ざるそば5人前

平成15年7月13日  京都府北区

天候 ごっついどしゃぶり
支出金額 3,500円(ガソリン代、高速代、手打ち蕎麦講習料)
走行距離 約250km(発着:尼崎)
参加者

副会長、ワカ様、カワバタファミリー、ともち、キタさん、イシダ君、ヤギちゃん、スガちゃん、タカコちゃん、ソノベ夫妻、管理人

チェック

ポイント

大森リゾートキャンプ場 http://www2.odn.ne.jp/omori-camp/

 

 

 


 

 

AM7:00

 

駅前集合 目覚めたら雨、鉛色の空、不吉な色だ。

 いつも通り集合した頃には小康状態だったが、雨が止む気配はない。こんな天候でメンバーが集まるかと思っていたが、集まったのは10人超。

 いつもならドタキャンだ中止だとなるのに、今日は何かに引き寄せられるように集っている。 

 「今日の行き先は・・・多分あっち」とアバウトな説明をかましてくれる初幹事スガちゃんに率いられ、まあ何とかなるだろうと出発。今から思えば、この時すでに彼は何かにとり憑かれていたのかもしれない。 

 

 まずは武庫川沿いに北上して川西市を通過。軽快に走れるのはいいが、雨足はどんどん強くなる。引き返した方が良いのではないか、そんな嫌な予感が頭をよぎる。 

 9時には川西からR173で能勢町を通過して京都府に入る。こう書くとスムーズに進めたように見えるが、その実、道に迷う事3回。行けども行けども現在位置がつかめない。雨で景色が変わっているせいか、それとも不可思議な力で磁場でも狂ったか。

 ここはどこ?私は誰?トワイライトゾーンに迷い込んだか?

 

 迷いながらも吸い込まれるように県道731号へ入り、瑠璃渓に到着。いつもなら風光明媚な渓谷も、この日ばかりは薄暗く不気味な渓谷だ。

 しかも駐車場にある陰気なトイレはドアが閉まらない。開かずの扉は聞いたことがあるが、開きっぱなしの扉と言うのはどういうことだろう。異次元への入り口なのか。 

 

 降り続く雨の中、府道54号から園部町を通過して日吉町へ向かうはずが、なぜか方向違いの丹波町を走っている。走り続ける幹事スガちゃんの背中から「ここどこ?」の文字が、負のオーラとなって揺れていた。彼の不安を煽るように雨は強くなってきた。 

 

 

 

PM10:00

 

 やっと現在位置がつかめR9を南下して園部町から日吉町へ入れた。見慣れたはずの府道19号線神楽坂トンネル、しかし今日は陰の気が漂っているように思えたのは私だけだったのだろうか。

 のしかかるような杉木立を抜けて、いつもの「ログ喫茶かぐら」に到着。ここで車で参加のソノベ夫妻と合流。ずいぶんと待たせてしまったようだ。

 温かい飲み物で一息ついてまた出発。ここからは京北町を抜けて北区大森を目指す。しかし言うはたやすいが道は険しい。行く手に何が待っているか、それは誰にもわからない。

 

 しばらくは広く見通しの良い道が続く。対向車線には私達と同じようなツーリングのグループが通り過ぎる。こんな雨の中を集団で走るバカタレは私達だけかと思っていたが、物好きはどこにでもいるものだ。

 それともあの人達は雨雲が見せた幻だったのだろうか。 

 

 日吉町から北区の外れまで、地図上での直線距離は20キロほどだ。しかし道は山の合間を縫うように蛇行している。しかも京都の山は霊山と崇められているものが多い、人の目には見えない魑魅魍魎もうごめいているかも知れない。

 そんな山道を進むスガちゃん、フラフラと不安げに走る様は魂が抜かれたかのようだ。 

 

 府道78号からR162・周山街道へ合流、そして北区に入る直前で薄暗い道を左折。だがこの道はダミーだった。すぐに気づいてUターンしようとしたが、道が細くて思うように回れない。すると前方でイシダ君がバイクごとふらりと倒れた。

 こんなところで立ちゴケかと走り寄ると「サイドスタンド立てたんやけど、道が思ったより傾斜ついててそのまま前に流れて…」さほど強い傾斜でもないのに倒れるなんて。

 もしかすると何かがカタナを呼んだのか、引っ張られたか。道の向こうで誰かが手招きしていたか。 

 

 

AM11:00 

 

大森リゾートキャンプ場 やっと京都市北区に入り、R162から大森へ向かう小道に入れた。道沿いには寺や神社が点在している。神でも仏でも誰でもいい、どうか守って下さいと不安な気持ちで片っ端から祈りを捧げる。

 

 北へ進むにつれ、路面はどんどん粗く幅は細くなる。両サイドはうっそうとした深い森。ああ、私達はどこへ行ってしまうのだろう。先頭のスガちゃんは暗闇に吸い込まれるように先を急ぐ。一心不乱なその後ろ姿、わずかな理性も消えてしまったのか。 

 

 もうこれ以上はだめだ、私達を率いるスガちゃんはきっと狐にでも憑かれたのだ。その証拠に目がキツネ目じゃないか、笑い声もケッケッケッとキツネ風だ。この間はツーリング中に喜んで「赤いきつね」を食べていたじゃないか(もしかしたら「どんべい」だったかも知れないが)。

 「地図の見方わっからんもーん♪」とほざいていて道に迷っていたのは、私達に警戒心を抱かせないための騙りだったのだ。 

 いけない、いけない、みんなついて行っちゃいけない。道の傍らの小川はきっと三途の川だ。早く引き返さねば赤いFZのお狐様に連れて行かれる…… 

 

 ああっ!助けて、行く手に見えるは三途の川の舟着き場!?・・・・・・な訳がない。細い道沿いに忽然と現れたのは「大森リゾートキャンプ場」。

 大雨が降っているのに駐車場は満車で賑わっている。安堵しながら駐車場の片隅にバイクを停め、無事到着できた事をみんなで喜んだ。横でスガちゃんは「すべて予定通りやで」とほざいて胸を張る。まだ狐は落ちてないらしい。 

 

 

 

PM12:00 

 

 今日のメインイベントは手打ち蕎麦講習のはず、なのにキャンプ場とはこれいかに? 

 疑問に思いつつパンフレットを見てみると、近頃流行りのアウトドア体験ものの案内がいっぱい。お料理系ではソーセージ造りに手作りパン、川魚の燻製などと並んで手打ち蕎麦が明記されていた。

 ちなみに蕎麦はお一人2000円で、10人超の団体なら割り引いてくれて一人1500円になる。これはかなりお徳。 

 

 指輪や腕時計を外し、手を洗って管理棟の大広間にて全員集合。目の前にはレシピとステンレスのボウル、調合した蕎麦粉、水溶き卵にまな板、包丁。ちょっとワクワクしてきた。 

 

etcetera30分以上クッキング 初心者向け手打ち蕎麦の作り方

材料

@ 蕎麦粉60g&小麦粉40g

A 水 50cc&卵1/5個 

B 花粉(打ち粉)適量

作り方 1. そば粉とボウル @をよく混ぜ合わし、ボウルに投入。 

 蕎麦粉は二八そばや、蕎麦粉100%の生そばの方が味が良いが、粘り気のない蕎麦粉の割合が多ければ多いほど生地がパサついて素人には扱いにくくなる。初心者は生意気言わないで小麦粉の力に頼るべき。 

2.  蕎麦粉にAを混ぜ合わせた卵水を1/2ほどかけ回し、よく混ぜながら全体に馴染ませる。

  この時点では生地はまとまらない。最初はなかなか水が馴染まないが、時間をかけて丹念に混ぜていれば細かいフレーク状になる。力をいれてこねてはダメ。本来なら水質や季節、天候によって水の量は変えるものらしい。しかし私達はド素人、そんな薀蓄は屁のツッパリにもならんぜよ。

3. こねこね 残していたAをちょっとずつ加えながら混ぜる。するとフレークがだんだんとまとまってくるので、塊になったら力を入れて空気を追い出すようにこねる。

 しっかりと練りこんで、生地の表面が滑らかになりうっすらと黒ずんできたら成功。硬さは耳たぶくらい。

  塊にするまではなんて事はないが、こねるのが大変。生地は柔らかいようだが弾力があるのでものすごく力が要る。踏んだ方が早いんじゃないかと思うくらいだ。全身全霊全体重をかけないと練れない。蕎麦打ち職人に女性が少ないのも頷ける。

4. 延した生地 Bを延し板(まな板)に撒き、生地を置いて簡単に手で広げる。生地にも麺棒にもたっぷりとBを振ったら麺棒で延ばす。できるだけ均一の厚さになるように。

 変に力を入れすぎると生地の周辺がボロボロになってしまう。  この延しが一番難しい!厚さを均一にしたくても素人じゃ到底無理。多少の厚さムラは味のうちと諦めよう。ましてやプロがするような、麺棒に生地を巻きつけて延ばすなんて高級テクニックはハナから望まない方がいい。素人はモタモタしてしまいがちなので、麺棒に生地がついてしまう。打ち粉はたっぷりと使うように。 

5. そば切り 延ばした生地にまたまたたっぷりと打ち粉を振り適当に畳み、好みの太さに切る。 

 切れない〜。難しい〜。とにかく打ち粉はたっぷり振ってから畳むこと。私達はこれをケチったがために生地がくっついて悲惨な目にあった。切る時は包丁を押したり引いたりせずに真下に切り落とす。スパッと手早く切らないと、麺のコシが死んでしまう。これがなかなかできないことなのだが...

6.  切った蕎麦は余分な打ち粉を払い落とし、たっぷりのお湯でぐらぐら茹でる。蕎麦が浮いて踊り出したら1分ほどで揚げる。すぐに流水で冷やし締めて完成。

 現地では、茹で作業はお店まかせ。私達の蕎麦は厚さも太さもバラバラなもんだから、茹で役の店員さんもさぞかし困った事だろう。 

 

 食べるだけなら5分もかからないざるそば、作るとなったら大変だ。

 インストラクターのお姉さんに指導を受けながら、1.〜5.まででたっぷりと30分以上はかかった。やっているとかなり楽しいので必死になるが、全員、粘土を与えられたお子様状態で大ハシャギ。もちろん蕎麦生地はかなり悲惨になった。

 各人の性格が如実に表れたのが5.の作業。太いのや細いのや団子状のやモップ状のや...悲惨だ、ぜんぜん食欲をそそらない。これはダイエット向きか? 

 

管理人の作品「ワカ様、そりゃあかんで、まるで『きしめん』やん」 

ワカ様「そっちは釣具屋で売ってるミミズみたいやんか」 

 

←ミミズ扱いされた私の蕎麦 でも反論できません

 

お互いに情けない批評の暴投だが、所詮はみんな目クソ鼻クソ。私は数年前にも出石で蕎麦を打った事があるのに、全く経験がモノを言ってない。

ここにいる全員、間違っても脱サラして蕎麦屋開業なんて事はできないレベル。そんなことをしたら1ヶ月で廃業だ。

 

 

タカコちゃんのおそば 

 中でも比較的ビューティフルな出来だったのがタカコちゃん。

 さすが得意技はお菓子作りというだけあって、麺棒や粉の扱いが慣れていて無駄がなかった。

 

 しかし、ゆでる時はみんなまとめてミックスしてゆでられて...「あたしのだけ別にゆがいて〜!!!」の悲痛な叫びは調理室まで届かなかった。

 

 

蕎麦埴輪 

 スガちゃんの大作・蕎麦はにわ

 どうせならこのまま茹でて、このまま食べて欲しかったわん。

 

 注:食べ物で遊んじゃいけません!

 

 

 期待三割、不安七割で待つこと20分ほど。大きなザルに盛られた「作品」が登場した。 何ですかねこれは、怒るのを通り越して大笑い。うどん、きしめん、ひやむぎ、そうめん、全員のを一緒に茹でられてシャッフルされているので、いろいろな幅の蕎麦が混ざっている。しかも全て長さは10cm以下。箸で手繰りあげてもスカスカ。

 あららら、所々に団子になったのも混ざっている。ぱっと見は青椒肉絲か鶏のモツ煮込み状態、これは肉だったのか??? 

 

ざるそば出来上がり!

←左端のがカワバタ家のきょうちゃん。「いったい何を食べさせられるのでちゅか?」と言いたげな表情。そんな不安そうな顔すんなって。

 

 食べてみると一応は蕎麦の味、打ちたてなのでそれなりに香りがあり、それなりに旨い。しかし感触がまた面白い。細い麺は口の中でとろけるし、太いのは奥歯で噛み砕かないと飲みこめない。ある意味、すごい蕎麦だ。他所では絶対に食べられない。 

 

 ここでカワバタ夫妻の愛娘・きょうちゃん(1.5歳)もダディーとマミーが作ったお蕎麦を試食。細く柔らかいお蕎麦を一本もぐもぐもぐ...案の定、きょうちゃんは一口食べただけで後はせがまなかった。子供の口は正直なものだ。

 それにしても愛情(?)のこもった手作りとは言え、人生で初めてのざるそばがこれでいいのだろうか?彼女のトラウマになったらどうしよう。 

 

 

 

PM2:30

 

大森リゾートキャンプ場 散々ケチをつけた割りに、蕎麦はきれいに片付いた。食休みをしながら雨の状況を見ていたが、止むどころかどんどん雨足は強くなる。もうこれはどうしようもないと諦めて3時前に大森キャンプを出発。車で来たカワバタファミリーとソノベ夫妻とはここでお別れ。うう、別れたくないですわ、私も車で連れて帰って... 

 

 雨で煙るR162を京都市街に向けて南下。交通量が少ないからいいようなもの、水浸しの路面に利きが悪くなったブレーキ、滑るタイヤ、視界の悪いシールド。ここ何年も雨天の走行は避けていたため、とたんにビビッターが作動する。

 それにしても雨の運転が下手になったものだ。この雨を不運を思うのではなく、練習のチャンスと思わねば。 

 

 

 

 

PM4:00 

 

 1時間ほどで市街地に到着。コンビニの軒下を借りて休憩し、R1を経由して京都南ICから名神高速へ。水捌けの悪い舗装の上、乗用車もトラックもガンガン飛ばし、水煙で視界は思い切り悪くなってテールランプが霞むほどだ。

 追い越し車線の車に水しぶきを掛けられげんなりと走っていたが、だんだんとテンションが上がって雨に濡れるもまた一興とすら思えてきた。革グローブは水分で膨らみ、ライディングシューズのゴアテックスも既に意味を成していない。それどころかレインウェアまでが水浸し。

 ここまでズブ濡れになると気持ち悪いのを通り越して楽しくなってくるから不思議だ。 

 

 水煙を上げながら高速を飛ばして、4時過ぎに吹田SAに到着。全員水もしたたる良い男女、洗濯機で脱水すればたっぷりと水が絞れるだろう。洗濯の手間が省けたようでちょっと嬉しい。

 しかし中に着ている服までビシャビシャだ。どんなに高価でしっかりしたレインウェアもやはり限界はあるものと納得。

 ウェアのポケットから通行券を出してみるとたっぷりと水を含んでいた。他のメンバーもタンクバックやウエストポーチの防水ポケットに通行券を入れていたがみんなふにゃふにゃ、機械で読み取りができないだろう。これを処理する料金所の係員さんもかわいそう、すいませんねえ。

 

 再び雨に濡れながら尼崎ICに到着。やはり通行券が機械を通らないため、係員さんが四苦八苦していた。それでも何とか料金を払い、各自無事帰宅。

 消化に悪そう、と思っていたおそばも、この頃にはきれいに消化吸収されて、適度に空腹を感じていた。さてさて今夜の晩御飯は何にしましょうか...副会長「あったかいお蕎麦!」 懲りない人ねえ...もう一度自分で打ってみる?