物を洗って白くしているらしいですが)
2枚目の写真は、グラスゴー市の紋章にも使われている「指輪をくわえた鮭」を意匠に用いた街灯です。 この写真の聖堂の左右に見えてるのがそう(見えにくくてごめんなさい)。

 
Glasgow Cathedral / Salmon(A legend of St. Mungo) [click]


グラスゴーはまたマッキントッシュの街でもあります。 アールヌーボーを代表する建築家・インテリアデザイナーであるマッキントッシュによるモチーフを、建物のデザインからおみやげ物まであちこちに見ることができます。 彼の代表作品のひとつに数えらていれるWillow Tea RoomはSauchiehall Streetにあります。 同じく彼のデザインによるティールームが復元され、数年前にBuchanan Streetにオープンしました。

グラスゴーでティールームが発達したのは禁酒を勧める意味があったそうです。 パブで飲んだくれて次の日仕事にならないのは雇い主にも奥さんにも困ったもの。 なにせ稼ぎをすっかり飲んでしまうということも珍しくなかったらしい。 そんな自堕落な行いは産業革命以後生まれてきた倫理観やヴィクトリア時代の精神にも反する。 薄暗く不健康なパブで飲んだくれるよりも、明るく綺麗なティールームで頭をすっきりさせるお茶を…という理屈。 今の印象とは裏腹に、イングランドではお茶は家庭で飲むものでティールームは発達せず、逆にグラスゴーでは上のような理由でティールームが大いに流行り、当時の婦人達にとって安心して入ることのできる数少ない娯楽の場所だったそうです。


聖ケンティガーンとクライド川の鮭の伝説

St. Kentigern(別名St.Mungo)はグラスゴーの守護聖人。 6世紀頃、スコットランドが多くの部族によって支配されていて戦いを繰り返していた時代のお話。 ある日のこと、王妃ラングリスがお気に入りの騎士に指輪を与えた。 それが自分のものならよかったが、王から送られた印章つき指輪だったことが騒動の元。 その指輪が王妃の指ではなく騎士の指にはまっているのに気づいた王は、狩の途中で騎士から指輪を取り上げクライド川に投げ捨てた。 そして王妃には次の宴にその指輪をはめるようにいいつける。 窮地に陥った王妃は、聖ケンティガーンに指輪を取り戻して欲しいと懇願した。 王と王妃の諍いは王国の危機と判断した聖人は、日頃の王妃の信仰心の篤さに免じ、鮭に命じて川の中の指輪を無事探しださせた。 …とまあ、こんな伝説なのですよ。
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