ニコンS3 2000年記念モデルについて考える

本当に出た! S3再生産モデル

最初にはっきり言うと、私はこの件に関しては否定的な意見、(今更ながら)反対する意見を持っているので、S3再生産歓迎派の方は…戻った方が良いと思いますよ(笑)
でも、決して再生産を行った水戸ニコン、栃木ニコンその他関係者に対する非難中傷ではなく、仮に先日のF3騒動が無く、更に48万円ではなく只の8万円位だったら買ってしまったんだと思うS3復刻版を「買わない!」と決めた私が、6割の偏見と3割の誤解、そして1割の希望をもって無理矢理理由付けをしてみただけですので、今回もまた「読み物」として捉えて下さいね!
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今回の「S3再生産」という情報は、どうやら本当だった。今回の、というのは、前々からこの手の話題が出ては消え、消えては出ていた(らしい)のである。 ある時はS2復活、またある時はSP復活、そして新しいレンジファインダーを開発、と。
それが、2000年2月23日ニコンから正式発表。

2000年記念復刻 35mmレンジファインダーカメラ 「ニコンS3 2000年記念モデル」
を4月6日〜6月30日期間限定受注販売
カメラボディとレンズはセット販売です。それぞれ単体での販売はございません
お申し込み方法:「ニコン S3 2000年記念モデル」カタログに付属の専用注文書により、カメラ店、写真店などの販売店さまからお申し込みいただきます。
受注受付期間 :平成12(2000)年4月6日〜6月30日期間にお申し込みください。
納期     :平成12(2000)年7月上旬から出荷を開始いたします(予定)。
だ、そうだ。再度確認するけど、S3再生産歓迎派の方は、絶対にここから先は読まないでね!戻る? (笑)では!


そりゃ、話としては面白いけどねぇ

S3というカメラは1958年にニコンから発売されたレンジファインダーカメラです、当然知ってますよね(笑) 昭和23(1948)年に発売した「ニコンカメラ」(ニコンI型)に始まり、ニコンM型、同S型、S2、SP、S3、S4と進歩、発展し、戦後ニコンの歴史に残る、それは当時としては優れた機構を持つものだったのかも知れませんが、今更存在する意味ってあるんでしょうか?

ニコンがレンジファインダーを復活させる…。そりゃ、話としては面白いですよ、夢もあるし。これは否定しない。でも、そりゃ話の上であって、実際にやることはないだろう、っていうのが私の率直な意見。(←反論受け付けます(笑))それも、どう見ても羽振りが良い訳ではなさそうな部門で。(←あくまでも私の想像ね)

それも、かなり真面目に造るらしいんだな。どの位かというと、よくニコンのカメラの歴史って感じで、年ごとに発売されたカメラの一覧がポスターになっていますよね、あれに載ってしまうくらい(笑) 2000年の新製品扱い。 う〜ん。

大体、なんでS3なの?

例えば、記念するなら戦後ニコンの民生用カメラ第1号機のI型でも良い訳だし、最高級機として作られたSPでも良い訳です。一眼レフの第1号機のFでも構わない。
一説には、ここ数年来続くクラッシクカメラブームに乗っかったという見方もあるようですし、単に事を言い出した水戸ニコンの社長の趣味だという意見もある。 「実際に使える機種」ということでS3を選んだ、とは言っていますが、たまたま図面が残っていて造りやすかったのがS3だというのが真相のようですね(笑)いい加減なもんだ(苦笑)
最近見られるレンジファインダー機復活の風潮がいけないとは言いませんが、それだって、一応レンジファインダー風を装いながらAF化されていたり、中身は最近の機構で構成されていたりするわけですよね。昔のまま復活させるなんて言う暴挙は今までにない! …はず。

それに、そんなにS3って良いカメラなの? そりゃ、35mm等倍ファインダーとか優れている部分もありますよ、でも単にSPの廉価版でしょ? 違う??あ、S3が基本形でしたね(笑) そりゃ、昔欲しくて買えなかった人には良いでしょうけど、私が生まれたときにはすでに製造中止されていたカメラを今更復刻されても、よくわからん(笑) ニコンのセールストークでは、

ニコンを代表する商品群であるカメラと双眼鏡、それらのなかでも歴史的価値が高く、現代の実用機としても耐えられる機種を検討した結果、カメラでは35mm(135)判レンジファインダーカメラ「ニコン S3 2000年記念モデル」を、期間を限定し受注販売いたします。
とは言うものの、たまたま復刻可能なのがS3だった、たまたま2000年だったから千年紀記念にS3という安易な発想としか思えなくて、だから、S3を千年紀記念にという意味合い、理由付けが良く判らないんですよね〜、私には。

いったい本当の目的は何?

当のニコンでは、「コレクションではなく、実際に使って貰いたい」というようなことを言っているらしい。実用機として復活させたということか? だったら、なんで視度補正レンズや、露出計を一緒に造らないの? 実際に使用する上でファインダーの視度調節は必要不可欠だと思うし、私を含めて殆どの方々は露出合わせに露出計の助けは絶対に必要だと思うぞ。(そんなことないか?)

それに、S3が現代の目で見て実用的だとは思えない

手前に寄っている(寄りすぎ!)シャッターボタンの位置、悪名高いA−Rリング、取り外し式でそもそも不便な上、三脚付けたままではフィルム交換も不可能な裏蓋、高感度フィルム全盛の現在では不十分な1/1,000までのシャッタースピード、いちいち選ぶ必要のあるシンクロセレクタなどなど、どれをとっても決して実用的なものではない。

だったら、本当はコレクション用なのか?

同時に復刻させるレンズは、Nikkor-S・C 5cmF1.4というモデルの後期型とかオリンピックモデルとか言われているもので、S3最大の特徴だと思う35mm等倍ファインダーという強みを生かすレンズではなく、今となっては製造本数の少なさからコレクター向きだとされているレンズを復刻している。
にも関わらず、本体はオリジナルで、オリンピックに向けて再生産された黒ボディーのモデルではない。コレクション用なら、人気のあるこっちを造った方が良い。中古でも天と地ほどの価格差がある。多分黒ボディーの方を復刻した方が実際には売れる量が多いことは想像できるはず。

要するに、どっちつかず。目的がハッキリしない。

実用機なら、その価格は何を考えて付けたの?

オリジナルのS3と復刻機だから機能は同じ、でも、部品やレンズの互換性は無い(有るんだろうが、精度確保上、公式には「無い」のだそうだ)という。 要するに、新機種扱い。

でも、限定生産。

見込み販売台数はどれくらいか? 5千台とも1万台とも、3千台売れれば成功とも言われている。価格は申し込み受付の前に決まっていて、48万円(税別)だそうだ。これ、どういう計算で48万円にしたのか訊いてみたい。
仮に5千台売れると24億円の売り上げ、原価がどの位だかしらんけど、出荷額が定価の5、6割程だとして水戸ニコンには約15億円位が入るんではないか? 1日にどの位製造されるのか知らないけど、仮に日産約20台として、月産500台程度、5千台造るのに約1年か?
あんまり良い商売ではなさそうだけど…。採算ラインに乗ってるんだろうなぁ?人ごとながら心配。
オリジナルのS3の中古が概ね20万前後、5万円かけてオーバーホールしたとして25万程度だ。新品とは言え、普通は数段格下に見られる復刻機、システムの発展性も少なそうだし、忠実に復刻しているから実用上優れた点もない。明確な理由付けもない世間の2千年記念の風潮に乗っただけの中途半端なモデルに48万円。

高い、高すぎ。

他にやることはないのか?

雑誌などのインタービュー記事を読む限り、そもそも事の出だしは「会社の将来を考えたとき、先細りになる一方なので…云々」という事ではなかったのか? だとしたら、数ヶ月〜1年ほどで生産止めてしまう機種にそんなにコスト掛けて良い訳?

私が思うにF3「20周年記念機」(←まだ言うか?(笑))でも作って、限定3千台とか売った方がよっぽど良いんでは?って思える。

S3の復刻はNHKのニュースでも取り上げられて、組み立てや調整の状況が放映されていましたが、とても利益を生み出すような生産体制ではない印象を受けました。
技術を継承するチャンス、技術者のレベルアップを図る機会、などと言われていますが、そういうのは余力のある者のすることなんですよね〜、借金棒引きで息を吹き返し、姿を変えて国民の目を誤魔化している某鉄道会社のSL復活みたいに。(別に悪いと言ってる訳ではないですよ、中身は全然違うけど同じ物作りに携わる者の端くれとして、こういう技術の伝承的なテーマは好きですから

他のことを十分やった上で、さらに、おまけのお遊びとしてやるモンだろうという事が言いたい。 売れないからと言って、貴重な某モデルのバリエーションを縮小してしまう会社のやる事ではない、と言っているんですよ。

おまけに…

さらに雑誌のインタービュー記事がふざけてる(笑)全部が全部そうではないのかも知れないが、私が読む限り、「よくやった!」「すばらしい!」などなど、みんな手放しで持ち上げてる(笑)そりゃ、まぁ、凄いとは思いますよ、私も。 でも、なにもそんなに評価されることではないでしょう、所詮お遊びなんだから、少なくとも私にはそう見える。 本当にみんな「すばらしい!」とか思ってる訳? 何やってるんだという論調があったって良いと思うぞ。

開発者に聞く? 水戸ニコン見学?? それも各誌横並び、何を考えているんだ(笑) 他に無いのか? 例えば「絶対中古S3の方が得だ!」「買ってはいけないS3」「間違いだらけの再生産!」とか。 まぁ、無い…だろうな(笑)

大体ですねぇ、私たちは良く「破綻した金融機関を税金で立て直すのはけしからん」とか「公共事業は税金の無駄だ」とか言うではないですか。これ、国や自治体ではなく、ニコンに当てはめたらどうですか?「無駄なS3に利益をつぎ込むのは許せない」「そんなモノを開発させるためにニコン製品を買ったんではない」とか言うことになりませんか? そんなことやるならF3を…まだ言う(笑)

そうは言っても(笑)

で、全面的にコケにしてるだけっていうのは嫌いだし、意味がないんで、少しは前向きなことも考えてみた。

まず、レンジファインダーならレンジファインダーで、今現在ラインナップに無いモデルとして対象を選ぶのは良い。でも、それを過去の機構そのまま復刻することはないだろう。
やるのなら、その時の設計思想を尊重しつつ、現在の技術で造るとこうなるっていうのを見せて欲しい。

例えばシャッター。布幕のまま復刻する? 絹のゴム引きは太陽に向けると穴が開くから、後々チタンの薄膜に改良したんでしょう?だったら、チタンの薄膜にしてくれ。機械制御横走りシャッターを現在の技術で1から設計し直すと…例えば、幕速はここまで上がる、シンクロは幾つで、最高速は何分の1だ、とかね。

他にも、どう考えても変な位置にあるシャッターボタンも、設計を見直せば、フォーカシングギアを残しつつこの位置に変更できるとか、取り外し式の裏蓋も、蝶番式のものの方がどう考えたって使いやすい。

ダイキャストの製造や、機械加工など精度を上げて生産する技術は明らかに当時より進歩しているのだから、より優れたものを作り上げる方が良いではないですか。

S3の復刻ではなく、S5の発売として、限定生産ではなく、価格表に載せるモデルとして。Sマウントのレンズも〜 …28,35,50,85,105,135…mm 〜と揃えてさぁ、ちゃんと使えるものにしましょうよ。現代に通用する機構やシステムに何故リファインしないの?

昔のまま復刻させて実用機…、無理があるぞ(笑)どう考えたって。

技術の継承や向上をいうのなら、現代の名工を育てる的な取り組みで、水戸ニコンだけではなく、ニコングループ、もっと言えば三菱グループ全体で取り組むテーマにすれば良いではないですか。

本気で復活させるなら、ちゃんと使えるシステムとして復活させて欲しいものです。そうでないなら止めましょうよ。中途半端は良くないですよ(笑) よほどNewF3でも開発した方が実になると思います。

でも…

48万円ではなくて、4万8千円とかだったら…、買うなぁ、絶対(笑)

なお、なにかこの件に関する情報、ご意見が有りましたら作者までメール下さい。

新規 第1稿:H12.5.22
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