F3販売縮小の情報に接して、考える。

「ニコンF3が欲しい、それもF3/Tが欲しい。」

「F3/T無くなるよ〜」というメッセージが4月5日に職場のメールアドレス宛に届いていた。
発信元は私と同じ業界で仕事をする某氏。折り返し情報の出所を問い質すも、返答無し。6日の朝になって、心当たりのあるいくつかのネット上の掲示板を巡回すると、どうやら本当らしい。
やがて、個人的に使用しているメールアドレス宛に某MLからも情報が流れてきて、どうやら信憑性のある話の様子。

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F3、F3/T、F90x 販売停止…。

Nikon F3 言わずと知れた、現ニコンの、いや世界のMF最高峰カメラである。
発売は1980年3月5日、当時の日本光学工業製35mm一眼レフのフラグシップ機である。もっとも、このような重責を担うモノの常として、発売当初はそれほど評判は良くなかったというものの、確実に日本を代表する、いや、全世界のフラグシップ機であると言っても過言ではなく、世界の頂点に建つ35mm一眼レフであった。
以来20年以上にわたり生産が続けられ、一時期の栄光は影を潜めた感のあるものの、現在でもMFカメラ界に君臨するその姿は威厳に満ちている。

ひとくちに20年とは言うものの、どうも年齢によって感じ方が違うようなので、具体的に20年前を、その長さを考えてみる…。
中島みゆきひとり上手を歌い、沢田聖子坂道の少女普通はそんなの知らないって:笑)、山口百恵が婚約して芸能界から引退し、東京は銀座の道の上で1億円が拾われ、国鉄上越線の線路の上ではEF64-1000番台(普通そんなのも知らないって:笑)が登場し雪と勾配に挑んでいた頃、人々は平和にルービックキューブを回していた。
少年ジャンプではDr.スランプ アラレちゃんの連載が、地球の反対側ではイランとイラクは戦争を始めた頃が20年前で、当たり前ではあるが、当時小学生だった私も三十路を迎えオヤジ世代の仲間入りを果たし、その年生まれた赤ちゃんも今年成人した。
これだけ長い期間生産が続けられていたF3には、ただただ驚嘆するばかりであるが、実際にそれを行っているニコンという会社にも驚かせるものがある。

発売後、その信頼性が一般に浸透するにつれ名声を得て、世界に君臨したニコンの最高級機種F3は、やがてカメラ界のAF化の流れに従った後継機F4にフラグシップの座を譲り渡す。しかし、その後も生産販売が続けられ、MF最高級機として人々に受け入れられ続け、やがてF4すらその後継機F5に役割を譲り生産を終えた後も、依然3モデルのラインナップを維持しその威厳を保っていた。
その間20年、日本を代表する光学機器メーカー、カメラメーカーの意地とプライドのなせる業か、諸物価の上昇、一眼レフカメラAF化の流れによる売れ行き不振などにより度重なる販売価格の値上げを行いつつも、F3というカメラを造り続けている関係者の苦労は想像に難くない。製造販売元のニコン一社だけの問題に止まらず、電子部品を含む各パーツなどを製造する関係会社の協力と努力、ある意味で犠牲となっている事柄も少なくないと思う。

自動車や飛行機などに見られるように、おおよそ基本設計に優れた機械はその後改良され発展し、様々なバリエーション、派生モデルを生み出す。例に漏れずこのF3もまた、20年の間には多くの派生モデルが生み出された。
 一般的なところでは基本モデル(アイレベル=無印)に対しアイポイントを延ばしたハイアイポイント(HP)、上下及び裏蓋にチタンをまとった(T)、オートフォーカスファインダーを載せピント合わせを自動にした(AF)。その他にも報道関係者ユースの(P)、それの一般販売向けで限定販売された(L)、秒間13駒の高速連写を可能にした(H)、なかには彼の冒険家植村直己さん用に改造されたウエムラスペシャル、スペースシャトルに搭載されたNASAなんてものもあり(略号は通称)、人知れず特殊な改造をされたものも数多いと聞く。

 日本のみならず、世界の多くの人々によって使われ、語られ、そして出来事を記録し続けた、F3。おおよそ20世紀の終わりに人間が見たモノでF3一族が見ていない事象は無いのではなかろうか?とも思えるこの偉大なるF3も時代の流れからか2000年を迎えたここへ来て、とうとう生産、販売が大幅縮小されるらしい。

これまで一般に販売されていたF3アイレベル(無印)、F3ハイアイポイント(HP)、F3チタン(/T)の3モデルのうち、HPのみを残し他は販売が中止されるそうだ。
現在のF3各モデルの販売数量比率(推定)は、無印=3:HP=6:/T=1 であるからHPだけが残るのも自然だし、特に/Tは他のモデルと若干違う部品が使われていたりするのでこれを切るもの頷ける。従来の例から言うと、ニコンでは最高級機種のファインダーなどアクセサリーは、本体の販売停止後も約6年は販売し続けると言われており、若干の無駄を問題にしなければHPを買って、アイレベルファインダーに載せ換えれば問題ないのでパッケージとしての無印をなくすのも、F3全体のコストダウンに貢献するのかも知れない。

話としては理解できるのだが…さて、

どうしてだ? S3再生産の余裕があってもF3はダメなのか? MFを見捨てるのか? ニコンも他の社と同じ道を歩むのか? 残念だ! などなど、言いたいことは山ほど有るが、これは私の勝手な言い分で、取るに足りない戯れ言であるのは動かしようがない。
私の一言で多数の従業員を抱える責任ある企業の動向、経営上の判断を左右できるモノでもないし、万が一にもそんなことがあってはならない。それに今回はニコンだって、なにもF3自体を止めるとは言ってない、あくまでもラインナップが縮小するだけでF3というカメラ自体が無くなる訳ではない。
万が一にもそんな事があってはならないのである、そんな自体になったら、全世界で10億人はいるという自称ニコンファンの半分は怒り叫び、日本の大井町界隈ではデモ隊の行進が見られ、やがて暴徒と化した約1割の参加者の手により各所から火の手が上がる…訳はないが、少なくとも、抗議の手紙などでは済まされない…かな?(笑) まぁ、そんな日が来ないことを願うのみであるが。

単なる取るに足りない一ユーザーである私には、事この期に及んでは成り行きを見守る他ないのであるが、一応「ニコン贔屓」に手を挙げている私にとっては、当面の、そして重大な問題が浮上する。
要するに、製造販売がF3HPだけになってしまうと、私の欲しいF3/Tの新品が今後買えなくなってしまう。そもそも、なんでF3が欲しいか?という事については、書くと非常に長くなりそうなんで、とりあえずここでは触れないで置く(手に入れたら書きたいと思う)が、F3/Tが欲しいと数年来思い続けている私には、単純だがとても重要な問題だ。

実は一昨年(1998年)後半あたりから、明日にでも買ってしまいそうな雰囲気で、実際にその時点では買えるだけの金銭的余裕もあった。
 ところが何故か、2000年にはF3発売20周年を迎えるので、何らかの記念モデルが出るんではないか?という何の根拠もない期待を抱いてしまった。淡い期待はやがて徐々に確信めいたものに移行して、すっかりその気になってしまっていたのである。
買うのはいつでも買えるから、記念モデルの動向を見てからでいいや、もしかしたらそれがチタンモデルかも知れないし〜などと思いつつ、中古のF2に手を出したりして。
途中、レンジファインダー復活やF80発売、F3(アイレベル)の製造中止の噂を耳にするもさして気にせず、暢気にF3の20周年に当たる2000年を迎えてしまったのである。
いつでも買えるなら、今すぐ買えば良いでは?って声がモニターの向こうから聞こえるが、実は、今は金が無い のである

そこに、この事態だ。重大な問題である。

 確かに、1999年秋の時点では、いつでも買える体制にあった。
 それがどういう訳か、昨年末には冬を前にしてエアコンがお亡くなりになり、個人的な事情によりテーブルと棚とが必要になり十数万を出費したことに加え、13万キロを走破し現役を続ける我が愛車平成元年式セフィーロがめでたく車検満了を迎えてしまい、未払いであった税金などが追い打ちをかけた(笑)他にも何だかんだと万単位の出費が重なっており、ざっと計算すると昨年秋以来かれこれ50万ほどの出費で、結局、現在の口座残高は5桁の前半である。
私にも生活があり、月給で暮らしている身分では、とても今の時点で20数万円の出費には耐えられない状況になってしまった。進む道としては、借金という事も考えられるが、ポリシーとして健全財政を掲げているので避けたい、絶対に。また、十数万円で買える中古品に手を出すことも、ポリシーとして新品購入を掲げているので避けたい、絶対に。

残るは、F4販売中止の時と同じように、しばらくの間流通していてくれるのを願うのみである、少なくとも冬(夏ぢゃないのか?:笑)のボーナス時期まで。

「F3が欲しい、それもF3/Tが欲しい。」 私が買うときまで残っていてくれよ!    つづく→→→ 

なお、なにかこの件に関する情報、ご意見が有りましたら作者までメール下さい。

新規 第1稿:H12.4.6
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