コレクター・ユイ 二次創作小説
MEMORIAL GLOW
メモリアル・グロウ
chapter.2
「や、やっと、終わった〜〜」
精根尽き果てた結が、教室からフラフラと出てきてみると…晴天雲一つ無い
夏空だった。日陰を求めて、ズルズルと這ってしまうほど…スクロール学園の
広い校庭の隅に、見慣れた人影を見つけたので、元気を取り戻して走り寄る。
「あっ、春菜、バカシ〜 学園祭の準備、進んだ?」
「あぁ、今日のぶんは終わり。しっかし結も物好きだよなぁ、なにが楽しくて
夏休み中に特別補習なんてさ…」
「う、うるさいわよ、バカシ!アンタだって大して変わらないじゃないの、
アンタが受けずにすんだぶん、わたしが苦労してやったのよ!」
なんだと!なにを!と言い合いする二人を、しばらくは曖昧な笑顔で見つめ
ていたけれど…そのうち時計に目をやり、ごめんなさい、時間だから…と、
そそくさと去っていった春菜だった。
「春菜…ホント最近、どうしちゃったんだろ??」
彼女の後ろ姿を見送り、ため息交じりのタカシがポケットから取り出した
チケットを、結は見逃さなかった。
「あーっ!それって〈メモリアル・グロウ〉のチケットじゃない!しかもそれ
は…ペアチケット!!でも、それほど特別な感じには、見えないわねぇ」
藍色の地色に、金で〈MEMORIAL GLOW〉と線描きしてある、デザインはとて
もシンプルなチケットだった。
「甘いな、結。こいつの価値は、メモリアル・グロウに参加することで変わる
んだよ。チケットの表面には特殊な加工がしてあって、メモリアル・グロウの
会場の灯火…あの、発光体を使ってるってやつを、一定時間照射させることに
よって、光沢を帯びた色彩に変化するんだ。もちろん、人体に影響なし!」
「しかも、これペアチケットでしょう!これって、一枚一枚つなぎ目が違うか
ら、ペアの券とだけピッタリ合うんだよね〜小型カードだから、後でペンダン
トにも加工できるって… まったくもう、この、カップルさんときたら!」
幼なじみの遠慮のなさからタカシをバシバシと叩きまくったが、ふと、我に
かえる。
「あれ?でもどうして、まだ春菜に渡してないの?あーっ、ダメよ、ダメダメ!
わたしは受け取らないわよ、アンタのこと幼なじみって以上に思ってないもん。
それに、親友の彼氏を盗らなきゃいけないほど、困ってもないんだから!」
「バーカ、こんなときにジョークを言うなよ……」
真剣に悩んでいる様子のタカシに、一瞬、かける言葉が見当たらない。
「如月のやつ、最近俺に、隠し事してるような気がするんだ。結、お前…何か
思い当たらないか?」
そんなこと言われてもねぇ…そりゃあ〈コレクター〉であることは家族にも
友人にも秘密だけど、そんなの、昨日今日はじまったことじゃないし…
「ひょっとしたら、進路のことかもしれない…俺の成績じゃあ、如月と同じ
レベルの進学コースは、とても望めないし……」
ジリジリと焼けつく空気は、木漏れ日越しに、頭に振り落ちてくる。
「もっ、もうっ、なによっ、バカシのバカは今に始まったことじゃないでしょ、
そんなの承知で付き合ってるんじゃないよ。バカはバカなりにみどころがある
んだから、自信持ちなさいよ!あ、メモリアル・グロウのことなら気にしない
でいいからね、二人で仲良〜く過ごしなさいって。わたしはたぶん、レイコや
アキコと一緒に、ダラダラ楽しむだろうからさ〜」
「結…おまえ、知らなかったのか? あいつら……」
目の前の事実をどうしても受け入れられず、目をこすった。何度もこすった。
何度見ても、変わらなかったが。目の前を、レイコと一太郎、アキコとヒデト
が仲良く談笑しながら、通り過ぎる姿を…
「ど、どーしてぇ?!」
「ユイ殿!遅いでありまする〜強力な〈コンピュータ・ウィルス〉が発生と
お知らせしてから、ず〜いぶん経ったのに、何をしていたでありまするか〜!」
「ううう、わたしだって乙女なのよ、コムネットの妖精・正義の美少女である
前に、繊細なお年頃なのよ… 落ち込むことだって、あるんだから!」
IRは、三本指でポリポリと頭(兼・胴?)を掻いた。出動可能なコレクター
ズはすでに事件現場にアクセスしており、チャットルームには彼と、グズグズ
拗ねるユイしか残っていなかった。
「だいたいIR、どうしてエレメントスーツが最初のノーマルタイプに戻っちゃ
ったのよ!…そりゃあ、ファイナルスーツは無理だろうけど、せめてハイパー
スーツだったら、もうちょっとヤル気も出るのに……」
「無茶を言わないでありまする〜ハイパースーツは、その後の調査でメモリー
がかかり過ぎることが判明したでありまするから〜。この件については、犬養
博士から、キチ〜ンと説明があったではありませぬか〜」
IRは、お月様より真ん丸な頭と目玉をパチクリさせ、作戦を変更した。
「…つまり、博士はユイ殿の内面的成長を考慮し、外見にかけるメモリーを
省いたのでありまする。ユイ殿に蓄積された経験の豊富さが、外見的変化を
必要としなかったのでありまする〜」
「それって…わたしが、立派だってこと?」
「もちろんでありまする〜 それにみどもは、やはりノーマルスーツが好きで
ありまする〜 初めてお会いした頃の懐かし〜い思い出がつまったそのお姿が、
一番気に入っているでありまする〜 何事も、基本・原点を大切にすべきなの
でありまする〜」
「そ、そうかな… よーっし!なんだか、ヤル気が湧いてきたわよー!
〈エレメントスーツ・ミラクル・ダウンロード〉!!」
「そうでありまする、それでこそ〈コレクター・ユイ〉でありまする〜」
IRのHDには、ユイをその気にさせるノウハウが蓄積されているのだった。
平凡な少女、春日結は今、コムネットを守る〈コレクター・ユイ〉に変身す
る。左手首のコムコンを高く掲げ、その光の中からエレメントスーツがダウン
ロードされる。胸元に強くインストールされるデータによって、紅潮する頬の
中…ピンク色のスーツ、揃いのブーツ、撫子の花のようなフレアー、右耳に
装着されるインカム、マジックワンド…そして、背中には妖精の羽根。この
スーツはもともと、銀河ランドのアイテムの一つだったのだ。
「さあっ、今日もコレクター・ユイで決めるわよ!」
「…って、暑い… ここのどこが〈爽やか涼しい高原リゾートネット〉なの!」
「われわれコレクターには、鳥のように飛ぶことができる能力がありまする〜
地上を歩く一般のアクセス者よりも、ずっと涼しいはずでありまするよ〜」
かくいうIRの額にも、玉の汗が浮いていた。なぜロボットが汗をかくのか?
冷却機能なのかもしれない。そういうことにしておこう。
「そんなこと言ったって…こう暑くちゃ、焼き鳥になって、落ちちゃうわよ…
って、あそこ、すっごい火事じゃない!おまけに、逃げ遅れた人がたくさん
いるわっ!」
「まずは、ネット客の避難誘導でありまするな〜」
ユイとIRはまず、ネットアクセス者の避難に追われた。火災現場の中心に
たどり着いた頃には、その被害はいっそう広がってしまっていた。
「おーい、ここだ、ユイ、IR!」
「コントロル!」
声のするところに立ち降りてみると、コントロルとシンクロが男二人、ホー
スから吹き出す水をひたすら炎に向けるという、コムネット時代にはおよそ不
似合いな、原始的な消火活動を遂行していた。コレクターズは、人間同様の感
情と感覚を身につけている。当然、この作業はとっても暑い。というか、熱い。
「コントロル殿、こ、こちらのネットには、消火システムは無いのであります
るか〜」
「あるはずだが、作動してないんだ。救急システムもな!」
「わたしにまかせてよ、こんな火、すぐ消しちゃうから!みんな下がって!
〈コレクター・イニシャラーイズ!!〉」
ユイがマジックワンドをふりかざした。星型のエネルギーが、一面に降り注
ぐ。これが、異常を来したコンピュータ・システムを正常に戻す、〈イニシャ
ライズ〉能力。コレクターのみに与えられた、強力な浄化能力である。だが…
「あれれ〜火の勢いに、コレクター・イニシャライズが飲み込まれちゃった〜」
「被害が広がり過ぎているんだ。ユイ、まずは、ウィルスの中心を叩かないと、
効果が無いぞ!」
「ウィルスの発生源はどこでありまするか〜?」
「それが…レスキューが行方不明で、分からないんだ」
「ええ〜??なんで、どうして?!」
シンクロの説明によると、こうだった。コンピュータ・ウィルスの発生の
第一報で、このネットに三人が到着した時は、まだ異常は見当たらなかった。
ところが、突然火の手があがり、一瞬でレスキューを見失ったのだという。
「レスキューは、コンピュータ・ウィルスには特別の注意をはらっている。
だいじょうぶ、だとは思うのだが…」
いつにないシンクロの不安そうな表情に、かえってユイは口元を引き締めた。
「わかったわ、とにかくウィルスの発生源を探してみる。もちろん、レスキュー
も見つけ出すわ!それまで二人で、なんとか延焼を食い止めてね!」
「みどものデータ解析能力で、ウィルスの中心を探知してみますけれども…
どうやってこの炎の中を進みまするか〜?レスキュー殿の水の能力が無いと、
無理ではないかと…」
ふっ、と不敵な笑みを浮かべたのはコントロル。左手のコムコンを掲げる。
「今こそ、俺の力が必要のようだな。ユイ、リーダーの俺の力を受け取れ!!
〈プリズム・インストール!〉」
風が、巻き起こる緑の風が、ユイの体を包み込む。激しく、それでいて静寂
すら感じさせるその渦の中で手を広げた時、コレクターに新たな力が加わる。
つま先から、指先から、軽やかな空気をまとうかのように広がってゆく風の
スーツ。森の木の葉の間に隠れてしまったら、きっと見つけ出せないだろう。
ソフトのコムコンから受けた能力は、元のソフトの何倍もの力で発揮される。
「〈ウィンド・エレメントスーツ、ダウンロード完了!〉行くわよ、IR、
〈ロールアップ・ウィンド!!〉」
「…いいぞ、ユイ! さすがはリーダーの力、恐れ入ったか〜」
「いいから、黙って火を消せ!」
「風の力と加速能力で、なんとか火を避けながら進めるけど…どうなってるの
よ、この建物!いったい、どこまで続いてるのよ〜」
「この建物は高原リゾートネット自慢の、巨大ホテルでありまする〜 宿泊
施設はもちろん、温泉・プール・遊技場、ありとあらゆる設備が整っているで
ありまする〜」
「もうっ、増築すればいいってもんじゃないわよ!まだ、ワンちゃんの別荘
ネットの方が、こじんまりして良い感じだったわよ〜」
シンクロ殿には聞かせられないセリフでありまするね〜と、IRの目が半月
になったとき、ユイの悲鳴が響いた。
「ユイ殿!前方から怪しい物体が迫っております〜気をつけるでありまする〜」
「あ〜ん、知らせるのが遅い!もう捕まっちゃったわよ〜〜」
コントロルとシンクロの地味〜な消火活動は、延焼を食い止めてはいるもの
の、それ以上の効果は得ていなかった。コムネットの消火機能の回復を期待し
ていたのだが、どうやら完全に麻痺しているようで、いっこうに応答が無い。
「おいっ、このままじゃ、ユイの応援どころじゃないぜ。加勢を呼ぶか?!」
「しかし、アクセスポイントからの距離を考えると、時間的には……」
炎の勢いは、弱気な考えをなめるように、舌を伸ばしてくる。その時…
「はぁい、お兄さん方、ずいぶん苦戦してるじゃないか。だらしないねぇ〜」
「そ、その声は?」
「フリーズ!」
氷の女王が、軽く吐息を掛けると…氷の花束がトゲとなって突き刺さり、
踊る火の波が一瞬で凍りつき、そして、砕け散っていった。
〈フリーズ〉は、コムネットのホスト・コンピュータ〈グロッサー〉が反乱を
起こした時に、自ら生み出した三つのソフトの一つだ。グロッサーの指示の元、
〈グロッサー四天王〉は、コムネットの支配のために暴力的な行動を続けた。
コレクターと死闘を繰り広げたフリーズはしかし、グロッサーの正常化後は
流浪の身となり、その成り行きはコレクターズもみな案じていたのだった。
「どんなもんだい、システムを凍らせる能力ってのも、たまには役立つだろ?」
「おまえ、いったいどうして……」
グラスをあげて、意外と愛敬のある目元をニヤリ、とさせるフリーズ。
「ついでにコンピュータ・ウィルスの居場所へ案内させてあげようと思ってる
んだけど… 一口、のるかい?」
フリーズの冷凍能力のおかげで、高原ネットの火災は、ほぼ鎮火した。今、
ユイの応援のために巨大ホテル内をひた走る、コントロルたちだが…
「っておい、また行き止まりじゃないか!本当にこっちで正しいんだろうな?」
う〜ん、どうかなぁ〜と考え込むフリーズに、顔色を失う男二人。
「だからさっき言ったとおり、あたしのウィルス探知能力はレスキューのとは
違って、データに基づいたわけじゃないからさぁ。直感というか、本能って
いうか、まぁその… いわゆる、なんとなく、ってやつだから…」
この役立たず!と、怒鳴り散らしたい気持ちをどうにか抑え、コントロルは
行き止まりの壁を押した。押したとたん、壁はズ・ズ・ズ……と鈍い音を立て
ながら、ドスンとこちらに倒れてきた。加速能力のあるコントロルだからなん
とか逃げることができたが、もし他のコレクターだったら、今ごろこの壁の下
で、ペッシャンコ…?
青くなった後赤くなっているコントロルの顔色をうかがいながら、ごまかし
笑いをしつつ、フリーズは後ずさり。
「こ、今度は、行き止まりじゃないと、思うからね…たぶん」
次の瞬間、三人は、まとめて落とし穴に落ちていた。
「くぅ〜〜っ、落とし穴に落ちるヒーローなんて、カッコ悪すぎる〜」
「このトラップの感触って、どこかで感じたような…どこだったっけ?」
「二人とも、考え事は俺の上からどいてからにしろ!早く、早くユイのところ
に行かなければ…」
「ユイ殿〜だいじょうぶでありまするか〜」
「全然だいじょうぶじゃな〜い!こ、この包帯だらけのミイラくんが、わたし
までミイラ人間にする気なのよ!包帯って、こんなにキツかったっけ…ムギュッ」
「みどもも、グルグル巻きであ〜りまする〜〜 あーっ、ユイ殿、大変であり
まする!大型注射器の群れが、出現したでありまするーっっ」
それは常軌を逸した大きさだった。ユイの身長をはるかに越えた注射器が、
ガラスの丸みを光らせて、ジリジリと迫ってくる。その鋭利な針先だけで、
たいていの物は貫き通せてしまいそうである。
「やだやだ〜っ、注射キライ〜〜!」
「ユイ殿、注射をイヤがっていては、病気は治りませぬよ〜」
「わたしは今、病気にかかってないんだってば!えーいっ、避けてみせるわ!」
さすが風のスーツ、ユイは見事に注射器の針を見切って、高速移動した。
…しょせんミイラ人間の包帯に縛られたままなので、時計の振り子、もしくは
ヨーヨー状態で引き戻されてしまうのだが。反動で、ドシンと尻餅をついた。
「痛ーい、腰打ったぁ〜 ゲッ、ヤダヤダ、来ないでよー!注射器とミイラな
んて、好きな人いないわよ〜 あっち行って!」
「ユイーっ!くらえ、この化け注射器ども!!」
追いついたシンクロが、注射器たちの針をなぎ払った。さすがは剣の達人、
完璧な太刀筋だった。切り取られた針たちが、後続のコントロルとフリーズを、
雨のように襲ったのを、除けば。
「どわっ、危ないじゃないか、シンクロ!もっと周囲に注意しろ!」
「そうだそうだ、あたしの柔肌に傷がついたらどうしてくれるのよ!」
ユイのピンチを目の前にしたシンクロが、それ以外のことに気を配るはずが
ない。
「…くっ、またぞろ注射器の群れが出てきやがった。とにかく、ウィルスの
中心をイニシャライズしないことには……」
ほ、包帯でグルグル巻きにされて…息をするのも苦しくなってきたわよ……
えーん、このままここで本物のミイラになっちゃうの、わたしってば…
「そんなのヤダってばー!ステキな男性にメモリアル・グロウに誘われる前に
干からびちゃうなんて、絶対、ぜーったいヤだからねー!!」
「せ、せめてレスキュー殿がいてくだされば… これだけ連絡しても応答が無
いということは、も、もはやレスキュー殿は、デリートしてしまったのでは…」
IRの声が、湿っぽく途絶えがちのその声が耳に届いても…頭が、理解しな
い。いや、違う。理解するのを、拒絶しているのだ。そんな……
(レスキューが、デリートしたですって…?消去されて…二度と、会えないっ
てこと? ウソでしょ、そんなの…絶対に……)
『…ユイちゃん』
にっこり微笑んでいた笑顔と、柔らかなスカートのライン
『はーい、ウィルス感染防止のスプレーですよ〜』
肩先で揺れる髪、天使の輪
『こんなワナでわたしをだまそうなんて、いけませんね〜』
圧倒的な天然ボケ発言に、無敵のトラップ能力
(ウソ…そんなの、ウソに決まってる… 誰がなんて言っても、わたしは
信じないから… この目でハッキリ見ない限り、そんなこと絶対信じない!)
かつて、グロッサーとの最終決戦で、コレクターズソフト八人を失った、
あの痛みが胸に蘇り、心臓を鷲づかみにしてくる。苦しい…悲しくて、壊れて
しまいそう… でも、ユイの中にある何かが、諦めていなかった。真っ暗闇の
中でかすかな光を放つように、それが…たぶん「希望」と呼ばれるものが、
心の中の絶望を、しずかに打ち消していった。
「コムネットの妖精・コレクターユイの辞書に、諦めるって文字は無いのよ!
IR、泣いてる暇があったら、力を貸してちょうだい!」
「ユ、ユイ殿…… わかったでありまする、〈プリズム・インストール〉!!」
IRの真ん丸目玉が、一条の光を、ユイのコムコンに投げつける。
〈コレクター・プリズム・インストール!!〉
光の蝶が、胸に飛びついた時…オレンジのスーツが彼女を覆う。
大地を踏みしめるブーツ、裾広がりのキュロット様のボトム、肩を包むボレロ
…柔らかく暖かく強い力を秘めた、地上を支配する動物を象徴する、その姿。
〈ソイル・エレメントスーツ、ダウンロード完了!!〉
大地のスーツを身につけると、怪力を発揮することができる。…が、モコモ
コと動くシッポと、ウサギの耳カチューシャと、肉球までついたワンドといっ
たデザインは、やや趣味に走り過ぎてはいないか。大量に消費されるメモリを
保護するためとか、その可愛らしさで敵を油断させるためとか、いろいろ理屈
づけがされているが… まぁ、そういうことにしておくか。
「こんな、包帯…えーいっ、やったわ!正義の味方のユイちゃんをミイラ人間
にしちゃおうなんて悪いアナタは、ゴミ箱ポイポイのポイッなんだから!
〈コレクター・イニシャラーイズ!!〉」
懐かしの決めセリフとともに、星の光が部屋じゅうに降り注ぐ。注射器オバ
ケたちもかき消え、ネットを覆っていた異様な空気も、すっかり浄化された。
「よしっ!コンピュータ・ウィルスの中心もイニシャライズされたことだし、
あとはレスキューを探すだけね。行きましょう、みんな!」
「ユ、ユイ殿ー!あ、あ、あれを見るで、ありまする…」
えっ?と振り向いたユイの目に飛び込んできた姿。ウィルスが居たその場所
に倒れ込む人影。彼女は……!
「まさか、そんな …レスキュー、あなたなの?!」
(04/07/27掲載)
メモリアル・グロウ chap.3へ
「メモリアル・グロウ」TOPへ
百草園 top へ
HOME へ
|