Ai マイクロニッコール 55mm f2.8s の話

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Ai MicroNikkor 55mm f2.8s #740***

F3/T+MC55mm

●一般にニコンは「硬い」とかキヤノンは「派手めの発色」などと言われていますが、ブランドによってレンズの概ねの傾向というモノがあるわけでして、ニコンのレンズ、ニッコールレンズの特徴は解像力重視にあると言われることが多いようですね。
 そして、この「ニッコール」ブランドの上に、特殊な機構やその用途を連想させる○○という名を冠するレンズがいくつか存在しまして、有名なモノとしては英語のノクターン"nocturne/夜想曲"から命名されたと言われるノクトニッコールがあります。このノクトニッコールは非球面レンズを採用して名前の通り夜景(点光源の画)撮影に特化したものですが、他にもPCやDC、レフレックスとかメディカルとかUV…いずれにしろ○○の名をニッコールの頭に冠したレンズは、ニコンが自信を持って特殊な機構を採用したり特定の目的向けに開発したレンズであるわけでして、このマイクロニッコールというレンズもその一つであります。
 そもそも解像力重視のニコンが通常のブランド名ニッコールにわざわざ「マイクロ:微小の意」を冠するわけですから、まさにその名に恥じない高解像力レンズであることは疑いようがありませんし、その緻密な描写性能について想像するだけでゾクッとくる気がしますね。
 ここで紹介しているレンズAi MicroNikkor 55mm f2.8sは昭和56年12月発売のAi-sタイプで、かなり規模が縮小されてきているMFレンズ群にあって平成12年現在でもしぶとく生き残っているものの1つです。 5群6枚構成で開放f値2.8、近距離補正方式を採用(※1)、レンズ単体では最短0.25mで1/2倍までの撮影倍率、等倍撮影には別のリング(PK−13)が必要になっています。

●ニコンが焦点距離50mm近辺の一眼レフ用標準系マイクロレンズを発売したのは昭和36年で、精密複写用マイクロニッコール…と呼ばれていました。この初代レンズの光学系は4群5枚構成で開放f値3.5(プリセット絞り)、単体で等倍撮影が可能という優れものだったと聞きます。その後、現在までにマイナーチェンジを含めて8種類のモデルが存在する55mmの歴代のマイクロニッコールは、いずれも現役当時のニッコールレンズ群中で特別シャープであると言われています。(聞いた話:笑)
 現行のAF標準域マイクロレンズAFNikkor60mmf2.8については歴代マイクロにあって「やや甘口(※2)」と評されることが多いようですが、このAi マイクロニッコール 55mm f2.8sは(もっとも解像力指向のいわゆるカリカリの硬い描写が全て良いという訳ではないのでしょうが)「解像力重視」と言われた従来のニッコールレンズの性格をそのまま今に伝えるモノとなっているようです。

●で、このレンズ、先入観もあると思いますが、ファインダーを覗くだけで分かるカリッとした画像を結びます。また、通常の撮影距離においては適当なピントリングのピッチで、55mmという小望遠とでも言うべき焦点距離とやや暗いながらも十分な明るさf2.8を持つこともあり、その大きさ重さと相まって、常用レンズとして十分使用可能な感じです。
 蛇足ながらレンズ構成から来る奥まった位置にあるレンズ、撮影倍率が橙色で表示されているピントリング、ダブルヘリコイドの微妙な動きなどが醸し出す独特の雰囲気は一種の凄味を感じさせるものでもあります。 そういった意味でのお薦めは…F3との組み合わせか?
 実際に撮影した画は「を〜、こういうのがカリカリと言うのかぁ」と素直に思えるほど硬い描写です。さらに開放から1、2段ほど絞ると凄い事になりますし、マイクロの名の通り近接撮影が出来るわけですが、さすが専用設計、ズームレンズのお手軽マクロ機能使用時とは全然別物の画像が現れます、目から鱗ってこういう事??(笑:大袈裟すぎ)
 また、発色もニコンにしては比較的クッキリ系ですし、私はどちらかというと硬い方が好みなので、このレンズ一発で気に入りました(笑)
 なお、ニコンではMFレンズについても1998年頃から各レンズに合わせて「ニコンスーパーインテグレーテッドコーティング」と呼ばれるレンズの新コーティングを順次採用しているようです。光学系の変更に至らない地道な部分での改良ですが、このレンズも例外ではないようですので、これから買われる方は是非とも新品を買いましょう。そんなに高くないし(笑)

●開放から抜群のシャープさを誇り、至近から無限遠まで不満のない描写(※以上、受け売り(笑))、ピントの切れ、レンズの造り、質感に至るまで不満のないマイクロニッコール55mm。
 大きさ重さとも適当、若干の暗さを抜きに考えれば、室内はもとより屋外でもまさに無敵の「実戦的」標準レンズとして、ニッコールレンズを愛する者にとっては、必携の1本であることは間違いの無い事実であるようです。

※1:1967年発売のNikkor Auto 24mm F2.8に世界で初めて採用された、レンズ群を少なくとも2つの群に分けてフォーカス時に別々の動きをさせる事によって近距離側での像面湾曲の増大を補正するための方式。主にレトロフォーカスタイプの広角レンズ(現在、1眼レフ用広角レンズは通常レトロフォーカスタイプの設計です)に用いられていますが、このマイクロレンズや、一部の中望遠レンズにも採用されています。
※2:現在主流となったAFニッコールは、目指す性能の方向がやや変わっているようで、解像力だけではなくコントラストの再現にも比重が置かれた設計をされるようになったと言われています。

新規:H12.8.23
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