ぼくたちの、たった一度の夏……


映画「ジュブナイル」鑑賞記

このページは2000年夏に公開された映画「ジュブナイル」の感想記です。
なお、この作品の公式ホームページは以下のURLです。


・鑑賞日    2000/08/29
・お勧め度  ★★★☆☆  子供がキライ!な人は避けましょう (^^;)
・香取慎吾ファンお勧め度  ★★★★★!!  頼りになって情けな〜い感じが
            実にイイ感じ〜見るべしっ

  時は2000年夏、舞台は砂浜の広がる海辺の小さな漁村である。
少年ユースケ(ちゃんと漢字の名前があるのだが、語感を基調にして表記しま
す)は11歳。林間学校に行った折り、森の方で怪しい爆発音を耳にする。友
達のトシとヒデ、そして少女ミサキの四人で見つけたのは、怪しいロボット・
テトラ。「テトラ、ユースケニ、アッタ」なぜユースケの名前を知っているの?
不思議に思いながらも、いやに強引に主張して自宅に隠匿するユースケだった。

  ユースケの自宅はレストラン。定食屋ではなく、ちょっと洒落たイタリアン
なんぞ出しそうな店である。しかしここ、やたら高台だし、やたら風が強いし、
人里から離れてるし、客が来るのだろーか?ま、みんな車で移動するんだろう
しな…
  んな余計な心配はともかく、一人っ子のユースケである。料理人のお父さん
は、がっちりと頼り甲斐があって、でも多くは語らず息子を見守っているよう
だ。お母さん(麻木久仁子さん)はちょっとおせっかい焼き。っつーか、ユー
スケが内向的で自分の中に閉じこもり気味なのを心配している様子。しかしまぁ
こんなもんだろう、と特に干渉はしない。ユースケは一人っ子ってこともあっ
て、何事も不自由なく与えられて育ったようである。古いおもちゃを弟に取ら
れることもなく、兄貴のお古に甘んじることもない。彼の部屋には、新旧さま
ざまなおもちゃが山積している。だが、紐を引くと開く自動ドアの設置など、
ただのおもちゃ小僧ではない科学者の片鱗が、見えないこともない。

  テトラは、ユースケたちが拾ってきた廃品で何か作っている。相当な科学力
を持つロボットくんである。手足を引っ込めると球形だが、フクロウをモデル
にしたデザインで、むやみに可愛い。よちよち歩くさまは、凶悪に可愛い★
林原めぐみ氏の声が、超絶に合っている。さすがプロです☆☆☆
  ここで、ミサキをめぐる三少年の牽制が見える。ユースケはミサキが気になっ
て仕方ないし、何事も積極的でリーダー格のトシはその事実にムカついてるし、
トシの腰巾着のヒデは卑屈な笑いで場を崩すのだった (^^;)
  この年頃の女の子は発育がいいから、見てるだけでドキドキする気持ちはよ
〜く分かるとも。なんか、むやみにちょっかい出したりして、訳が分からなくっ
て、ずっと後になって「好き」だったんだって気づいたりするんだよな〜

  テトラはインターネットにアクセスしたいと言い出したが、さすがのユース
ケもプレイステーション2(以下PS2)が関の山である。PS2もそのまま
ではインタネ接続出来ない…というので、ミサキの提案で学校裏の「神崎ラヂ
ヲ商会」に不法侵入することに。意外に大胆な娘である (笑)
  ここで神崎青年登場(香取慎吾さん)20歳くらいの若者で、家業の電気屋
を手伝っている…のは表向き。高校時代にいくつかの重要な特許を取得し、ゲー
ムのクリエイターとしても活躍している。古い店舗内にところ狭しと並ぶ得体
のしれない機械群はほとんどリースで、年間1億円もの保守費用がかかるが、
全然ラクショーで維持管理している、本気の物理学者なのである。少年たちは
「一億円」の数字だけで、ビビりまくる (^^;)
  そういうわけで神崎はホンマもんの天才重力物理学者なのだが、自分の世界
に夢中になると周りが見えなくなるし、周囲に同調できない…という気弱で優
しい青年である。神崎はこの作品の中で、ユースケに非常に類似した、同じよ
うな方向性を持つ人物として描かれているように思われる。ユースケは神崎を
尊敬し、一種憧れをもっていくようだ…

  どうやら友達のいないらしい神崎。ま、頭はいいし付き合いにくいし、そりゃ
そうだろうけど…子供たちを、簡易タイムマシンの実験に同行させるのだった。
神崎が創り出した極小ブラックホールに吸い込まれた「ピカチュウ」の絵は、
なんとテトラのいた森に出現!てっきり神崎のテトラだと思い込んだ子供たち
は、彼にテトラを返そうとするが、神崎に心当たりはなく反っていたずらに科
学魂を燃え上がらせるばかりだった (^^;)

(この作品、随所に「ピカチュウ」が出てくるのですが、これは「ジュブナイ
ル」 と「ポケットモンスター」が東宝系映画で共通しているわけなのです)

  テトラにはプロテクトがかかっていた。テトラがなぜここにいるのか、どこ
から来たのか質問すると、テトラは混乱してしまった。最終的に、ユースケの
元に来たのも、神崎のワームホールに出現したのも、偶然ではなく必然と分か
るのだが…
  ここで、ミサキの親戚の姉さんノリコ(酒井美紀さん)を、紹介せねばなる
まい。東京で女子大生してるノリコは理系らしく、神崎を知っていた。なんで
も、彼女のゼミに招かれていた神崎が、教授の理論の穴を看破したとのことで
学生たちは彼を「ジーニアス(天才)」と呼んだとか。神崎自身は大学に通っ
てはいないようだが…ま、この人学校向きではないし、論文を書けば学位の
習得も全然簡単そうだ。まさにジーニアスか。
  しかしまぁ、天才はともかく女の扱いはほとほと弱い。なにしろ話す内容は
自分の研究のことばかりだし。ノリコを意識して好意を抱いているのは間違い
無いのだが、彼女を送って電車を待つ駅裏でも、え〜雰囲気にはなるのだが押
しが弱い。ああ、こんな風に優秀で優しくて良い奴なのに女とご縁がつながら
ない研究者が、世の中にどれほどいることか (T^T)
  女性の皆さん、時には男どもの世界に、理解を示してやってください (泣)

  ノリコの素晴らしいヒントに、やおら研究意欲を沸かしてしまう神崎、呆れ
ながらもそんな神崎を温かく見つめるノリコ。だが、事態は急変する。ノリコ
の「顔」をコピーしたヴォイド星人が、己の目的のために彼女を拉致してしま
うのである。自分の世界に入っているので、全然気づかない神崎。困った奴(^^;)

  テトラは行方不明になった。廃品回収の親父(いい味出してます)に追いか
けられながら、必死に探す少年たち。一方、ヴォイド人は神崎に化け少年たち
に襲い掛かる。なんとかヴォイド人を倒し神崎を救い出すが、テトラをめぐる
不穏な事件に、困惑する一同…
  一方、ロボット研究所に入り込み資材をごっそりいただいてきちゃうテトラ
である。こいつ、車の運転が出来るんです (泣) 手から接続肢を延ばして、ト
ラック運転しちゃうんです (汗) きっと、俺より確かな運転技術なんだろうな〜
  テトラにまんまと資材を与えてしまう研究員は、キッチュ・松尾貴史氏が
演じています。これ以上はないほど、ハマってます。やっぱ研究員といえば、
佐野史郎氏か松尾氏。ま、佐野さんは医療系、松尾さんは工学系って感じでさぁ
な。

  ヴォイド人は地球の水を狙っていた。惑星開発に水は欠かせない。テトラ型
の(ってこの場合は三角錐の意)機具によって、地球の水をすべて奪い去ろう
としていた。そのために、この時代にあるべきではない物体・テトラが障害に
なるだろうと気づき追っていたのだった。ここで、さきの隠匿物資(笑)によっ
てテトラが創った、搭乗型ロボット「ガンゲリオン」登場!ガンゲリオンでヴォ
イド人を追うユースケに対し、神崎はノリコ救出に向かう。
  神崎が出づっぱりだと彼が主役を食っちゃったんだろうけど、ここで別働隊
になることで、ユースケの頑張りが目立ちます。特に、誘拐されたミサキを自
分で取り戻す!と宣言するところは、さすがのトシも納得の気迫なのでした。
いや〜恋する少年の気合には、負けますです。神崎もそこはかとなくらぶらぶ
だったしぃ (^^;)

  ちなみにこのガンゲリオン、PS2のゲームを元にテトラが作ったもので、
コントローラーもゲーム機、そのまんま (爆) もちろんエンドテロップには協
賛として銘記してありましたとも、SONY。ゲームのままに、ゲームのよう
に巨大ロボットを操縦したい!そんな望みを持たないものがいるだろうか、い
やいない (反語) 小学生のお兄ちゃんたち、手に汗握る大バトルである。小さ
いお友達は、かなりビビっていたが…

  と、いうわけで漁港での死闘です。関係ない車や漁船が破壊されてしまいま
す、人的被害には及ばなかったが。トシや神崎も合流し、ミサキを助けに行く
ユースケ。だが、こちらには武器も無いし…ところが、ヴォイド人はプールの
水の入った三角錐をそのまま転送しちゃったもんだから、本船の機能が破壊さ
れ、地球水奪取計画は、文字通り水泡と化したのでした。あっけない…でも、
実際計画が頓挫する瞬間とはこのように一瞬なのだ、大抵…

  無事ミサキを取り戻し、仲間の元へ帰るユースケ。だが、帰還するヴォイド
人も、いーかげんひつこい (笑) 最後の悪あがきで「お前だけは許せん…」と
ユースケを狙います。いやぁ、悪役の見本みたいな奴 (^^;)
  ユースケを守って、壊れてしまうテトラ…その機体を胸に、ユースケの夏は
終っていった…

  さて、ここから2020年である。ユースケはテトラを修理することを目標
にロボット工学を学び一人前の技師になっていた。もちろん、彼の隣には最愛
の伴侶・ミサキがいる。いや〜この映画の一番困ったところなんですけど…

         鈴木杏 が  緒川たまき  になっている!!

ってとこです (爆) も、本当に参った。鈴木杏って少女は、目鼻立ちのはっき
りしたハーフっぽい美少女で、緒川たまきは日本人らしい端正な顔立ちなんす
よ。緒川さんは「新日曜美術館」の案内役をやってらした時、とっても好きに
なったんすけど…例えるならば、

         梅宮アンナ  が  広末涼子  になってしもた!!

って感じでしょうか (^^;) ま、いいんだけど…キャストの謎だ。

  この未来編、大人から見るとちょっと冗漫でした。テトラは、未来のユース
ケが送って来たものだということは、伏線としてすでに紹介されているのだし。
とはいえ、この映画の対象である小学生には、これくらい丁寧に説明してあげ
た方が親切ってもんかもしれません。神崎重力物理研究所から、過去へテトラ
を転送する大実験には、トシとヒデも到着。いやぁ、川平慈英さんでしたよ、
ヒデ。う〜ん、いつもは気取ったハーフの役が多い川平さんが、情けねー腰巾
着のなれの果てを演じてらして、ここは爆笑でした。しかし、40過ぎの香取
君、めっちゃかっこいいっす!ひげ生やして、髪を後ろで束ねてるんすけど、
シブイ、シブイっ☆ああいう四十代に、ならなアカンね〜!神崎も、ノリコさ
んと一緒になったようです。ま、この男がこの先別の女性をゲットできるよう
な甲斐性にも見えないし (^^;)
  冒頭、球形のテトラが飛来するシーンで、物語の幕が閉じられます。

  私は未来編が冗漫に思えたけれど、「ジュブナイル」ということ自体を思う
返すのは、その少年期の直中にいる者ではなく、それを過ぎ去った者のみが捉
えることができるのかもしれない。青春とか、思春期とか、本当にその真っ最
中を過ごす時は、決してそれが素晴らしいとかサイコーだとか思えないんじゃ
ないだろうか。子供だからできないこと、やり残したこと、手のとどかないこ
と、そんな苦い液で満たされていたような気がする。でも、後になって考えて
みると、そんなジタバタしていた時期が一番輝いていたような気がする。
  ユースケたちの「ジュブナイル」は、思い出だけで終らずその後の人生をす
べて支配してしまった。未来からの贈り物がもたらした影響が、よかったのか
悪かったのかどうか、時空を越えることの功罪の判断はつかないのだけれど。
今自分の目に見えるものだけではなく、過去や未来や宇宙や海や、いろいろな
ものからこの世界が成り立っていて、その中で自分がなにをしたいのか、どう
生きていくのか、そんなことを考えてみるのもいいな…と思いました。

  かくいう私も、未来のユースケと同年代。子供の時思った自分と、今の自分
はどんな風に違うっているのだろうか…よし、インタビューしてみよう
  というわけで、1980年の私に来てもらいました。

現在私「え〜20年前の私よ、君将来何になりたいか?」
過去私「別に…普通の会社員になってるんじゃない」
現在私「(ちっ、面白味の無い奴)夢とか、あるかな?」
過去私「そうだなぁ…大人になってお金をかせいだら、アニメ雑誌全部毎月買
       いたいなぁ。今はおこずかい少なくってさぁ」
現在私「(ごめん、今もボンビーで買えてないんだ・汗)だって、月刊OUT
       廃刊しちゃったし…」
過去私「えっ、OUTやっぱり廃刊しちゃうの?!」
現在私「………。最後に、何か質問ある?」
過去私「20年後の世界で流行ってるアニメって、何ですかー!」

  すいません、人選を間違いました (恥)
も、かくなる上は20年後の自分をよりよくする方向を目指すべきですな。
はたして未来の私は、素晴らしい老境を迎えようとしているのか?!
未来はこれから築かれるものなのだー!

                                              (00/09/13記載)
ホーム