TVアニメ「鋼の錬金術師」感想 全話総括 全体の感想と映画への展望 そゆわけで、TVアニメ「鋼の錬金術師」もめでたく、すべて視聴し終えた 今、総括っていうか、まとめに一言駄文連ねさせていただきます。 基本的には原作から入ったファンですので、TVアニメの展開や設定には 今ひとつ入り込めなかったです。そのため、これまで書いてきた感想もかなり キツイ表現が多くなってしまいましたが、本文もそういう気持ちを払拭できて おりませんので、そのつもりでお読みいただきたく思います。てことで、TV アニメの内容を全面肯定し、批判等はまったく受け付けないという人は、 「百草園」扉 または ホーム にお戻り下さい。 別に良い悪いことではありません。見方の違いというだけです。 ・CAST 登場人物に声優さんを配役するのは監督の権限でしょうが、原作 のイメージに合った、素晴らしい配役だったと思います。基本的に女性の少な い、むさくるしいおっさんばかりのコミックですので、少年役で女性声をきく ことができる場面はオアシスでした☆ ・STAFF 全51話、丸一年ほとんど休みなく放送し続けることは本当に 大変でしたでしょうし、多少絵が荒れても仕方ないところですが、これがまた、 見事な作画力で…しかも後半に向かうにつれてより斬新な動き、丁寧な描写が 見受けられて、正直絶句するようなところがありました。本当に、感嘆でした。 まぁ、構図がロングになるとき、ちょ〜っと手を抜いてるかなぁ〜と思うとこ ろもありましたが、人物のアップはまったくくずれていませんでした! 作画監督を務められた高橋久美子さん・古賀誠さんをはじめ、ED作画鈴木 典光さん、原画でたびたび登場の長谷部敦志さんなど、「カードキャプターさ くら」を観てた身としては懐かしく、同窓会に来ちゃったような感慨に震えま す☆最終回なんて第二原画があり、そちらになんとっ香川久さんのお名前がっっ セーラームーン時代からずっと素敵な絵をお書きになってる香川さんが、この 物語のトリでやってくれましたのですねっと、一人感動に浸る… ・音楽 大島ミチルさんのお名前をはじめて知ったのは…やはり「ワーズワー スの庭で」のED「シャ・リオン」でした。週末のたる〜い空気の中に響く 不思議な音楽…さて、それが鋼にどう出るか! 結論からいうと、重すぎ。それは脚本が重過ぎだから、仕方ない。製作サイド の思惑通りの曲ができて、使われているのだから。方向性の問題です。ただ、 なんども申し上げましたが、ロシア語で歌われている「ブラーチヤ」(兄弟) と いう曲の効果は、本当に素晴らしいものでした。そりゃー「シャ・リオン」や 「ICO」の音楽と似てるっていえばそーですが、同じ人が作ってるんだから ある程度仕方ないじゃないですかー!!ま、そういうわけで、普通のアニメら しからぬ音楽ではありましたが、スタッフの目指すところには上手く向かって いたのではないでしょうか。 各OP・EDについては、各クール感想に書いた通り、原作のイメージを ふくらませた、素敵な作品群だったと思います。 ・原作との差異 これはもう、いろいろあるのですが…あくまで原作既刊10巻までを前提に して、の差です。アニメで出てきた「えーっ、そんなんアリ?!」ってな技も、 今後原作で登場するかもしれません。 まず、主人公による殺人。今のところエルリック兄弟は誰も殺さないですん でいますが、アニメではマジハール・グリード・スロウスなどに手を下してい ます。きれいごとを言うようですが、主人公には殺人はしてほしくないですねぇ 第三巻で48を殺すのを、拒否したのですから… 次に、自殺。原作2巻そして10巻で、生きることを諦めようとする者に 強い怒りを表したアルフォンス君。だから…スライサー弟やグリード、スカー の自殺を描いたアニメへの違和感が有る。少年少女向きのコミックスとして、 このまま自殺否定を貫くつもりなのか。それとも禁断の技として、今後描いて いくおつもりなのか原作者様。すべては、見守っていくしか、ない。 ホムンクルス…錬金術師が人体錬成を行い失敗した存在に賢者の石を食べさ せると、ホムンクルスになる…というのがアニメの設定。原作では7人とも 「お父様」が生み出したことになってますね。お父様の目的はおそらく「完全 なる賢者の石」の完成なのだろうと思いますが、なぜホムンクルスたちがここ まで忠誠を誓うのか。お父様自身の目的の正当性が、どこかで出てくれないと 納得いかないなぁ、とは思います。 兄弟。原作でもスカー兄弟、スライサー兄弟などが登場していますが、アニ メではイシュヴァール兄弟、偽兄弟(小説版から)など、これでもかと兄弟の 関係が強調されていました。大人の視点からだと「くどい!」と思うけど、 若い人向けだと、これくらい出すのがちょうどいいのかなぁ。 アニメーションというものが、子供向けの娯楽にとどまらず、大人の鑑賞に も耐える芸術作品だという認識が一般に広まるのは、とても喜ばしいことだと 思います。その中で、アニメスタッフに原作とは違う作品性を出していこうと いう強い意志が生まれるのは、とても素晴らしいことです。確かに視聴者と しても、原作コミックスと同じ構図・同じセリフをベタ付けで見せられても、 芸が無いなぁと思うでしょう。ただ、だからといって原作の良さとはまるで反 対の方向に突き進むような製作方針も、いかがなものかな、と。原作の姿勢に 沿っても、アニメーターとしての個性を生かした名作は作れると思うのですが。 ・赦される父性と赦されない母性 アニメの中には、家族を捨てた甲斐性なしのお父さんが何人も出てきますが、 どいつもこいつも結局は赦されてますね。まぁ、頑張ったんだしってことで。 しかーし!母は赦されない。オリジナルキャラクターとして登場したスロウス ・ダンテ・ロゼ…いずれも異なる母性でしたが、基本的に母なる存在は、女と して生きることを赦されていないような…… ダンテは多くのものを生み出し たが、長い人生とひきかえにそれらを捨て、また捨てられていく。ロゼは女と しての幸福云々を飛び越えていきなり母になってしまうが、それゆえに純然た る母・聖母として存在し、エドを救う。そもそもの発端である母の再来である スロウスも、兄弟は容赦なく処分せざるを得ない。うーん、つまるところ母親 って、父親よりも求められる要素が多いのかなぁ。ロス少尉の抱擁に「母さん…」 っとつぶやく場面とか。かくあるべし、っていうか。 自分たちを生み出したものから卒業することが、少年の心の成長ということに つながるのかもしれない。が、結局は男の、父親からの描き方だと感じたり。 ・二つの世界 アニメ終盤で、いきなり出てきたこっちの世界。このズルイ設定が、原作で も登場するのか?私は、そうは思っていません。なぜなら、原作ではすでにも う一つの世界・シンが登場しているから。西洋と東洋という対比がある以上、 現実世界とか、そこへの扉とかは、原作には出てこないんじゃないかなぁ。 日本には古来西方浄土説…善きものが西方にあり、そこから来たりそこに 至るという思想があったわけですが、一方の大陸にも東方に不老不死の妙薬が あって探しに行く(徐福伝説)話などもあり…その辺もふまえて日本人読者と しての「こちらの世界」はシン国として、かなり誇張されつつも提示されて いるので、アニメとは違う展開と結末を迎えることでしょう。っていうか、 迎えてくれ。 ・TVアニメでの、マリア・ロス 第二期 #18 から登場したマリアさん、原作と比べより厳格に、そしてより 母性的に描かれています。ま、終盤ちょっと遊ばれた感もありますが (^^;) 原作では殺人犯として抹殺されちゃった頃だったから、これだけ登場してくれ れば御の字!と思います。#42・#43 でのブロッシュ君とのやりとりが、単に アニメスタッフのお遊びだったのか、「原作でも後半この二人は云々」という 原作者ご自身の意向の反映だったのか。後者だと、とても嬉しいなぁ。 ロス少尉役の斎賀みつきさんが「ブロッシュさんとのやりとりは楽しかった」 旨をご自分のHPで書いておられたのが、すごく嬉しかったです!!TVアニメ と原作は違うし、スタッフもキャストもさまざまな気持ちで取り組んでおられ たとは思いますが、観る側の私が楽しかった部分を、キャストの方もそう とらえてくださっていたのが、やはり嬉しい。 しかしまぁ、前述「父性と母性」にもあるように、どちらかというと男性の 視線で作られたTVアニメなので、原作に登場してエルリック兄弟を導き、 支え、叱咤する存在のヒロイン:ウィンリィ・ピナコばっちゃん・イズミ師匠・ ホークアイ中尉・ロス少尉各位、やはり原作とは趣きがかなり異なる感あり。 で、終盤はオリジナルキャラの母たちとの対峙が、メインになりますし。 製作者の性別で作品を判断するのは嫌いなんですけどね…だからこのHPでも、 これまで私自身の性別をはっきり出すのを避けていたのです。人間を、 二種類に分けきれるものではないと思うし(私なんてものすごくグレーゾーン なヤツだと自認してる)とはいえ、性別というものが歴然と、思想や思考に 反映されるのも事実で…特にこの作品のようにシリアスなものだと、結局のところ 性差による認識の違いが顕著に出てくるのかなぁと思ったりします。 ・劇場版への展望 この文章を書いている時点で、劇場公開まで約一ヶ月と迫っているのですが、 TVアニメ自体にそれほど入れ込めなかった私としては、劇場に足を運ぶかど うかは、考慮中です。短い夏休みになんとか帰省しようと四苦八苦していると ころですので、予定に組み込めるかどうか。う〜ん。 別れ別れになった兄弟の再会への壮大な物語を、二時間かけて劇場の大画面 で観てみたい、という気持ちはあります。メインキャラクターは、皆さん登場 してくれるみたいですしね。マリア・ロス少尉も、もちろん!(この項は、 ロス少尉役の斎賀みつきさんのHPにて拝見しました)いまや「少尉」の階級 も失い、いつ再登場してくれるものやら知れない原作の状況を見るに、彼女の お姿と声を確認するだけでも、金をかけてしまいそうな自分がコワイ。ま、 ほんの少しの出番のようですが…(これも前述HPにて)話の流れ上、仕方 ないでしょうね。 ただ、マスタング氏の扱いなど、アニメスタッフらしい過酷さがあるようで、 やっぱり不安。楽しい表現:Aと、しんどい表現:Bがあったら、間違いなく Bを選んでくれてきたTVアニメだったので。こればっかりは、観ないうちに ごちゃごちゃ言っても仕方ないことですがね。TVアニメを視聴したことに よって原作の良さを再確認した部分も多かったのですから、手放しで「好き!」 というわけではないですが、全話を視聴して感想を抱き表現してきたことには とても意義を感じています。 TVアニメもストーリーを知った上で視聴していたので、劇場版についても 面白かったり良い点があったら、それを拝見したうえで観たいなぁと思ってい ます。CSの有料放送などで一年以内に放送してくれるのではないかと、勝手 に期待しているのですが。とりあえずホーエンハイムには、息子達への責任を 果たしてほしいですね・もちろん含むエンヴィー!! 私的勝手に「ベスト3」話数 ・第18話「マルコー・ノート」マリアさん! ・第22話「造られた人間」マリアさーん!! ・第34話「強欲の理論」グリードさぁん!! 私的勝手に「ワースト3」話数 ・第04話「愛の錬成」もーどしたらよいやら★ ・第35話「愚者の再会」恋愛の反面教師 ・第24話「思い出の定着」エピソードは良いが散漫 次点・第10話「怪盗サイレーン」これはこれでいいです(^^;) (05/06/19掲載) |
ホームへ