電気がないと本当に大変!



劇場版「ポケットモンスターアドバンスジェネレーション
        裂空の訪問者 デオキシス」鑑賞記



  こちらは、2004年夏に公開されたポケモン映画第七弾「裂空の訪問者」
の感想文を掲載してあります。


  今作品の内容に加え、これまで公開された劇場版六作品の内容に触れて
いる部分もあり、ネタバレ満載です。また、筆者の頼りな〜い記憶を元に
書いておりますので、事実と異なる記述があるかもしれませんことを、
あらかじめご了承ください。


   映画の内容を知りたくないとお思いの方は、

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 アドバンスジェネレーション (以下AGと表記) 二作目となる本作。
昨年の「七夜の願い星」がマサトとジラーチのふれあい、ハルカにとっては、
弟・マサトへの愛情と、ダイアンたちの大人の恋に触れることでの成長を描き、
主としてAGでの新レギュラーの紹介に重きを置いていたのに対し、今回はそ
こから離れて、完全にゲストキャラたちとの交流を描いていました。タケシの
耳ひっぱり担当をこなし、姉ハルカの本性についてニヤリとしたり。マサトの
細かい描写に、こっちもニヤリ☆

 それにしても、ポケットモンモンスター(以下ポケモンと表記) も、AGに
入ってから顕著なのは、「ポケモンが苦手」な人物が数多く登場することです。
ポケモンはゲームからマルチメディアに広がった作品ですが、基本として「虫
取り」の世界。相手を追いつめて弱らせて (でも死なすほどダメージを与えて
はダメ)ゲットした後は愛情こめて育て、自分自身も成長する。自然が失われ
てきた現代の我々にとって、電源を入れることによって虫を捕まえたり育てた
りできる媒体です。でも、虫は苦手、怖い、嫌い!という人は多い。もちろん
虫や動物には性質や病気の媒介など、危険がいっぱいで、それを理解したうえ
で接するべきなんだけど… ポケモン大好き!という気持ちで突っ走る主人公
サトシを中心に、みんながポケモンに対して肯定的だった前シリーズに比べ、
AGはレギュラーのハルカからしてあの有様でしたから。
(そこから成長していく過程を描くことに意義があったわけですね)

 今回のゲストキャラ・トオイも、ポケモンの暴走という衝撃的な事件によっ
て、ポケモンが大の苦手になってしまった。父親がポケモンの研究者だから、
幼い頃から他の人よりずっと多くポケモンに接していたわけだが… ポケモン
が苦手ということは、ポケモンと過ごしている友人とも疎遠になる。彼の友達
は、植物園に住み着いている謎の意識体だけ。それも、父親がくだんの事件で
採取したデオキシスの結晶体と深いかかわりがあるのだが…

 前作「七夜の願い星」が終始大自然の中だったのに対し、本作の舞台は科学
が非常に発展した都市・ラルース。周囲を大自然に囲まれているにもかかわら
ず、すべてを電気制御した電脳都市だ。日ごろ森の中で迷子になってばかりの
サトシたちは、来訪早々おのぼりさん状態を露呈。ま、そんな混乱の中でもさっ
そくバトルを申し込む相変わらずの熱血ぶりです、サトシくん。タッグバトル
の相手は、美形で冷静な上に可愛い双子の妹がいる、実に完璧なライバルタイ
プのリュウと、ハルカをナンパする命知らず (笑) のショウタ。「君って可愛
いカモ」「カモ?」あの半疑問形娘ハルカに心理的ボディブローをかました
功績は、後世にまで語り次がれるだろう。だからといって、ハルカの口調は
簡単に治らないだろうが (「おいしいかも〜」とか言われるとムカつくよな。
「おいしいんだよ!」と叫びたくなる。叫ばないタケシは、とても大人だ)
 手違いからトオイとタッグを組んでしまったサトシ、当然のことながらトオ
イは何の役にも立たずおびえるばかりで、バトルはあっけなく敗北。
ここでまた、事情を知ったからには放っておけない!と熱くなるのがサトシら
しいところです(図書館とバトルステージが同じ建物ということは、ポケモン
関連施設は文教設備の一部ということなのですね)

 バトルの結果はともかく、トオイに良い変化となることを期待し、父親の
ロンド博士も助手のユウコさんも後押しし、ポケモンクッキーを持たせて交流
させようとしたり(ヘイガニの雰囲気ぶち壊し加減が絶妙!)トオイも少しずつ
心を開き、自分の親友の「意識体」をみんなに披露。彼らが植物園にいる間に、
デオキシス目指してレックウザの襲撃が予測され、避難命令が出される。この
避難の迅速さは実に見習うべきものだな〜と、感心しました。ポケモン映画は、
逃げ遅れた市民が踏み潰されるなんてことはしません!偉い!!
 冒頭のバトルシーンから、デオキシスが電気反応によって対象認識している
のは容易に理解できるのですが、それは大人の連想であって、小さいおともだ
ちにはちょっと分り難かった?

 植物園を脱出したサトシたちだが、実は閉じこもっていた方が安全だったこ
とが、ショウタが連れ去られたことによって明白になる。ハルカをかばって襲
われる辺り、男気を感じる。おそらく報われる日は、永遠に来ないだろうが…
 ロンド博士の研究所まで逃げのびたサトシたちは、篭城を覚悟し水と食料を
探しに行く。ポケモンに触れられないトラウマのために、自分を慕ってくれた
マイナンを救えなかったトオイの思いつめた表情が、非常に印象的。

 ユウコとヒトミ・二人の知性と研究成果が、デオキシスの目的が結晶体であ
ることを導き出し、その再生のためにどうしても電力が必要と判明する。風力
発電所へ、危険を覚悟で飛び出す彼らの前に、当然立ちふさがるデオキシス。
この場面のリュウは美味しすぎますね〜これまでの劇場版でも、旅先で友情を
深める話は四作目の「セレビィ」でありましたが、ユキナリとの交流を一筋を
強調していた。短時間で子どもたちにメインメッセージをきちんと伝えるには、
あまり傍流を作らないのが基本ではありますが、本作ではトオイの他に、この
リュウやショウタとの交流を描き出すことにも、力を注いだ様子がうかがわれ
ます。それでストーリー上全然破綻していないところが、さすが七作目の経験
値といったところでしょうか。

 電気で動く都市が停電した時の不自由さは、森で野宿するより大変。しかも
デオキシスの襲撃を避けながらだし。タケシが潜り込んで修復した風力発電機
は、現実の日本でも設置されはじめているんですよ。間近で見たことはありま
せんが、作中のように巨大な設備なのですね。苦労したおかげで、電力が回復
し、結晶化したデオキシスが復活した。が、レックウザとのバトルはどうなる?!
 今までのポケモン映画同様、これだけじゃ終わりませんとも!意表を突いた、
それでいて納得のいく、最後のバトルを用意しないといけません(いけないと
いうことはないけれど、観客としては当然そこを期待してしまう)
 今回の最終的な難関は、通常ラルースの生活を守ってくれるガードブロック
たちだった。過剰反応したロボットたちが街で暴走する様子は、ある意味ポケ
モンたちのバトルよりも恐ろしい。結局は人間の作り出したものが一番やっかい、
ということなのか。今まで本気で叩き合っていたレックウザを、デオキシス
たちが守る場面は、お約束とはいえ感動してしまいましたとも!
トオイの心の成長を丹念に描きながら、ちゃんとサトシに主人公らしい見せ場
も用意してあるし。

 実際に、これだけ大規模な劇場版を7作も作っていると、ネタ的にかぶると
か、疲弊が出ちゃうとかありそうなのに、やっぱり期待通りのテンションを保っ
て、その上新たなテーマにもチャレンジしている湯山邦彦監督をはじめとする
スタッフには、本当に賛辞を送りたい。今回は短編無しだったわけですが、
「裂空の訪問者」でちゃんとポケモンたちの可愛いダンスシーンがあったから
私的には納得です。劇場版パンフレットも一冊で済むし(むしろパンフレット
売り上げが半分になったわけだから、その辺のお財布事情の方を心配しちゃう
よ)ウルトラセブンに出てきた宇宙人みたいに、ヌメッとしたデオキシス。
攻撃・防御・通常と3パターンに変化する様子も最初は不気味に感じたけれど、
最後にはなんか愛着がわいてくる展開なのです。基本的にポケモンは縄張り
争い以外では闘争しない…それだけ、レックウザの縄張り意識の強さが伝わり
ます。こういう竹細工のヘビ、昔うちにもあったなぁ。どこにやっちゃったん
だろう。彼らのバトルシーンの迫力はすさまじいほどで、いやぁ、金払って
観に来ただけのものを見せてくれるな〜と。あんまり小さいおともだちは怖がる
んじゃないかってくらい、凄かったです・大画面で見ると格別に。

 個性的なゲストキャラが豊富な作品でした。実質本作の主人公として心の成
長を遂げるトオイは、ベテラン・日高のり子さんが担当。いやぁ、さすがです。
慌てたり逃げ出したりする場面が多かったのですが、こういう演技は思ってい
る以上に難しいので、日高さんでよかった〜と、ホッとしました。
劇場版で毎回違う役で出演してくれるヤマちゃんこと山寺宏一さんは、今回は
ロンド博士役。何をやらせてもソツのない人だ。んで、その助手であり、トオ
イには母親のような配慮をみせるユウコさんの声を上原多香子さんが演じたわ
けですが…うーんうーん、SPEED大好きな私ではありますが、この役を今
の上原さんが演じるのは、非常に無理があったと思いました。これをステップ
に、何か前進するきっかけにしてもらえるといいのですが。一方、眼鏡美女を
演じたベッキーさんは、対照的に文句のつけようのない結果を出しておられた
ように感じました。ベッキーさん自身の有能さと、役どころにうまく合致して
いたからなのでしょう。

 いやぁ、実のところ鑑賞した時書いていた二次創作小説 (「メモリアル・グ
ロウ」という、コレクターユイのSS)が、電脳世界で停電が起きて大変だ、
というネタだったものだから、見ながら冷や汗が出ちゃって。ユイの世界でも
風力発電機が発達していて、その辺のイメージも重なってきて…もう半分書き
終えていたので、あまり気にせず完結させてしまいましたが。電気が無いと本
当に大変!という表現が、「裂空の訪問者」ではとてもよく描かれていたので、
やっぱりプロの仕事は違うなぁ〜と、当たり前だけど感じてしまいました。
 でも、現実に今年は台風の襲来が激しく、知人で停電で本当に苦労した方も
いて…その皆さんのご苦労を聞いたり、この映画でサトシたちが苦闘している
様子を見ると、自分の中での、エネルギーとかエコロジーに対する考えが、
まだまだ甘いなぁ、と痛感することしきりでした。

 昨年来、生活とかバタバタして、ポケモンゲームができないどころか、TV
アニメもごぶさたしちゃったりしていたのですが…劇場版を見て、またTV
シリーズもチェック再開しました!実際、劇場に足を運んで映画を鑑賞する
ゆとりというか、精神的にもまだちょっと余裕がない状態が続いていて、まだ
当分こんな調子で、感想を書くのに二ヶ月もかかってしまうありさまですが…
 ポケモンのセンスとかテンポは、自分にとって刺激になるし、なんといって
も毎回とても楽しく、嬉しくさせてくれる作品だと、改めて思いました!
 科学が発展した都市での冒険を体験したサトシくんたち、来年はまた大自然
に戻っての活躍となるのかな?!第八作目も、期待していいと思います。
そう思える、「裂空の訪問者」でした。
                                        (04/10/10記載)

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