=卒業文集(2001年3月)=
 
オリオン座
 
 冬の星座の代表格であるオリオン座を見上げると、大学時代のアルバイト帰りを思い出す。七光台駅に向けての帰り道には、外灯の明かりが点々とあった。そして、寒々とした暗闇の中で見上げるオリオン座は雄大であった。星座は小学校で習ったのだろうが、無数にある星座のうち、このオリオン座しか覚えていない。それでも、その唯一知っている星座のおかげで、このような自然の醍醐味を味わうことができたのである。
 オリオン座は、私の人生における原点のひとつである。というのは、オリオン座から興味がふくらみ、宇宙の根源について思索をするようになった。そして、いろいろなことを知る一方で、分からないこともさらに増えた。やがて、こういう作業が「学ぶ」ことであると気付くようになったからである。
 世の中には多くの知識がある。現代は知識の源として、素晴らしいテレビ番組がいくらでもあり、多くの書籍も出版されている。知ろうと思えばいくらでもチャンスがある。しかし、そのすべてを知り、理解するには量が膨大すぎて困難である。だからこそ、その中でも星座のような基本的な知識は「知っている」ことより「習った」ことが大事ではないかと思うのである。
 学校で学ぶことは、世の中から見れば非常に少ないものである。さらに、知識を得ることだけが「学ぶ」ことではない。新しい世紀に入り、ますます基本の重要性が認識されると同時に、「学ぶ」意義が問い直されるであろう。我々一人一人は、この問題を解決するために努力をすべきである。そして、二十二世紀のオリオン座は、その成果を静かに見下ろしているに違いない。