10月7日(土) ロンドン→10月8日(日) 関空(大阪)
この日はあいにくの雨だが気合いは充分。なにせ今日はポートベロマーケットのデビューなのだ。私の目標はズバリ光り物。シルバーで彫金の入ったものしかし石はなし、というアクセサリーがターゲットである。
MAMEDAさんとパディントン駅で待ち合わせ。Notting Hill Gate駅から行くの人が多いそうだが、さすがジモティーのMAMEDAさん、ちょうどマーケットの順路を逆行するようLadbroke Grove(こんな名前のBetting Shopがあったような…)駅から行くという。すっかり綺麗になったパディントン駅の奥の方にある地下鉄駅(でも地上駅)に向かう。
切符売場で男の人が自販機と格闘していた。一生懸命お札を入れようとしているのだが機械は受け付けてくれない。後ろで機械の上にある説明書きを読みながら待っていた私たち。私たちに気づいた男の人は「壊れてるんだよ」と言いたげな表情で振り返った。しかし説明書きをちゃんと読んだ私たちは知っていた。壊れているのは機械でなく男の人の方であることを。説明書きには「先にボタンを押してからお金を入れてね」と書いてある。しかしその男の人はちゃんとボタンを押さずにお金を入れようとしていたのだ。諦めて順番を譲ってくれようとした男の人にMAMEDAさんが「正しい切符の買い方」を指導。無事切符を買ってめでたしめでたし。
今日はあいにくの雨で、傘をさしているので品物が見づらい。気を付つけないと傘のしずくが品物を濡らしてしまう。Ladbroke駅を降りると、古着や怪しげなテープ売りの屋台が。古着は種類がいっぱいあって、贅沢を言わなければ古着屋だけで何もかも揃ってしまいそう。お約束の「こんなもの売り物になるの?!」の壊れた電話だとか、マイコン寸前のコンピュータだとか、ボロボロの本が並べられている。古い使用済みの絵はがきを発見。かなり心をひかれたが後のことを考えて我慢した。
マーケットは屋台のほか常設というか建物の中に入っているものもある。屋台が並ぶ通りからほんのちょっと外れてMAMEDAさんご贔屓の古着屋さんへ。このお店は面白かった。いかにも年代物のドレスが所狭しと並べられていて、ちょっぴり色の褪せてくたびれた感じがまた、イギリスはこういうドレスを着る国なんだなと改めて実感。

ポートベロ・マーケットにアンティークの屋台が出るのは金曜と土曜で、普段は食材中心のマーケットらしい。そういえばヨークでも狭い広場に市が立っていたのを思い出した。屋台でも新鮮な野菜・果物・花などが売られている。屋台の野菜や果物は新鮮でピカピカでホントおいしそう! あと1日ここにいるんだったらイチゴを買って食べたかったな〜。
雨にもかかわらず、屋台ではなんとパンも売っている。台の上にいろいろな種類のパンが積み重なって置かれていて焼きたてのいい匂いがする。袋にも入ってないし店番は十代の女の子がひとりだけ。他人事ながら盗られたりしないのか心配になった。しばらく歩き続けて空腹だったのと店頭に並べられていたパンが美味しそうだったのにつられ、サラミのパニーノを1個買ってMAMEDAさんと半分こ。これが美味しかった!道のはじで傘をさしつつもぎゅもぎゅ。
そしていよいよ光り物地帯に突入! 後で「目の輝きが全然違ってたもんねー」とMAMEDAさんに指摘された(^^;。アクセサリー(ジュエリー)のお店は掃いて捨てるほどあるけど石のはまったデザインばかり。思うようなデザインはなかなか見つからない。途中で小さなガマ口やハンドバッグのついたペンダントに惹かれる。いやーなんとなく中に小銭を入れてみたかったので。しかし最後の最後で正気に返り、買わずに店を出た。次から次へと光り物を見たのでだんだん満腹になってくる。思うようなデザインの指輪はないし、まあいいかも〜と思うとお値段もそれなりだったり。毎日気にせずに使える値段のシンプルな指輪が欲しいのに〜。いざ買い物!と意気込んで来た私よりもMAMEDAさんの方が着々と買い物をしている。余談だが、私と買い物に行くと私よりも連れの方がたくさん買っていたということがよくある。なぜだろう。
もう何軒目だか忘れたくらい回った頃ついにこれは!と思える指輪に巡り合った。やや厚めのシルバーに蔓草模様(?)のようなデザイン。この今一つ垢抜けない感じがいいわーとちょっと迷った末に購入を決定。13ポンド也。ここでもMAMEDAさんから「買うんでしょ? だって握り締めてるじゃない」と鋭いツッコミをいただいた(^^;。ひとつ買うと弾みがつくのか、またもや心ときめく指輪に出会った。さっきのよりも繊細なデザイン(マルカジット細工と言うのだそうです。MAMEDAさんありがとー♪)の指輪。ひと目で気に入り、「聞いてみるだけだったらタダだよ!」とまたもやMAMEDAさんの後押しで恐る恐る値段を聞く。なんとさっきよりも安い8ポンド!即決して買う。私がよほど嬉しそうな顔をしていたのか、店のおばちゃんに「綺麗でしょう?私もこのデザイン好きなのよ」と話しかけられた。
正確には買った指輪はどちらもアンティークではない。せいぜいアンティークのレプリカだろうと思う。ちょっと古めかしいデザインのアクセサリーが大好きな私、思うようなデザインの指輪が手頃な値段で買えてとても嬉しかった。私の指は太くてごつごつしているので日本の繊細な指輪をはめると大笑いになってしまうけど、こちらのデザインだと質感もデザインもしっくり合う。持っている指輪の大半はイギリスで買ったものになってしまった。

もうひとつ、買えなかったけど心に残るアクセサリーがあった。銀とエナメルでできた(おそらく)リュートの形をしたブローチ兼ペンダントヘッド。135ポンドだったから本当のアンティークだったと思う。リュートは中世〜ルネッサンス期に人気のあったギターに似た楽器。そのボディーの部分にこれまた細かい渦巻き模様が施されていて、何より感心したのが弦がちゃんと銀線で作られて、本当の楽器の弦のように糸巻きに巻かれていたこと。そのお店は同じような楽器のペンダントヘッドをたくさん売っていて、他にも単純なデザインで値段ももう少し安いのを売っていたけど、これを見てしまった後ではやはりインパクトに欠けて見えた。
マーケットに買い物に来るのが旅行の目的だったら迷わず買っていただろう。しかしその時は旅も終わりでお金もあまりなかったし、とりあえず指輪を2つ買って満足していたので心残りながらも店を出ることにした。ロンドンに住んでいたら毎週見に来られるのに残念無念。
小さな不幸はどこまでも続くよ、気がつくと折り畳み傘の骨が折れていた。
パディントン駅に戻り、MAMEDAさんがこの駅でチェックインできることを発見し(重ね重ねありがとうございます〜)、身軽になったところで出発の時間までお茶しながら待つことにした。雨のせいでマーケットの写真が取れなかったし、MAMEDAさんと記念写真も撮ってないことにはたと気づき、お互いに1枚ずつ撮りっこした後、駅員を捕まえてヒースローエクスプレスをバックに1枚。しっかしこの駅員、返事は良かったけどやはりイギリス人だった(^^;。どうしてオートフォーカスのカメラでこんな心霊写真が撮れるのだろう??? イギリス人にはコンパクトカメラは軽すぎたのかしら。

そして列車の出発時間になり、名残を惜しみつつMAMEDAさんとお別れしてヒースローエクスプレスで空港に向かう。新品で綺麗な車内に驚く。地下鉄の運賃を考えると確かに15ポンドは高いけど、早さと便利さを考えると妥当な値段だと思う。荷物置き場が充実しているのはさすがデカイ荷物を持ち運ぶ国の列車だなあと感心する。
パディントン駅でチェックインを済ませておいたのでする事がない。しょうがないので売店で読み納めの新聞を買い免税店を見て回る。手持ちの現金が少ないのでちょっと心許ない。早く搭乗口が表示されないかな…とぼーっと待ち続けた。
ボーっとしすぎて、うっかり東京行きの便に乗りそうになった。あのまま並んでいても入り口ではねられただろうから大丈夫だったと思うけど、それではちょっと恥ずかしい。正しい飛行機に乗り込んでやれやれ…と思いきやなかなか動かない。また何かあったのかー?と今回の旅を振り返って心配になった。しばらくしてアナウンスがあり、なんと「空港が混雑しているので出発が遅れます」とのこと。さすがイギリスだぁ〜と別の意味で感心する。もしかしたら空港設備のどこかに小動物が紛れ込んでいてそれを救出するために遅れたのかもしれない(元ネタ:The Airport (BBC))。
30分以上遅れて出発。飛行機は満員で移動する余裕はなかった。今回も席は窓際で、暇つぶしに音楽を聴こうと思ったらヘッドフォンが死んでいたのでスチュワーデスさんに交換してもらう。そして食事の時に出てきたフォークは、4本ある歯のうち1本だけが反対側に反り返っていて食べにくかった。なぜ回収した時に気づかないんだぁ〜。小さな不幸は飛行機の上までも続く。
食事が済んだら眠るのが飛行機での日課。と、ふと隣の人が目に入った。隣に座っていた女の人が遠藤周作の小説を読みながら泣いていた。泣いているのに読むのに必死で、ひっきりなしに目をこすり洟をすすり上げている。なんだか辛そうだったのでそっとティッシュペーパーを差し出してあげると、初めて私の存在に気づいたようにビックリした表情で「すみません、私も持ってますから」と言った。この女の人はなかなかいい味を出していて、後に機内で『ホワイトアウト』を上映していたとき、テロリストが機関銃を掃射するシーンで「うわっ」と小声で叫んでいた。その時ヘッドフォンを外していた私(映画は見ていなかった)は彼女の声に驚いて振り向くと、また彼女は「あっすみません」と恥ずかしそうに謝った。
そして飛行機は関西国際空港に遅刻で到着。へろへろな旅行も無事幕を閉じたのでした。
- THE END -