翻訳についての個人的メモ06 「氷のなかの処女」
プロの翻訳家でもなく仕事で翻訳をしているのでもないカドフェルファンの一個人が、己の英語力を省みず「これはおかしいじゃないか!」と思ったところについてあれこれ書き殴っています。気の向いたときにこっそり追加したり訂正したりしています。間違い・思い違いなどご指摘いただければ幸いです。
※ページ数は旧版(社会思想社)によります。
p.13
最初に読んだときに?と思った箇所のひとつ。
訳文:「ラドルファス院長は…(中略)必要とあれば燃え上がり、火の手を受けた相手はいやでも尻ごみし、火はたいてい押さえられる」
原文:"When needed, he could blaze, and those scorched drew back advisedly, but his fire was always in control."
…ラドルファス院長はゴジラだったのか!
「必要があれば彼は燃え上がる(=激怒する)こともでき、その炎にさられれた者は退かざるをえない。しかしその炎は常に制御されていた」
なんてどーでしょ?
p.15
訳文:「馬は見つかればすぐ捕まえられるので持たれませなんだが」
原文:"though without horses, since all were seized at sight"
私は「馬はすべて(襲撃の際に)またたくまに強奪されてしまったので」と読んだのですが…。
p.23
訳文:「とくにハーワード修道士がほぼ放心したように口をつぐんだ時には、まるで「まことにお美しいから、すぐにわかりましょう」と言っているかのようだった」
原文:"All the more when Brother Herward added almost absently, as if to himself: 'She would be reckoned very beautiful'"
このくだりと次の場面のヒューのセリフを読むとなんだか話がかみ合ってないぞ?? それではと原文を読むと以上のような文になっています。ハーワードははっきり「美しい」と言っているのです。ただその言い方が"as if to himself"、つまり「あたかもひとりごとのように」だったわけです。確かにas ifは「あたかも…のように」ですが(辞書丸出し^^;)、かかっているところが違うと意味が違ってしまうんですよー。
p.25
いやはや。しかし何故にこうなってしまったのでしょうか。
訳文:「もうやがて六十になるのだが、聖地は何年も見ていない」
原文:"He was not so far from sixty, even if he did not look it by a dozen years."
* look it:(前の文章の内容を受けて)それらしく見える
試訳:「それほどの年には見られないものの、もう六十には遠くないのだから」
確かに直前の部分で聖地に赴いていたローレンス・ダンジューのことを話題にはしていましたが、原文はこうだったのですよ。もし it が聖地を意味していて訳文の通りだったとしたら by a dozen years ではなく for a dozen years でなければおかしいし、時制も過去形ではなく過去完了になるほうが自然ではないでしょうか?
p.196
訳文:「いつも真っ先にスズメバチの巣に手をつっこまずにはいられないたちなのだな!」
原文:"Need you be the one to put your hand into the hornet's nest?"
* hornet's nest:厄介ごと、面倒なこと、騒ぎ
直訳すれば確かに「スズメバチの巣」だけど^^;。それともシャレでそのままにしたんでしょうか?
p.309
「息子よ、誇り高くあれ!」
最後の決めのシーンにしては何か変だなあ…と思っていたのですが。 原文は"A son to be proud of !"なのですね。 これって「誇るべき息子」って読むんじゃありませんのおおお? そうならば数行前のヒューのセリフを受けていることもわかるし。ふうう(↑▽↑)。
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