「私論中古カメラ」§4購入の実際

先のページでは、私の考えていることを書いてみた。ここでは実際に何に注意して、どこを見て買えばいいのか、私の考えを書いてみたい。 すでに語り尽されている感じが強いが、中古品を買うにあたって何か一つでも新しい発見があれば幸いである。
質問、意見などがあったらメール下さい。


目次


4.購入の実際

さて、ここでは実際に中古品を買う場合、何処を見るか?何を基準に判断するか?という事について書いてみる。
 ここで注意して欲しいのは、この件に関しては中古関連の書籍雑誌などにも色々書かれていたりするが、判断材料には私個人の経験とかが大きな比重を持っている事。 人が変われば言うことが変わるのは当たり前なので、それは違うとか言われても困る(笑) 読んだ後になにか目新しい事柄が一つでもあれば良いと思うが…。

4−1.カメラ本体

 大事なことは「使えること」だと思う。
 不思議なもので機械というものは適度に使っているのが一番具合が良い。ほとんど使わなかった古い機械は何となく調子が悪いことが多い。ただし限界はあるので、あまり極端に使い込まれていても気になる。

 機械式のカメラは、どんなものを買っても一度オーバーホール(OH)に出すことを考えておきたい。これは純粋に機械的に動く機構であれば、各部品の摩耗などで復元できない部分を除き、分解清掃、注油、調整など(OH)で殆ど新品時の状態を取り戻すことが可能であるため、使う以上は出来るだけ良い状態に戻してあげたいと考えるから。
 また、一部に電気的な制御を取り入れてるカメラでは、すでに部品の関係で修理不能となっているものもあるので、修理の可否に関する情報はある程度集めておく必要があると思う。

 通常、中古品として並んでいるものの値付け(ランク付け)は外観に基づくものが多い。飾り物としてではなく実際に使える物(機能に問題のないモノ)を手に入れるためには、機能(各部の動作)優先として考え、あまり外観にとらわれすぎるのは良くないと思う。
 最近は中古カメラの認知度(注目度?)の高まりからか、いわゆる中古店でも個々のカメラについて問題を抱えていれば商品タグなどに表示していることが多い。
 しかし、前歴の判らない中古品、一台一台状態が違うので、やはり自分の目でチェックし、納得した上で購入することが重要だと思う。

4−1−1.外観

 外観が綺麗ならば高価であるのが普通である。比較的奇麗であるにも関わらず、価格が低めなものはどこか機能に問題があるか、とんでもなく不人気な機種であると思う。

 外観のチェックは「当たり」と言われる本体の凹みなどから見ていく。
 使っていて凹む可能性の高いのは、デザイン上一番出っ張っていることの多いペンタ部。通常の使用ではここを上にして使用するので、凹むと言うことは、上からものを落としたか本体を転がしたか…何れにしろ些細とは言い辛いダメージを受けているはず。少なくとも私の手持ち機材最長使用期間のペンタックスSPは凹んでいない。
 ペンタ部は内部にファインダー機能そのものとも言える重要なプリズムが入っており、電子基板を持つカメラの多くはそのプリズムとファインダーカバーの間に実装されている場合が殆ど。よって、部材の厚み(と思われる0.5mm位か?)以上の大きな凹みがあるものは止めることにしている。(もっとも、この部分が凹んでいるからと言って必ず機能に問題が出るわけではない)

 次に軍艦部の肩(ストラップ取り付け金具の周辺)及び底板の左右。軍艦部の肩はよくぶつける(笑)多少の凹みは大丈夫だと思うが、巻き上げに関する機構、ISO感度設定に関する機構などが結構つまっているのであまり大きいものは不可とする。
 なお、斜め上方向からぶつかっているようなものは良いとして、真横からぶつかっている形跡のあるものは避ける。カバー類ではなく本体のダイキャストで衝撃を受け止めた可能性があるので歪んでいたりすると怖い。ダイキャストの歪みは通常、修理不能。

 外装のカバーにはクロームメッキのものとブラック塗装のものがある。良く白とか黒とかいっているものの違いである。
 文字通りクロームはメッキであり、ブラックは焼き付け塗装であるからブラックの方は剥げやすい(だからブラックの美品は高価?)。 したがってブラック塗装の剥げ自体はあまり気にしなくて良いと思う。(見た目が汚いので気にする人が多い)。
 ブラック塗装の場合は外装の痛み具合でそれなりに使い込まれているものが判断できるが、外装カバー類を過去に修理(交換)されてしまっているもの、カメラケースなどに入れて(付けて)使用されていた場合などには参考にならない。また、もともと痛みが目立ちにくいクロームメッキの場合も、一見しただけでは判断が付きにくい。

 ここで私が見るのは巻き上げレバー及びシャッター周辺。使っているときには常に指が触れていて、クロームでもメッキが錆びるし、ブラックなら当然塗装も剥げる、材質がプラスティックの場合は磨かれたように輝いている。
 この辺りが傷んでいるのはそれなりに使い込まれている可能性大であるし、修理の場合もその部品だけが交換されることになるため、全体から受ける印象に比べ妙に一部分だけ綺麗なものは避けるなどの判断をつけやすい。

 ただ、最終的な判断ポイントは「全体の雰囲気」である。
 いくつか同じ機種を見ていると「綺麗だけど何となく気に入らない」「ちょっと汚いけどとても良い感じ」など、ひらめきに近いものが感じられる。私はこの感覚をとても大事にしている。

4−1−2.機能

 動く所は全て一通り動かしてみること。具体的には各レバー類、回転部分のガタ、遊びの大きさをチェック。
 なるべくスムーズな動きをするものがよいのは言うまでもないが、そう簡単に判るか?という問題がある。店頭で同じ機種が何台か在庫しているのであれば、多少嫌な顔をされても比べさせてもらった方が身のため。もっともそんなことで嫌がれるなら、店を出ること(笑)

 さらにシャッター幕、ミラーの傷、汚れを見て、傷、汚れのあるのは避ける。通常の手入れを行い、普通に扱っていれば、まず問題は起こらないはずなので、ろくな扱われ方をしていなかったものである可能性が大きい。

 次にシャッターのチェックを行うが、私の場合どう見てもおかしいと思う物以外は良しとする。雑誌などを読むとシャッター速度のチェック方法について、裏蓋を開け、明るいところに向け…云々と書いてあったりするが、はっきり言ってこれでチェックするのは無理、判断が付かない。また、よく言われるTVの画面に向けて走査線を利用して…という方法も慣れれば大体の判断が付くようになる程度であって、さらにこれを中古屋の店頭で…というのはまず不可能。そもそも機種によってシャッターの縦走り横走りの違いや、幕速自体も違う、せいぜい1/2秒や1秒、シャッターが開いているか、速度が変わっていくか?位のチェックしかできないと思う。したがって私は一度点検に出すことを前提に、その場ではあまり深く追求しないで良いと考える。

 露出計の付いていない機種は別として、露出計の精度チェックも重要。せっかく付いている機能なのだから使える方が絶対に良い。よく「純マニュアル」として使えば…という人もいるが、私としては付いている以上実用にならないと嫌だ。なお、この部分は比較的修理不能な場合が多いので精度の怪しいものを買うときは、この辺りの割り切りを考えておいた方がよいと思う。

 また、各種アクセサリーとの連動で初めて発揮するような機能も要注意。もし可能であれば、レンズ、ストロボ、モータードライブなど取り付け可能なアクセサリーを組み合わせて動作チェックをしてみるのも良いと思う。

4−1−3.その他

 その他、私が気にするポイントなどは以下の通り。 なお、カメラには必ずと言っていいほど遮光のために「モルト」「モルトプレーン」と呼ばれるスポンジ状の物が裏蓋、クイックターンミラーの上(?)その他接合部などに使われており、これは材質の問題から加水分解を起こしてベタベタになる。これが最近は「Kフォーム」だったか?と呼ばれるモノに変更され、その問題が解消されている。替わったのはここ10年位なので、それ以上古いカメラで取り替えらているのは、それなりに気を使う持ち主に最近まで使われていたカメラだと判断できる。外見上の見分け方は、モルトの方がKフォームよりスポンジっぽい…が、ちょっと説明し辛い。

4−2.交換レンズ

 写真はレンズで決まると言われる。カメラがF5だろうが、FM10で撮ろうが、レンズと露出が同じなら限りなく同じ写真になる。ただし、全体的なバランスからブレなどに対する安定性が異なり、必ずしも同一ではない。なによりもカメラから伝わる感触によって操作する人間の精神的な状態が変わると思うのは私だけか?
 Nikkorの例ではFマウント登場以来、現在まで恐らく250種類以上が発売されている、もっとも光学系が同一だったり、コーティングのみが違っていたりするのでもっと少ない数の種類だと考えても良いが。現在では同スペックのレンズが販売されていないモノも多く、円周魚眼レンズや夜間撮影用に特化されているノクトニッコール、「F値不変」のズームレンズなども含め、現在発売されているレンズには無い特色、長所を持ったレンズも多く、どうしても欲しい場合は中古に頼らざるを得ない。
 超広角や超望遠など、価格と使用頻度を考えると新品購入に踏み切れないと考えられることが多いためか、カメラ本体に比べレンズは中古で入手してしまう場合が多くなる傾向にあるのだと思う。
 機械的な動作部分が少ない(動くところはピントと絞りとズーム位なモノである)ため、故障の可能性が低く、保存状態が良くレンズの光学ガラス自体に問題がなければ、かなり古いモノでも安心して使えることが多い。
 しかし、光学設計が同一でもコーティングについては随時変更されている場合も多く、新しいものほど優れたコーティングが施されていることから、意味もなく古いものを求めることは疑問。必要なスペックのレンズが現行品であるならば、出来るだけ新しいモノの方が性能も良いはずである。ただし、レンズは数値的な性能よりも「味」の占める割合が多いという考え方もあるので、一概に新しいモノ方が良いとも言えない。

4−2−1.外観

 外観が綺麗な場合には高価であるのはカメラ本体と同じである。しかし、レンズの命は光学系である。外観が同じ程度で光学系の状態(綺麗さ)が全然違うモノも同価格で並んでいたり、外観の綺麗さと光学系の綺麗さが逆になっているモノなどがあったりする。欲しいモデルがいくつか並んでいる場合は、とにかく全部見せてもらうようにしたい。使っていれば鏡胴に傷も付くが、ピントリング、絞りリングなどが使い込まれた感じと、傷は別のモノである。 外装の傷が問題となるのは、衝撃を受けたものは通常肉眼では判断できない光学系の狂いの心配があるため、その判断材料とするからである。光学系の狂いはレンズにとっては致命的であるため、鏡胴に凹みや大きな傷のあるモノは避けた方が無難。 また、フィルターの取り付けに問題が出るほど鏡胴先端が歪んでいたりする場合もある。
 各作動部分がスムーズに動くことも確認したい。具体的には絞りの羽がきちんと動くか、本体との連動部分がうまく作動しているかなどを確認することは言うまでもないが、ピント、ズームリングのガタや絞りリング遊びなどを確認したい。ただし、ヘリコイドなどグリスが切れてスカスカになっているモノも多いが、Nikkorレンズの例で行くと3年も使っていれば同様の状態になるのであまり神経質になるのも考えものである。 ただ、レンズについては外観による価格差が比較的小さいことが多いので、光学系のチェックをした上で、ケチらずに綺麗なモノ(使用された形跡の少ないモノ)を買う方がいいと思う。

4−2−2.光学系(レンズ)

レンズの命は光学系である。よく言われるのが「カビ」と「曇り」である。また、バルサム切れと言われる状態もあるようだ。基本的には絞りを開放にして明るいところへ向ける(蛍光灯にかざすなど)。 カビは見れば誰でも判ると思うが、曇りは多少の慣れが必要(曇りと言われる状態を一度見ておくと良い)。 光軸のズレなどは肉眼では判別不能だと思う。もっとも、よほどいい加減な中古店でない限り、カビなどは商品タグなどに表示されているはず。
したがって全体的な傷や汚れ(塵や埃の侵入)が主なチェックになると思う。普通に使っていても徐々に埃などが内部に進入してくるモノであるが、あまりにひどいのは気分が良くない。もっとも、まるっきりの新品でも若干の塵のようなモノが入り込んでいるモノも珍しくないので、めちゃくちゃ綺麗というモノはそうそう無い。また、最前面のレンズ表面の傷も写りには影響しないと言われており、それほど気にすることはないと言う意見もあるが、これもあまり大事に使われていなかったレンズであるとも考えられるので避けたい。
私のチェック方法は、まず正面から見て、明かりに対する角度を変えながらレンズ表面の傷をチェック、マウント側からピントリングを動かしながら埃などをチェックし、絞りの連動ピンの動き、絞りリングの動き、ヘリコイドの感触などをとともに、カメラボディーに付けた状態で(絞り込みレバーやバルブを使う)絞りの動きをチェックしている。
 なお、これまでに述べた理由などから、レンズについては必ず現品を確認(特に光学系)してから買いたい。

4−3.アクセサリー

 アクセサリーについては、汎用性のあるものは別として、モータードライブなど大物を筆頭に、ファインダーや、スクリーン、その他各種アダプターなど細々としたものに至るまで、機種専用品である場合が多々ある。 自ずと中古品に頼らざるを得ない。 しかし実際には、目にする機会もないほど出回っている数の少ないものも多い。
 したがって、今まで述べてきたことと矛盾するが数の少ないもので必要なものは「即決」である。 なお篦棒な価格がついていることも多いので、探しているものの元の価格などは事前に把握しておき、それがどの程度自分に必要で、どのくらいの価値を持つのかを冷静に判断した上で、とにかく手に入れてからあれこれ考えた方がいいと思う。比較的目にすることが多いものについてはこれまでと同様のチェックで良いと思う。
また、モータードライブやスピードライトなど電気を使うもの(要するにほぼ修理不能と考えて良い)も多く、駄目モトの気持ちを持ち、過度の期待をしないことも重要であるような気がする。現行品で代替可能なものであれば、現行品を使ってしまった方が確実である。 なお、あえて逃げを打つが「自分で考えて勝手にしてくれ!」といったところがアクセサリーの中古に対する私の意見である。 はっきり言って宝探しに近いと感じている。 蛇足ながら、フィルター類のようなものは、こんなページを読む暇があったら、さっさと買ってしまったほうが良い(笑)あれこれ気にするほどの値段ではないでしょ?

[ ページトップ ]


← 前:Back
 
→ 次:Next


☆ 戻る ☆

バナー

哲也くんのカメラ機材庫
2000.11.2
e-Mail : hello-t@geocities.co.jp