<ハッカー>(2000.2.28)
(この号には補足があります)

 コンピューターに不正に侵入し、プログラムやデータを破壊する技術者という意味でもっぱら使われている。日本でも最近、中央の官公庁のサイトが次々と書き換えられ、問題になった。2月13日には他人のIDやパスワードを無断で使ってネットにアクセスすることを禁じる「不正アクセス禁止法」が施行。政府は内閣安全保障・危機管理室に「ハッカー対策室」を、早ければ三月にも新設する。

 「ハッカー」は1960年代、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)で生まれた学生たちの隠語。もともとは天才的な技術をもつプログラマーの敬称で、アメリカでは今も The Hackers' Conference (ハッカー会議)が開催されている。不正侵入・破壊者はクラッカーと呼び分けていたが、英語圏でもハッカーが否定的な意味で使われる ことが多くなってしまった。「広辞苑」では両義を併記している。

 同様に「勘違い」が定着してしまったものに「ホームページ」がある。本来はサイトの入り口となるページのみを指していっていたが、 日本のマスコミの多くは個人・企業が持つサイト全体を指す言葉として用いているようになってしまった。

 もっとも、インターネットが広がり始めた当初はもっとひどい誤解 がまかり通っていた。1997年 1月29日付の朝日新聞に広島県警があるプロバイダー業者を「わいせつ図画陳列」の疑いで書類送検した記事が載っているが、これはプロバイダーがつくったアクセスランキングに載っているサイトの中にアダルト画像を掲載しているサイトへのリ ンクがあった(要はリンクの二つ先のページにアダルト画像があった)、というだけの話だった。それを広島地検の次席が「わいせつ行為があり、違法行為はあったと言える」と言っていたのだから恐れ入ってしまう。この論理でいけば、すべてのプロバイダーを犯罪者とできるだろう。

 それに比べれば、まだましな勘違いというべきか。

《参考文献》
古瀬幸広・廣瀬克哉「インターネットが変える世界」岩波新書1996年
立花隆「インターネットはグローバル・ブレイン」講談社1997年


《編集後記》
 インターネットに詳しい人に聞くと、「今まで日本の官公庁のサイトにクラッカーが入ってなかったのは、大したデータがあるわけでもなく、何もメリットがなかったから」だとか。内容を書き換える程度は裏で出回っているソフトを使えば簡単にできてしまうそうです。本当にそうなら、今の報道の騒ぎ方だと、かえってやる人が増えてしまいそうですよね。

 米国では官公庁のサイトを守る「インターネットミリシア(民兵)」も登場しているとか。大変な世の中になりました。

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