子どもの頃 フィーメンニンがいたんだ

「フィーメンニンは謳う」感想のページ


 このページは、山口美由紀さん著「フィーメンニンは謳う」(花とゆめ
コミックス全5巻・文庫版全2巻 白泉社刊)の感想ページです。「懐かしい!
リアルタイムで読んでました!」というあなたは、確実に二十歳を越えていま
すね☆なにしろ、平成2年から3年にかけて連載された作品ですから、ざっと
15年ほど前に書かれたわけでして…
 なにをいまさら、と思われるかもしれませんが…最近読み返してみて、改め
て言及したくなった次第で。原本となった「プリンセス症候群」続編「タッジー
・マッジー」にも言及しています。

 昔読んだ人も、まだ知らない方にも、是非お勧めしたく書いてまいります。
がっ!!内容のネタばれ満載ですので、それを避ける方は、原作を読んでから
またきてください。あらすじ、内容、結末を知っていても何度でもしみじみ読
み返せる作品だと確信していますが、やはり先入観なしで読んだ方がいいとは
思いますです。 
すべての展開を知りたくないとお思いの方々は、

「百草園」扉  または  ホーム  にお戻り下さい〜

☆目次☆
 「フィーメンニンは謳う」キャラクター紹介感想
 「プリンセス症候群」「画集」感想
 「タッジー・マッジー」キャラクター紹介感想
 「独断と偏見 夢の声優オールキャスト」2005 年版


「フィーメンニンは謳う」平成2〜3年 (1990〜1991)「花とゆめ」掲載

〈とても簡単なあらすじ〉
 苦学生のリーナがある日拾った女の子は、なんと妖精界の女王様。
彼女・ミルッヒを故郷の花園に帰すために、妖精界を旅することになるリーナ。
次々と襲い掛かる魔物たち。しかし、本当の恐怖は意外な場所にあった…

〈キャラクター紹介〉
リーナ ユリウス シルヴィ ミルッヒ ファー ラミアドナ フェロール
ビー オージーン エリサ その他の方々

リーナ・オルファース 封印された過去
 6月生まれ 体重45キロ 髪の色は茶色、瞳の色は緑
16歳(推定)原作では高校何年生か明記されていないのですが、試験が17
回あったこと、「カエルの卵」とか池に落ちて風邪をひく話などから、ギムナ
ジウム高学年になって1年以上経った4月くらいの話…12学年・日本でいう
高校2年生くらいの春の話じゃないかな〜と推定。
 奨学金を得るための勉強、生活費を得るためのバイトに明け暮れる苦学生。
優等生で常に上位の成績をおさめるも、ユリウスにだけは負け続けて目下17
連敗。負けず嫌いでかなり強気の性格で、思いも寄らぬ無茶な行動に出ること
も。ある日拾った少女・ミルッヒを故郷に帰すため、妖精界を旅するハメに。
「最後の聖なる乙女」として、次第に力を取り戻していく。シルヴィとユリウ
スの間で揺れ動く乙女心を垣間見せたりするが、夢の中でしか思い出せなかっ
た初恋の少年の正体も、少しずつ思い出して…。それが彼女に、最大の苦しみ
を与えることとなる。
 実は!持参の独語辞典で Lina とひくと、Karoline の短縮形と出た!
ええっ、あのカロリーネさん…ですか?!続編とはいえ、同一人物ではないと
思うのだが(そういうそぶりもないし、名字も違うし)
どちらかというと、タイトルロールにもなっている、カタリーナ・ドロテーア
・フィーマン夫人 Catalina・Dorothea・Viehmann からとっているではないかと
推測しております。

・夢の中の子供
 リーナが夢に見ていた子供。見事な金髪で、花園にたたずんでいる。
リーナはその子供をまったくの夢と思っていたのだが、妖精界で『跳ぶ』ごと
に、次第に彼が実在し、幼なじみだったことを思い出していく。だがそれは、
封印されていた記憶・血と炎と死に満ちた「5歳の誕生日」へとつながってい
く。
 愛称はユーリ。Juli は独語で「七月」リーナより一つ年上のいとこ。
気弱で泣き虫で人見知りが激しい。勝気なリーナにいつも引っ張られているが、
リーナのことが大好き。酒におぼれ荒れる父親のことを真剣に案じている。リー
ナの「5歳の誕生日」、森へリーナを助けに走るが動転した彼女に突き飛ばさ
れ大ケガを負い、炎の中で倒れてしまう……

ユリウス・ブランデット 鉄仮面に隠した熱い想い
 7月生まれ 近眼・左利き 髪は明るい茶(ダークブロンドというか)
瞳は青 17歳 (推定)
 リーナのクラスメイト。入学以来成績首位を独走する秀才。ゆえに万年二位
に甘んじているリーナから、一方的に敵視されている。無口で無表情、冷静沈
着。自然や花を愛する心を持っているが、率直な言動は的を得すぎているとい
うか、人の神経を逆なですることが多く、学校では変人扱いされている。秀才
メガネ君にしては意外にも剛腕の持ち主で、シルヴィいわく「怪力熊男」
かなり気が長く、のんびり屋。リーナとミルッヒに出会ってしまい、妖精界の
争いに巻き込まれていく(かのように見せかけているが…)
 ロルフとエミーリアの長男 シルヴィの兄
5歳の時瀕死の重傷を負い、治療のため進学も1年遅れる。内向的で人を寄せ
付けない性格になっていくが、一番堪えたのは大好きなリーナと離れ離れになっ
たこと。しかし高校で再会した彼女は、辛い過去をすべて忘れてしまっていた。
リーナの傷口を暴くことを恐れ打ち明けられず、シルヴィの持ちかけた「計画」
にも乗り気ではなかったようだが、リーナが亡父エミールの思い出まで誤解し
ているのを知り、「計画」に協力する。
 とはいうものの、リーナが思い出しそうになると突き放したり、おびえる彼
女を突然抱きしめてしまったり…妖精界を救うために必要な「役目」を担って
いるのだが、彼自身本当はどうすべきなのか、常に迷っている様子がある。妖
精界での旅で一番救われたのは、彼なのかもしれない。
 Julius は、イタリア読みならジュリアスですね。実は本作で一番着替え
(コスプレ?)してる人だったりする

シルヴィ 「使命」のはずが、いつしか本気に…
 妖精族の青年 髪は見事な金髪、瞳は青 16歳(推定)
枯れ始めた妖精の花園を救うため、「最後の聖なる乙女」であるリーナの元に
ミルッヒを託しに来た。身軽で、剣の腕は一流。美しい容姿に似合わず、そう
とう口が悪い。かなり気が短く、いらち
 ロルフとエミーリアの二男 ユリウスの弟
妖精界で生まれ育ったものの、妖精としての血筋はリーナやユリウス同様4分
の1しかないので「跳ぶ」こともできず、コンプレックスがあるらしい。
女王を強く育てるために、リーナの辛い過去を利用していく(たぶんそれは妖
精族の総意であって、彼個人の意志ではないと思うが)。躊躇するユリウスに
対し、冷酷に「計画」を推し進めていくが、なにをしでかすか分からないリー
ナに振り回されるうちに、本気で好きになってしまう。結果としては、残念で
した…ということなのですが。当初はユリウスと兄弟という設定はなかったら
しいですが、一人の女性を兄弟で取り合う「骨肉の争い」っぽくなって、
ストーリーとしては面白い展開だったかと(当人たちは大変ですけどね)
 あまりにも気の毒なので、続編「タッジー・マッジー」では、ちゃんと彼女
ができる。もちろん、すったもんだの結果ですが★
 Sylvie は独語の Sylphe「風の精」の異名をもじってつけたとのこと…詳し
くは「タッジー・マッジー」第6巻を見てください。
  人に勝手なあだなをつけるのが得意のシルヴィだが、リヒトからは
「モテモテ金ちゃん」「金髪の金ちゃん」なる二つ名をいただいた☆


・リーナの暴力行為?!
 勝気で負けん気の強いリーナは、理性的な優等生である反面、けっこう
ケンカっ早い。当社の調査によると、リーナの暴力行為はユリウスに8回、
シルヴィに7回に及んでいる。これとは別に、幼いユーリにも7回殴り
かかっているので、ユリウスは合計15回も、はたかれたり踏まれたり……
とはいえ、ユリウスへの暴力は3巻の「聖なるハリ手」まで。シルヴィは
1巻では何もなく、4巻5巻でわりと多いので、ある意味親密さに比例して
いるのかも。さぁ今後、ユリウスは彼女の暴力の嵐の中に?!幼い時と違って
のらくらかわすワザを身に着けているから、だいじょうぶかもしれませんね。

ミルッヒ 成長するこころ
 妖精界の女王様 無色透明、育てる者の心に率直に反応していく無垢な存在。
リーナが見つけたときは言葉も話せないほどの幼女だったが、成長し目覚めた
時には、妖精界のすべての魔を吹き払う力を持つという。そのため、執拗に
追い続けるラミアドナとの攻防が激しくなっていくのだが…
妖精界の人々は「女王」または「女王様」と呼ぶ。ミルッヒはリーナがつけた
名前で、独語で milch「ミルク」の意。ミルッヒと呼ぶのはリーナとユリウス
だけ。

ファー 作者投影の照れ隠しキャラ?
 妖精(の中でもかなり小柄)よく虫と間違えられる。まぁ仕方ない (^^;)
アコギな露天商に売られていたのを、リーナたちに助けられる。勝気で気位が
高く、それゆえ同じく勝気なリーナとはしょっちゅうケンカしている。主にシ
リアスなシーンでのボケ担当(存在そのものが)ユリウスのファンで熱烈に追
いかけるが、その想いが叶う日は来ない。

ラミアドナ 闇の女王の真実
 妖精界に巣くう闇の女王。金と赤の瞳を持ち、すべてを魔で覆いつくそうと
企み、リーナたちをしつこくしつっこく追いつめていく。
人間界と妖精界が一つだった数百年前には、魔力を持つ人間で高い身分の家の
長女だったが、他人と違う力を恐れられ幽閉されて育つ。人々の偏見と差別か
ら「魔の力」を解放し、家族を喪い、魔物になってしまった…

フェロール 一途過ぎる愛のかたち
 ラミアドナの忠実な下僕 城から出ないラミアドナと意識や能力がつながっ
ており、リーナたちの行く先々で攻撃を仕掛けてくる。
  人間だったときから、ラミアドナの元で働いていた。家族にすら恐れられ
る彼女を、唯一信じいさめ続けた純真な少年だった。ラミアドナが善であって
も悪であっても、ひたむきに付き従っていく。その過去を知ると、ユリウスへ
の嫉妬が殺意に変わっても、しかたないなーと思いますねぇ

・ラミアドナとフェロールの歳の差は?
 ラミアドナが魔力を開放し魔物となった時、フェロールは13歳か14歳。
でも今はどう見てもシルヴィたちより年上に見えますね。ではラミアドナは何
歳だったのか…たぶん20歳くらいだと思うんですけど。フェロールはラミア
ドナの魔力によって生き延びた。そのときに、彼女につりあうような年齢に自
分を成長させたのかなぁ。ずっと、幸せに生きていけるといいですね☆

ビー 作者随一のお気に入り!
 フェロールが捕まえ、ラミアドナにささげた小猿。魔の開放と共に、大猿に
変化してしまった。なぜかミルッヒと相思相愛?!光を浴びて消滅してしまう
けれど…その魂がいまも生きている様子は、うかがえます。

オージーン 作者はやはりおっさんが好きらしい (笑)
 妖精界で暴利をむさぼる商業魔術師。仕事も高いが、とっても女好きだとい
うウワサ。とかなんとかいいながら、結局リーナ一行にはタダ働きさせられて
しまう。実はとってもお人よし?…山口氏の出世作「V−K・カンパニー」
シリーズに登場した人に酷似しているようですが、すみません、未読でして…

エリサ いら草の花嫁
 結婚を間近に控えた姫君。魔に取り付かれた兄や街の人々を救うため、結婚
相手の王の賭けに同意し、いら草の服を作り続けていた。リーナに「本当に好
きな人はだれですか?」という、重要な言葉を投げかける。エリサ自身の恋は
応援していいものかどうか、ちょっと迷いますが……

その他の方々
エミール・オルファース
 リーナの父。病弱で、この作品の始まる一年前に他界。死してなお父への誤
解を持ち続けるリーナの気持ちが、兄弟の「計画」推進へのきっかけになった
のかもしれない。ユリウスの「フィーメンニン」は、この人。

エミールの妻(原作では名前が出てこないんです…)
 リーナの母。病弱な夫と元気すぎる娘を抱えながら、常に前向きで明るく元
気いっぱいのお母さん。甥のユーリのことも、心から心配している。
作者は「リーナは母親似かな…」と書いておられますが、その通りだと、私も
思います☆

ロルフ・ブランデット
 ユリウスとシルヴィの父。妻に去られた事実を受け止められず、荒れて酒に
おぼれ「リーナ5歳の誕生日」の惨劇を招いた張本人。でも、この歳になると
なんとなくこの人の孤独が分からないでもなくなってくる。きっと、優しすぎ
て、気弱なんだろうな…

エミーリア・ブランデット
 ユリウスとシルヴィの母。元々病弱だったが、第二子(シルヴィ)妊娠後体
調が著しく悪化し、そのため兄エミールの強い説得で、妖精界に帰ることに。
兄の子が女の子と知っていたところをみると、リーナが生まれてから人間界を
去ったのかな。ってことは、シルヴィはリーナより少ーし年下かもしれません
(同じ歳だけど)。火事の時リーナたちを呼んで助けてくれたのは、この人じゃ
ないかと思っているんですが私は…
             このページのトップ【感想01】一人の少女の心に、じっくりとスポットを当てた内容です。シルヴィ
もユリウスも、最後の最後になってやっと本心を明かします。それまでリーナ
は完全にだまされっぱなし。特に過去を利用されていたことを知ったときの怒
りと苦しみは、読んでいて本当にキツイところ。でもこの谷間を越えてこそ、
感動のフィナーレが待っているのです。

 第一巻は、とにかく現実主義者で日々の生活に追われているリーナの様子が
強調されています。有能なんだけど肩肘張っていて素直になれない、負けん気
の強い少女。そんなリーナに感情移入できたら、あとはこっちのもんです (?)
 シルヴィの目的はリーナを妖精界に連れてくること。そのために嘘をついて
怪しませて、同行するように仕向けているんですよね…偶然ついてきた(よう
にみせている)ユリウスとシルヴィの自己紹介シーンは、後から考えると
凄まじく白々しい (^^;) お互いが兄弟であることはもちろん「ミルッヒの
椅子」を作るところから相談しているんだし、その椅子が4作目であるところ
から、この「計画」がかなり前もって練られたものだと分かるわけですが…
 第二巻は、とにかくとことん・ユリウスてこ入れ月間!嫌味で気の合わない
ライバルだったのが、いつしか頼りがいのあるパートナーになっていくあたり
が「これでもかっ」と描かれてます。見返りユリウスの3ページ後にあの笑顔!
凶悪ですね〜抱擁シーンもあるしなぁ。シルヴィに罵倒されるシーンも結構好
き。リーナに明かしていない「秘密の結託」とは、いったい?とあおられます。
 第三巻は好きですね〜大変になってくるのですが、リーナがシルヴィやユリ
ウスに頼らず単身敵地に潜入するところが、特に良い。やっぱり女の子は度胸!
ですよ。ラミアドナたちの過去の描写はやや冗漫ですが、次巻で判明するリー
ナの過去へシンクロしますし、作者自身本当に書きたかったのは「異質な存在
の救済」だったのではないか。その辺が「タッジー・マッジー」に受け継がれ
ていくわけで。正気に戻った後の、ユリウスのボケ炸裂がサイコー☆
 第四巻・ユリウスが味方に戻ったのに、今度はミルッヒがラミアドナに操ら
れてしまった!相次ぐ攻撃に、ついにリーナは「5歳の誕生日」を思い出して
しまう。この回想シーンは、一度目に読むと「こんなに可愛い少年が死んでし
まったなんて…うう」と切ない想いにかられますが、二度目以降はこの気弱で
穏やかなユーリの、リーナを守りたいという強い意志を随所に感じてなんだか
嬉しくなってしまいます。シルヴィばかりかユリウスにまで最初からだまされ
ていたことに強いショックを受けたリーナは、ミルッヒを守る「役目」を放棄
し、すべてを忘れようとしますが…
 第五巻いよいよクライマックスだ!父の優しさ、ユーリの正体を知った
リーナは、再び妖精界に戻る決意をします。ここでユリウスの真意を語るのは
シルヴィなんだけど、本人が語るよりずっと説得力があると思うです。「子供
の頃…」から始まる過去と現在のユリウスの想いは、長いトンネルを抜けた時
のように心に染み入ります。んで殺し文句「今度こそ 何があっても」花園が
復活したとき、ラミアドナたちが消えないで本当によかった、そう思える。
 元の世界は、燃え尽きた森。一度壊れたものは、簡単には戻らない。でも、
きっと…リーナとユリウスの新しい希望を見せて、この物語は終わります。
「こんなヤツとは絶対仲良くなれない!」はずのライバルとカップルになると
いうのは、少女マンガの王道にしてお約束のパターン。素晴らしい。王道万歳!

             このページのトップ「プリンセス症候群(シンドローム)」
 この作品群は「夢降る森のおとぎ話」(昭和59年・1984)「プリンセス症候
群」(昭和60年・1985)「Lia☆Lieリトル・アイランド」(昭和61
年・1986)の三つの短編からなる作品です。なんとっ!「夢降る…」を描いた
時、山口氏は十代だったそうだ!となると…私よりちょーっとだけ年上です。
 それはともかく、売れない小説家ライナスが白雪姫の住むおとぎの国へ行っ
てしまうというストーリーは、「フィーメンニン」に受け継がれたもの。
「夢降る…」ではライナスと白雪姫、小人たちの物語ですが、一番面白いのは
「プリンセス症候群」でしょう!またしてもノイローゼになり家出した白雪姫、
彼女をひそかに慕う小人さんアルフレッド、どういうわけか3頭身から8頭身
になっちゃう小人さんたち。ライナスとルーシーの痴話ゲンカ…と、盛りだく
さん。報われぬ美青年アルフレッドこそが、シルヴィのモデルなんですね。
(もちろん性格はちがいます。アルくんはとてもおとなしく控えめ☆)
「リトル・アイランド」は白雪姫の娘とライナスの息子が妖精界を冒険する話
で、好きな女の子を救うために大人になる…という展開自体が、「フィーメン
ニン」に影響を与えているように思います。アルフレッドの髪が切られちゃう
シーンは、シルヴィでも「タッジー・マッジー」で出てきますし〜長い髪は、
切られちゃうためにあるんですねっ (勝手に断定) 作者の声優キャスティング
もあって、なかなか趣深い作品郡です(シリーズではないけれど同巻の
「月光夜曲」は泣ける。単に私がメガネ者に弱いからかもしれないが…)

・山口美由紀画集「CONGRATULATION 」−『フィーメンニンは謳う』を中心に
 1991/12/16 初版
 表題通り、「フィーメンニン」でのカラーイラストを中心に掲載した画集。
ファンタジーものを描くようになって、画法が変わってきた様子がよく分かり
ます。リーナ、ミルッヒは単体で、ユリウスとシルヴィはペアで描かれること
が多いみたいですね。カラーになるとちゃんと兄弟に見えるよこの人たち…
(本編でいかに演技していたか、ということですが)
「逆さユリウス官能メモ」秘話とか…いろいろあったんですねぇ。
「フィーメンニン」は、それまで学園ものを描いていた山口氏にとって新しい
挑戦だったはずですが、ご本人はノリとしては違うものを描いたつもりはない
とおっしゃっているし、そういう肩の力の抜け具合が読者にとっても楽しく、
感慨深く読める作品に仕上がる要因だったんじゃないでしょうか。
 本編中でもかなり遊んでいる山口氏、なんといっても一番似合っていたのは
不良女子高生のフェロールくんです(注:男です)本当に学ラン姿のユリウス
と腕を組んでスキップさせたいです(注:画集にはそういう挿絵があります)。
「タッジー・マッジー」の画集も出ないかなぁ。買いますよ、たとえ「わたし
のユリウス」が描かれてなくてもっ

             このページのトップ「タッジー・マッジー」平成4〜6年 (1992〜1994)「花とゆめ」掲載

〈とても簡単なあらすじ〉
 強すぎる力を持つため、さすらい続ける「最後の魔女」ロッテ。
たどりついた町モーゲンは、かつて魔女が殺された町だった!
妖精・精霊を巻き込んだ復讐劇の果て、町は朝(モーゲン)を迎えるのか?!

〈キャラクター紹介〉
ロッテ マリーン リヒト カロリーネ チコリ ユリア ラウラ ムート
ザヴィニー ルーイ 泉の精 ルルー

ロッテ(シャルロッテ)・グリューン さまよう「優しい魔女」
 髪は黒、瞳は緑 外見年齢12歳(一応12年生に編入)
 幼いときから強い力を持ち、12歳で成長が止まってしまう。15歳の誕生
日を目前に家を出て、放浪の身となり半世紀以上。当年70歳。
どの町でも長く住めない事情から内向的で自分に自信を持てず、普通の人間に
なることを切望し、己の魔力に否定的な気持ちを持ち続けてきた。シルヴィへ
の恋に気づきはじめるが、モーゲンの町へ来たこと自体が陰謀の始まりで…
ハーブを育てるのが得意で、仕事にもしている。混乱すると、とにかく手仕事
をして気をまぎらわす性格には、なんとなく親しみを感じる私めでした。
 お母さんの名前はアマーリエ。たぶんこの名は、山口さんが尊敬するグリム
兄弟の妹シャルロッテ・アマーリエ・グリム Charlotte・Amalie・Grimm から
とっているんじゃないかしら、と思う次第で。グリューンは Grun、独語で
「緑」

マリーン 一生懸命なのはわかるけど…
 髪はブロンド、瞳は緑
 シルヴィの幼なじみの妖精。美しい容姿を持つ風の妖精だが、シルヴィを故
郷「人間界」へ帰そうと、勝手に飛び出した…が、純粋な妖精である彼女には
よどんだ人間界の空気は厳しすぎたため、アッという間に幽体分離してしまう。
以後、ロッテと合体したり、ロッテの花柄うさぎ人形に憑依したり大忙し。
こんなに美人の幼なじみがいながら、どうしてシルヴィはリーナに横恋慕した
りしたのだろう。ま、性格のせいでしょうね…ファーといいこの人といい、
妖精の女性とお付き合いするのは、なかなか大変そうだ。

リヒト・ヘルダー 明るい「光」に秘められた陰謀
 髪は黒 12年生なので、16歳か17歳くらいですね。
 ロッテのクラスメイトで、大家カロリーネの孫。陽気で明るく、勉強嫌いの
不良。女好きで、ロッテにもマリーンにもちょっかいを出す。ので、シルヴィ
とはケンカざたにもなるが、洋服を貸してやったりして根に持たずさっぱりし
た性格。それぞれが重い問題を持つメインキャラの中で唯一、明るく元気に話
を進めていく…かのように見せかけながら!実は、ザヴィニーがチコリを懐柔
するために魔術で作った、人形(ひとがた)だった。その事実が明るみに出る
後半は、話がとってもとーっても重苦しくなっていく。

カロリーネ・ヘルダー いつも元気な大家のバーさん
 リヒトの祖母で、ロッテの大家。実はロッテと同い年 (70歳) 彼女の正体
を知っても動じず、妖精やら精霊やらが同居する妖しい家でも、元気いっぱい
仕切りまくる。だが、さすがに孫のリヒトが人間ではないと知った時のショッ
クは大きかった。娘夫婦は事故で20年前、孫を残さずに死亡している。
 カロリーネさんが愛称リーナで呼ばれた形跡はありませんね…
幼なじみのヴィルヘルミーネさんは、ミンヒェンという愛称で呼んでいた
けれど「カロリーネ」としか呼んでいないし、若いときからこーんな感じだった
らしいですし。カロリーネ=リーナ同一人物説は、私的には破棄ですわ。

チコリ すべてを知ってなお…
 ほうきの精霊。ルルーの家 (現・ロッテの家) に、ルルーの死後ずっと住み
続けていた最後の精霊。ルルーの死の真実を知りつつ、リヒトの存在を盾にと
られ、ザヴィニーの陰謀を黙認するという苦しい立場に立たされる。控えめで
おとなしい性格。ロッテの魔法の先生でもある。

ユリア 祈りは通じるもの
 ロッテとリヒトのクラスメイト。ラウラ・ムート姉弟のいとこ
穏やかで優しい性格で、転入生のロッテにも親切。片想いの相手への告白に、
ロッテ製作の「タッジー・マッジー」を励みにする。かくいうロッテの本心も
鋭く見抜くあたり、さすが恋する乙女。

ラウラ いるんだよね、クラスに一人は…
 ユリアのいとこで、ムートの姉。リヒト親衛隊を自称し、なにかといっては
ロッテを目の敵にする困った人。もちろん、根っからの悪人じゃないですよ。

ムート 純真・純粋な「勇気」の少年
 ラウラの弟。姉に似ず(こらっ)明るく元気な少年。「ルルー伝説」に惑わ
されることなく、ロッテの魔力や魔女、竜の存在を信じている。その素直さに、
ロッテも少しずつ考えを変えていくことになる。

ザヴィニー(エーリヒ・ザヴィニー) 愛憎うずまく策士
 ロッテの学校に数学教師として赴任してきた、銀髪の貴公子。
シルヴィいわく「白バラキザ野郎」まったくそのとーりですねぇ (^^;)
 だがその実態は、数百年生きてきた魔の存在。ロッテをモーゲンに誘い込み、
マリーンの本体を隠し、リヒトを作ってチコリを懐柔し、ルーイを使ってルルー
の名を貶めた、この物語の最大の悪者。有力な貴族の息子に生まれ、何不自由
なく育った彼は、愛したルドヴィカを手に入れるため策を練ったのだが、彼女
は死に、自分は不死の魔物になってしまう。愛は憎しみに変わり、ロッテを
利用して人間に戻ろうとするのだが… 頼むから、痴話ゲンカは他人の迷惑に
ならないところでやってくれ。
 作者・山口氏の尊敬するグリム兄弟の恩師、フリードリヒ・カール・フォン
・サヴィニー教授からお名前をとったそうです。ご本人もおっしゃってますが、
こんな根性悪に使われちまって…まぁ、悪い人じゃないんです本当は。

ルーイ(ルードヴィヒ) あなたのお役に立てれば…
 ザヴィニーの助手。たいていの人に女性と間違えられる美貌の持ち主。
それもそのはず、ザヴィニーがルルーに生き写しに作った人形(ひとがた)で、
ザヴィニーの陰謀通りにルルーを演じ、ロッテたちを翻弄する。
常に憎まれ虐待されながらもザヴィニーを思い続ける一途さは、最後の最後で
救われる。

泉の精 運命の流れを見守る精霊。
 荒っぽいしぶっきらぼうだけど、けっこうお人よし…ルルーとザヴィニー、
ロッテとシルヴィの運命を変えてしまった重要人物だが。

ルルー(ルドヴィカ) 銀髪の魔女
 かつてモーゲンの町で、人にも精霊にも慕われ穏やかに暮らしていた美しい
魔女。その心を独り占めしようとしたザヴィニーの陰謀に気づきながらも、彼
の命を救うため、自分の未来と取り替えてしまう。だが、男は彼女を救うため
身を投げ出して…あああ、だから痴話ゲンカに周りを巻き込まないでくれえ。
でも…きっと、永遠の幸福が訪れたはず。
             このページのトップ【感想02】「フィーメンニンは謳う」の続編。とはいえ、続けて登場するのは、
シルヴィだけです。舞台も、ほとんど人間界のモーゲンの町ですし。
「フィーメンニン」のラストで浄化された妖精界ですが、その花園は人間界の
自然破壊とつながっている。そして世界が一つだった頃から、異質な存在への
差別や偏見はあった。その問題に取り組もうと、描かれた作品とのことです。
「フィーメンニン」は作者がはじめて手がけたファンタジー長編なので、描き
ながら緊張しているというか、話をきちんとメリハリつけて進めている感があ
ります。続編にあたるこの「タッジー・マッジー」では、前作の成功による自
信もあってか、より複雑でこみいった内容になっています。登場人物は全員が
それぞれ問題を抱えていますから。その分、一人の少女の心にじっくりとスポッ
トを当てた「フィーメンニン」と比べると、心理描写があっち行ったりこっち
行ったりと忙しい。その複雑な糸を最後に見事全部解決して着地している手法
は見事ですが、読み手としてはやっぱり読んでいて忙しいな〜とは思いますね。
そりゃアタシがユリウスのファンで、シルヴィに全然関心が無いせいかも
しれませんが…(^^;)

 第一巻・ロッテがモーゲンに来て・出て行って・戻ってくる話。難しい出だ
しです〜魔女で妖精に憑依されているのはともかく、12歳で14歳で70歳っ
て言われてもなぁ。ロッテのあまりに後ろ向きな姿勢には、なかなか感情移入
できないです私的には。そりゃあ苦労してきたんだから仕方ないとは思います
が… 本当に好きな人の前では素直に好意を示せないシルヴィくん、やっぱり
兄弟って似るもんですね☆
 第二巻 マリーンの本体探しの最中、ルルーが殺されたことを知ってしまう
一同。紳士的態度のザヴィニーにうっとりのロッテに、ムカつくシルヴィ。
 第三巻 いよいよ怪しげになってきたザヴィニーの陰謀に、なーんとなく気
づきつつも核心に迫れぬシルヴィ。一方、みんなを守りたいと願うロッテは、
普通の人間に戻りたいという願望を抜け出し、ルルーに対抗する魔力を得たい
と決意する。ひたすら後ろ向きだった彼女が自分の意志で魔法を習得したいと
願いだすこの辺から、やっと物語が動き出した感があります。
 第四巻 実は一番核心なところ。タイトルの「タッジー・マッジー」も登場
するし、良い魔法・悪い魔法があるのではなく、ハーブと同じで、良い方向へ
向かえば「見えない可能性」を引き出すことができる(これは五巻のチコリの
セリフですが)なんといっても殺し文句の「何度でも俺が言ってやる」が
出ちゃってるのがなぁ〜ユリウスなんて最後の最後で言ってるんですよ!
そんなプロポーズをここで言っちゃうと、後は事後処理になるじゃないですかぁ。
マリーンの企てで失恋したと思い込んだロッテがますます後ろ向きになる様子に、
またイラつくし〜見ればわかるじゃないか、シルヴィの気持ちはっ
あ、扉絵がユーリに似てるけどユーリより性悪な感じがシルヴィらしいです☆
 第五巻う〜ん、タルい辺りかも。そりゃ、ユリウスとリーナが1カット出て
はいますけど。ロッテとシルヴィの気持ちはもー固まったも同然で、あとは
マリーンとリヒトなので…リヒトの正体が明かされる辺りはキツイですね。
物語の前半を明るく楽しく引っ張ってくれた彼に、ある意味ロッテ以上に
重大な問題が潜んでいたとは。
 第六巻・五巻がダラダラ進んでた分、一気にスピーディに話が展開してきま
す。こうでなくちゃ!!ロッテの母の死、ロッテの身代わりに死を決意する
シルヴィ、偽ザヴィニーの襲撃、そして夏至の夜に訪れる本当の生贄の儀式…
「生きて 幸せでいてほしかったのよ」でもそれは、相手が居てのこと。残さ
れた者の苦しみ、悲しみ。すべてを乗り越えて、自分自身を認めて、ようやく
朝(モーゲン)を迎える。リボンの話など「フィーメンニン」を読んでいると
ニヤリとするエピソードも入っていますしね。半世紀以上もさすらい続けてい
たロッテを、絶対、ぜーったい幸せにしなきゃいけないよシルヴィ!魔女で
あっても、魔女のままでも幸せになれるはず。きっと、世界がひとつになる
きっかけが増えたんだろうな…そんなハッピーエンドです。最初はキツくて
苦手と思ってた相手とカップルになる、少女マンガの王道です。ビバ王道!
扉絵のロッテが秀逸なのです☆

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・「独断と偏見 夢の声優オールキャスト」2005 年版
 はい、このコーナーでは「フィーメンニンは謳う」「タッジー・マッジー」
のキャラクターに勝手に声優さんをあてはめております。作者の山口美由紀さ
んは自分の作品へのキャスティングが好きでいらっしゃるのですが、上記ニ作
品については少なくとも初回版ではキャストをあてはめてらっしゃいません。
ので、勝手勝手にキャストを決めてみました。私自身の中でも、これが絶対と
いうわけではありません。人それぞれにいろんな想いがあると思いますが、一
つの考えとして。なお、声優さんの出演作品と役名は代表作、というわけでは
なく、あくまで中村の好みで挙げております。

「フィーメンニンは謳う」
リーナ   折笠富美子さん(「あたしンち」みかん、「ちょびっツ」柚姫)
ユリウス  杉田智和さん(「ちょびっツ」本須和秀樹)
シルヴィ  森久保祥太郎さん(「魔探偵ロキ RAGNAROK」鳴神)
ミルッヒ  かないみかさん(「サクラ大戦」シー・カプリス)
ファー   横山智佐さん(「サクラ大戦」真宮寺さくら)
ラミアドナ 林原めぐみさん(「ポケットモンスター」ムサシ
              「名探偵コナン」灰原哀)
フェロール 三木眞一郎さん(「ポケットモンスター」コジロウ
              「魔探偵ロキ RAGNAROK」闇野竜介)
ビー    立木文彦さん(「ポケットモンスター」オダマキ博士)
オージーン 神谷明さん(「美少女戦士セーラームーン」土萠教授
            「名探偵コナン」毛利小五郎)
エリサ   久川綾さん(「美少女戦士セーラームーン」水野亜美
            「カードキャプターさくら」ケルベロス)
エミール  うえだゆうじさん(「ポケットモンスター」タケシ
               「ちょびっツ」植田弘康)
エミールの妻 冬馬由美さん(「カードキャプターさくら」スピネル・サン
              「ポケットモンスター」ハルカの母ミツコ)
ロルフ   高橋弘樹さん(「コレクター・ユイ」コントロル)
エミーリア 篠原恵美さん(「美少女戦士セーラームーン」木野まこと
             「カードキャプターさくら」観月歌帆)
ユーリ   渕崎ゆり子さん(「サクラ大戦」李紅蘭
              「魔探偵ロキ RAGNAROK」ロキ)

「タッジー・マッジー」
ロッテ   田中理恵さん(「ちょびっツ」ちぃ「あずまんが大王」水原暦)
マリーン  堀江由衣さん(「魔探偵ロキ RAGNAROK」大堂寺繭良)
リヒト   山口勝平さん(「名探偵コナン」工藤新一)
カロリーネ 犬山イヌ子さん(「ポケットモンスター」ニャース)
チコリ   松野太紀さん(「サクラ大戦」丘菊之丞)
ユリア   皆口裕子さん(「美少女戦士セーラームーン」土萠ほたる
             「カードキャプターさくら」木之本撫子)
ラウラ   南央美さん(「魔探偵ロキ RAGNAROK」ヘル)
ムート   伊倉一恵さん(「サクラ大戦」レニ・ミルヒシュトラーセ)
ザヴィニー 山寺宏一さん(劇場版「ポケットモンスター」2005 年はミュウ?)
ルーイ   緒方恵美さん(「カードキャプターさくら」月城雪兎
             「美少女戦士セーラームーン」天王はるか)
泉の精   三石琴乃さん(「美少女戦士セーラームーン」月野うさぎ
             「コレクター・ユイ」フリーズ)
ルルー   井上喜久子さん(「サクラ大戦」ロベリア・カルリーニ
              「ちょびっツ」日比谷千歳)

 つまるところ好きな声優さんばかりあげてみたら、ベテランばかりになって
しまいましたが…私の中で固定しちゃっているのはフェロールとユーリ、ルルー
かな。フェロールはもう三木さんの声 ・ 鳴りまくりです〜なのでラミアドナ
を林原さんにしてしまって☆ルーイとルルーは同じ声でもいいのでは、と意見
をもらいました。それでもいいかもしれません。
 あと、作者山口氏は神谷明さんのファンのようなので、どうしても入れてし
まいました。山口氏は私よりすこーし年上のようですが、アタシら子供の頃は
そりゃあヒーローって言えば神谷さんだったんですよ!私的には「バビル二世」
がー!!!

 そゆわけで、皆さんも是非、読み返してみてください☆
追記:「フィーメンニンは謳う」を読み返した末に、創作小説を
書き始めちゃいました〜扉は、こちら です。         (05/03/01追記)

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