ニコン F3/T の話 |
Nikon F3/T # T8528***泣く子も黙る Super Nikon NikonF3 …の最強?モデル F3/T |
●発売は1980年3月5日、当時の日本光学工業製35mm一眼レフのフラグシップ機ですが、日本を代表する、いや、全世界のフラグシップ機であると言っても過言ではないと思います。 機械制御のニコンF、F2と違って、F一桁機種で初めて電子制御を取り入れたこのF3は、初物にありがちな批判(電子制御なんてダメ、AEはいらないなどなど)の嵐に晒されたものの、その信頼性が一般に浸透するにつれて世界中の、特に写真を趣味、職業とする人々に受け入れら名声を高めていくことになります。 やがてカメラのAF化の流れに従った後継機F4にフラグシップの座を譲り渡すことになりますが、その後も生産販売が続けられて、そのF4すら後継機F5に役割を譲り生産を終えた後も、依然、MF最高級機として威厳を保っています。 ●日本を代表する光学機器メーカー、ニコンの意地とプライドのなせる業か、消費税の導入にもめげず、諸物価の上昇、一眼レフカメラAF化によるMFシステム全体の売れ行き不振など、幾多の障害を乗り越え、度重なる販売価格の値上げを行いつつも、F3というカメラを20年間に亘り造り続けている関係者の苦労は相当なものだと思いますね。 そして、この20年の間には多くの派生モデルが生み出されているのですが、アイレベル(無印)、F3ハイアイポイント(HP)、F3チタン(/T)3モデルの一般的なモノの他に、一眼レフカメラAF化の先駆け、AFファインダーを載せた「オートフォーカス(AF)」。報道関係者ユースの「プレス(?)(P)」、それの一般販売向けで限定販売された「リミテッド(L)」、秒間13(12?)駒の高速連写を可能にした「ハイスピード(H)」、なかには彼の冒険家植村直己さん用に改造されたウエムラスペシャル、スペースシャトルに搭載されたNASAなんてものもあり、人知れず特殊な改造をされたものも数多いと聞きます。(略号は通称) 様々な派生、発展モデルが生み出されるモノは、車のエンジンなどが良い例ですが、おおよそ優れた基本設計が為されている場合が多いものです。 ●要するに、各種機能を付加しやすい無理のない設計、構造になっているんですね。 例えば公称15万回(実際は約60万回超)の動作が可能な横走りシャッター、そのマグネットには常識はずれに余力の大きいモノが使われているそうですし、フィルムの巻き上げも基本的な機構を最大限煮詰めた上で、さらにボールベアリングを使用して殆ど最後まで重さの変わらない巻き上げ動作が可能になっていたりします。 ピンホールミラーを使用したボディー測光でファインダー交換式のため、測光機能とは切り離してファインダーを設定できるので、測距機能をファインダーに搭載したAFなんていうのが可能になったり、部材の材質変更などは当然あると思いますが、基本的な動作自体に無理がなく強度にも余裕が大きく取ってあるので最高13駒秒などという高速巻き上げが可能になったりするのですよね。 また、ボディーデザインがイタリアの工業デザイナーのジュージアーロ(Giorgetto Giugiaro 1938〜)によるもので、彼はその後F4、F5のデザインも担当することになるのですが、F3は従来のニコン製カメラとは一線を画すデザインになっていて、このあたりも長年人々に受け入れられてきた一因なのではないでしょうか。 ●さて、私が初めて自分のカメラを買ったのは1984年のことでした。その時すでに最高級機種F3は発売以来4年が経過していた訳です。 そして月日は流れ、高校生だった私も三十路を迎え(笑)途中にはカメラのことなんかすっかり忘れていた時期もありました。 そんな私の事情には無関係(笑:当たり前)にF3は製造が続けられ、(元々はニコンの本拠地大井町で作られていたF3はやがて水戸ニコンの手によって作られる事になるんですが、どの辺で切り替わったんだろうか?差があるのかな〜ってことにちょっと興味あります) 当時の最新機種だった手持ちのFE2とFAもすでに製造以来15年以上が経過して、特にFE2は最近露出計が不安定、メーカーの修理も利かない。 今ではMFで安心して使えるAEカメラってF3だけになってしまいました。(FE10は話に入れないからね(^^;;) ●「だから私はF3が欲しいんだ」それも私が使うことの多い山や建設現場などでも安心して…という事を考えると、一般モデルより強度、防滴性能などに優れた「/Tが良い!」などと、ここ数年、事あるごとに言い続けてきました。 が、買わなかったんです(笑) 欲しい欲しいと言っている間が楽しいって事を覚えたからっていうのもありますけど、F3買ってしまうと他の機種、特にFE2なんかを全く使わなくなってしまうのではないか?という予感がしたのですよ。 現行機種なんだからそんなに焦らなくても良いかな?と思いつつ「いつかはF3…」と考え続けること数年、買おうか買うまいか迷っていたF3/T。 非常に残念ながら2000年3月を持って販売が中止されてしまいました。 ●このF3/Tは、F3発売から2年後の1982(昭和57)年に追加されたHPのチタン仕様で、当初はブラックボディーのみであったF3のバリエーションを増やしたいというメーカーの意図もあって、白ボディ(チタンカラー塗装)で発売されました。 その後1984(昭和59)年には黒の縮緬塗装バージョンが追加されて以来、販売が続けられてきたものです。 真鍮製のカバー類が用いられている一般モデルに比べ、左右上カバー、下カバー、ファインダーカバー、裏蓋がチタン素材を使用したものに変更されており、本体の強度アップが図られています。また、前出の(P)や(L)のファインダーカバーにもチタンが採用されていますが、これはファインダー上にJIS規格アクセサリーシューを装着したため、強度向上の目的で使用されたようです。 素材自体の価格もさることながら、プレス工程の煩わしさと、金型の寿命が短くなると言う理由で加工には多大なコストが掛かるというチタン。 耐久性には定評のあるニコンF一桁機種が、チタンでさらに強化されているのですから、これ以上のものはありません。 …よね?(笑)
●ニコンという会社は昔からチタンという素材の加工に自負を持っている様子があり、F、F2のシャッター幕やミラーの枠に使用されていたのを始め、1970年代の後半にはF2のチタンモデルが発売され、最近でもnFM2のチタンモデルや高級コンパクト機35Ti、28Tiのカバー素材などなど、他メーカーには例を見ない頻度で使用されている様子です。 度々引用させていただいている「ニコン物語〜遡るニコン史〜」にも
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●そして、公式には言われていないことですが、各カバー類がチタン製になっているだけではなく、防滴性能が強化されていたり内部の電子基盤が違うとか各部品の素材から違うとか色々言われていますね、F3/Tは。 表面上はHPに対してロゴが違う塗装が違う20g軽いって位の差しかないですが、定価では約7万円ほどの差がある。nFM2にもチタンモデルが存在していますが、こちらのノーマルとの差は約3万円。 普通に考えて、この価格差はいくら生産量が違うといえどもカバーだけが違う訳ではなさそうです。本当のところはどうだか判りませんけどね。 ●それでこのF3/T、いきなりの販売中止と言うことで焦って無理して買ってしまった訳ですが…、基本は20年前の機種ですから機能的には古いのは覚悟はしていたんだけど(笑) 少なくとも、他の機種と同時に使うのは止めた方が良い、個性が強すぎる。 はっきり言うと、「使いづらい!」(笑) ●まず、ISO感度の設定リングが動かし難い。そもそも摘み難い上に動作が堅い。よく言われる露出補正機構も、ファインダーとの隙間が狭すぎてロックボタンが押せない、無理して押してもその時点で両手がふさがっているのでリングが動かせない。FもF2もそうだけどアクセサリーシューがF3独自のモノで、専用のスピードライトが必要だったり、ガンカプラーを組み合わせる必要もあるし、単純に付けっぱなしではフィルムの巻き戻しが出来ないし、TTL調光ではあるけども、そもそもシンクロだって1/80秒だ。電子シャッターは良いとして、電池切れの非常用に付いているメカニカル制御の緊急シャッターだってシャッターボタンとは別のボディー前面にあるレバーを押し下げる方式で使いやすい訳ではない。エアダンパーを使用しているとは言え、どう贔屓目に見てもすごく大きいミラーショック。微妙に高いストラップの取り付け位置の関係でストラップ自体と巻き上げレバーが干渉して引っかかる、これは最悪、よく今まで改善されなかったなって位。合致と+−しか判らないマニュアル時の露出表示、そもそもこの液晶が見辛い、明かり取りが正面だから暗いところでは絶望的だし。だからと言う訳でもないだろうけど付いているイルミネーターだって、小さすぎるのと場所が悪いのでファインダーを覗きながら押すのは不可能なボタンスイッチ。設定解除が辛いセルフタイマー、途中解除可能と言われても、解除操作中にタイムアップだ。シャッターロックだって同じようなモノ、使うのは面倒だ。測光だって中央部の重点度が高いんで、明らかに他の機種とは傾向が違うし、ここまで重点度が高いのは中央部重点ではなく中央部分測光だと思う位。 とか…欠点の方が多い、欠点だけでページを作ろうとした位だ(笑) ●でも、考えてみれば…。 20年間に渡り世界の多くの人々によって使われ、語られ、そして世の中の出来事を記録し続けたF3一族です。おおよそ20世紀の終わりに人間が見たモノでF3一族が見ていない事象は無いのではなかろうか?とも思えます。 そのような機械、それもニコン製のカメラ、F3が悪い訳がありません(笑) よく言われますが、決してカタログスペックには現れることのない部分、感触が良いんですねぇ〜、Fひと桁機種って。 子細に見れば色々と欠点はあるけれども、その全てを打ち消して、なおかつ全体を至高の物にしてしまう感触…Fに宿る魔力ですね、本当に。 使いにくい部分もそれが当然な事のように思ってしまったりするのが怖い所です(笑) ●そもそも、ISO感度の設定なんて感度の違うフィルムを入れたとき動かすだけだ、それにそう簡単に動いて貰っては困る。露出補正機構なんて使わずにマニュアル露出で使えば良いし、ロックボタンが無いと勝手に動く。アクセサリーシューだって普段は無い方がすっきりしていて良い、スピードライトは常に使う訳ではないし。1/80秒のシンクロだって周りが暗ければ別に問題ない。緊急シャッターを使う事態にするのは予備の電池を持たない自分が悪い、そもそも付いていなければお手上げだし。大きいミラーショックも実際にはシャッターが閉じた後だ。巻き上げレバーがストラップと干渉して引っかかるのは持ち方が悪いのかもしれない。合致が判ればその時の露出は正確だ、液晶の方が故障しにくいことも確か。イルミネーター使いすぎは電池がすぐ無くなる訳で、単3電池使用機のようにはいかないだろう、そもそも1秒位点灯すれば用は足りる。機械式のセルフタイマーなら、途中解除なんか最初から不可能だ。シャッターロックだって使わなくなってしまう時に最後に弄れば良い、そんなに簡単にロックされたら本当に必要なときにロックされてることだって多い。中央部分測光ならAEロックと併用で狙った部分の露出を正確に反映できる。 とか…全ての欠点は欠点では無くなる(笑) ●単体で弄ると良いんですよねぇ、これがまた、不思議と。 私が言うのもなんですが、机上で議論しないで、実際に手にして欲しいものです。 …毎度のことながら「もっと早く買って使えば良かった」って思う。どこぞの酒ではないけど、何も足さない、何も引かない…って感じで。これで良いんだ、カメラってヤツは。 例えば各部の精密感、仕上げなんかは他の下位機種にはないものですね、各パーツの合わせが緻密というか、部品と部品の隙間が少ないというか。例えば裏蓋を閉めたときの感触、シャッターダイアルを回したときの感触、こういうのって手間が異常にかかる割にはスッペクに現れない、でも、人間が操作したときの感性には大きな影響がある部分ですよね。 ●初めて自分のカメラを買ったときは、カタログスペック上で後発の機種(FAやFE2)に負けていた…と感じていたF3。購入対象には入れていなかったし、そもそも高校生の私には高くて手が出る値段ではなかったものです。その頃は20万以下で買えたF3/T、幾らか生活に余裕が出来て、少しは大人になった今だからこう言えるのかも知れませんが、最終的な定価26万3千円、納得できる価格かなって感じです。余裕があったら一度触って使ってみて下さいね。 |
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新規:H12.5.15 |
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哲也くんのカメラ機材庫
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