『トリビアの泉』と裏モノ日記

(2003/09/10)

 番組のスーパーバイザー・唐沢俊一氏がサイト内で連載しておられる『裏モノ日記』から『トリビアの泉』関連の記述を抜粋、企画スタートから今日までの、『トリビアの泉』の変遷なんかを探って見たいと思う感じのコーナーです。なお、ここより下の黄色い字は『裏モノ日記』からの引用、白い字は僕からのツッコミ、ってな具合になっております。



2002年9月

6日
 (略)家に帰って衣服類全部着替えて、仕事再開。某テレビ局から新番組についてちょっ とお話を、という留守電あり。雑学モノであるらしい。

7日
 (略)昨日のフジテレビから電話。月曜の夕方に打ち合わせということに定める。

9日
 (略)すぐ3時になり、とって返して東武ホテル。15分遅れで、相手が来る。フジテレビK氏。時間割に場所を移して打ち合わせ するが、“すいません、お話を記録していいですか”と、ハンディ型のビデオカメラ を取り出して、テーブルの上に置く。テレコで話を録音されるのはよくあるが、ビデオというのは初めてである。さすがテレビ局のヒトだ、と思った。

 要は十月から、私の『トンデモ一行知識』『裏モノの神様』などをモトにした雑学 テーマの深夜番組をやることになったので(10月からの放送で、まだ決まっている のがそのくらいの大ワクというのがさすが深夜番組。いや、深夜に関わらずか?)、 それについてレクチャーしてくれとのこと。一行知識の楽しさの本質(ネタがどんなによくてもプレゼンが下手だとダメ)について話す。出演もすることになるらしい。 も少し具体的に番組へのからみ方が提示されればハッキリするのだが、まだ、とりあえずは番組作りのコンセプトに参加し、出演者としても出る、ということのみ。地上派の仕事でレギュラーは欲しいところなので(とにかく知名度をあげるにはこれ以上 のものはない)決まればありがたい。出演料は深夜番組だからあまり期待できないだろうが。

 『トリビアの泉』って、最初の予定では唐沢氏出演の雑学番組、って感じだったのですね。もし実現していたら、今とはかなり雰囲気が違うモノになっていたっぽいですね。

16日
 (略)フジテレビの件、やっと軌道に乗って動き始めたらしい。

 動き始めたのが9月16日で、第1回のオンエアが10月7日……。テレビ番組って、こんな短期間で作れるものなのか(まぁ、深夜版第1回のネタは、小便小娘以外は手近なところでロケできるものばかりだったけど)。

18日
 (略)フジテレビKくん。最初に話がきた時にはいい話だ、と張り切っていた番組だったが、どうもスポンサーや局の思惑がいろいろからんで形が変わり、私にとっては旨みのあまりない内容になってしまいそうな状況である。まあテレビではありがちなことで、この時点ではもうイチ抜けた、という気分になっていた(基本的に私はテレビというものを信用していない)。しかしKくん、コンセプトにどうしても私の協力が欲しいと言うことで、アドバイザーとしてでも参加してほしいと主張する。番組のアドバイザーというのがいかにこちらに労多くして功少ない立場か、ということを説明し、もしそのような協力が欲しいなら、協力費というようなものでなく、こちらの要求するペイをきちんと保証してほしい旨を述べる。上にこのことを伝えます、ということであるが、さてどうなるか。フジを北朝鮮よばわりするわけではないが、こっちの交渉も気をつかうことである。

19日
 (略)もうひとつ、フジテレビから、アドバイザー料を、私の言った額で確保しましたと いう返事。ずいぶんとスムーズに出たものである。しまった、もうちょっと上乗せし た数字を言ってもよかったかな、と後悔する。ここでも貧乏性が出た。とまれ、これ でその番組、私は裏方スタッフに徹することに決定。そっちの方が実入りはいいので あるが、出てパーパー言っていればいいだけの出演者と違い、打ち合わせ・会議等で テレビ関係者の思考法にこれからしばらくつきあわねばならないのかと思うと、何か気が重い。

 で、『トリビアの泉』の基本方針が正式決定した感じ。唐沢氏は不満なようですが、今の『トリビア』が好きな僕的には「テレビ局、よくやった」って感じかも(笑)。

2002年10月

4日
 (略)3時、時間割。フジテレビK氏と待ち合わせだが、なかなか来ない。電話あり、制 作スタジオを出たところで車がオカマ掘られてしまい、いま、警察の到着待ちなので 1時間ほど時間をズラしてほしい、とのこと。一旦家に帰る。帰っても時間が半チク なのでまとまったことは出来ず。1時間後にまた時間割。別に怪我もなかった模様で ある。番組にスーパーバイザーとして名前貸すこと、ネタ提供に一行知識掲示板のも のを使用する許可(私がチェックする)のことなど。番組は来週月曜深夜1時半(もう月曜じゃない)から。番組名は『トリビアの泉』。“トレビの泉”のシャレであるらしい。

 トリビアの泉・パクリ元ネタガイドで「初期の『トリビアの泉』は、その大半のネタが唐沢氏の著作『トンデモ一行知識の世界』シリーズからネタを持ってきていると推測される」とか書いたのですが、それを裏付ける重大証言ですな(『トンデモ一行知識の世界』シリーズは、一行知識掲示板に寄せられたネタの傑作選、みたいな趣なので)。まぁ、フジテレビは『あいのり』の初期参加者の大半がB級タレントだったなど、「視聴者募集を謳っている番組でも、第1回はほぼ確実に仕込み」という伝統が根付いている局なので、予想通りといえばそれまでなのですが。

10日
 (略)一行知識掲示板の書き込み、大変に活発化。やはりテレビでの放映のせいか?

 どんな世界でも、テレビがつけば盛り上がりますよね。

2002年11月

12日
 (略)Kさん、『トリビアの泉』の話を持ち出して、最近の番組の中ではダントツに面白い、こういうやり方があったかと感心した、と言う。あれ、私がスーパーバ イザーなんですが、と言ったら驚いていた。これも世界の狭さの例だが、やはり最後のスタッフロールなんか見てないよなあ、みんな。


 「トリビアのプロデューサーは唐沢氏」ということを知っていたので意識したこと無かったんだけど、そう言われてみると、番組で唐沢氏の名前を目にした記憶が無いよ……

2003年1月

11日
 (略)さらにスーパーバイザーで名前の出ている『トリビアの泉』からは有料サイトを作ることになったのでこれこれのネタを使うのだがよろしいか、という問い合わせ。なんか、どんどんいろんなものが出来ていくな、この番組は。


 この有料サイト構想は頓挫したのだろうか……。個人的には、深夜からゴールデンに昇格したことによってオンエアが難しくなったシモネタ系トリビアを特集したサイトなら、入会してもよいのですが(ただし、月額100円以内なら)。

2003年2月

15日
 (略)スポーツ新聞を読んだら、『トリビアの泉』が深夜ワクにも関わらず視聴率6パーセントをとる人気となっており、通常ワクに移行も、と書かれていた。あれ、深夜だからいいという性格を持った番組だと思う。できれば移行してほしくない。帰宅して、その件ではないが、ちょっとスタッフにメール。

20日
 (略)『トリビアの泉』スタッフからメール。一応、私がブレーンになっていることを、著 書のオビとかで謳うことはかまわない、という許可が出た。次の新刊からの著者紹介 にはそのように書こう。テレビは契約の関係上いろいろ制約が多いので、いちいち許 可をもらわないといけない。


 何だかんだで、『トリビア』のゴールデン昇格は成功でしたよね。『カルトQ』と違って、マニアックすぎないのがよかったのでしょうか。

2003年4月

25日
 (略)帰宅してメール見る。フジテレビから『トリビアの泉』ゴールデンタイム移行の件 について。本も出るらしい。テレビというのは本当に細かくめんどくさい。

26日
 (略)Xくんには“『トリビアの泉』、こんどゴールデンですねえ!” とうらやましがられた。別段、私には何の得することもないのだが。


 この時点では、「得したことは無い」と言っている唐沢氏なのですが、後に今までの著書がバカ売れしだしたそうで。深夜とゴールデンの違いって凄い。

2003年5月

29日
 (略)フジテレビ『トリビアの泉』プロデューサー M氏と打ち合わせ。深夜1時からいきなり水曜9時移行ということで、いろいろあわただしい。引き続き、スーパーバイザーとしてネタ担当をやることになる。こちらか らの要望としては、深夜ワクで見ていた人たちを置いてきぼりにするような変更はな るべくしないでほしい、というだけ。番組本にもかかわることになるが、てっきりフジだから扶桑社かと思ったら、講談社からの出版なのだそうな。


 最初のアイデアだと、『トリビアの泉』は『トリビアの泉Z』と改名、司会はタモリと菊川怜に代わる予定だったのですよね。深夜時代のスタッフの強硬な反対により、現司会コンビの続行が決まったそうですが、唐沢氏の意向も反映されたのかな?

 あと、「スーパーバイザーとしてネタ担当」、これはゴールデン昇格後も一行知識掲示板などからネタを提供していることを意味しているのでしょうね。「東京タワーは戦車で出来ている」「コアラの赤ちゃんはお母さんのウンチを食べて育つ」など、実際、一行知識系のネタがゴールデン昇格後に立て続けにオンエアされましたし。

2003年7月

4日
 (略)先日、水曜9時のゴールデンタイムに移行してから初めて放送され た『トリビアの泉』、視聴率27パーセントいったとかで、OTCのIさんからメー ル。1パーセントで100万人が見たことになるというから、日本全国であの番組を 2700万人が見たということか。つくづく、出版という世界とのスケールの違いに 天を仰ぎたくなる。テレビなにするものぞと言いたくはあるがこれでは勝負にならな い。せめて、今後自分の本のオビに“あの『トリビアの泉』のスーパーバイザー!” とかせっせと入れて、一般大衆に媚びを売らねばなるまい。小泉サンの気持ちがよく わかる。

30日
 (略)ちくま文庫からは、手直しが遅れている『美少女の逆襲』より先に『トンデモ一行知識の逆襲』を文庫にしたい、との件。テレビ のこともあり、その方がいいだろうと返答。原本に赤入れたゲラ元本を、週明けに渡すことにする。フジテレビM氏からは、昨日留守録にまた電話しますとあったきり、 まるで音沙汰なし。


 『トンデモ一行知識の逆襲』はまだ文庫化されていなかったのか。『トンデモ一行知識の世界』とともに、『トリビアの泉』系本では最大のネタ本として名高い一作なので、文庫化されたら全員、買うように。

31日
 (略)テレビで、とんねるずが『ノリビアの泉』というパロディをやっていた。タモリが以前やっていたエロビアの泉もそうだ が、こう最近、パロディされる頻度の高い番組も珍しい。テレパロディのような番組 批評本を書いてみたくなる。

帰宅したら本家『トリビアの泉』のMプロデューサーから留守録、人を通じて決定事項をFAXしてくれと伝えていたのだが、やはり直に話したいとのこと。さっそく 電話、二回目につながって、ちょっといろいろとやりとり。
「例の件ですが♂◎⇔☆?;ゞ刀秩早縺ンということでひとつ」
「うーん、こちらとしては∬∀ΦΘЖИ☆♀だったんですが」
「しかし、うちでは他の放送作家さんが⇔;$‰Å∂∇なんで先生にもひとつ」
「とはいえЙЦΠΥ♂√∋∞Чですからねえ、そこをご賢察あっていただきたい」
「むうう。……わかりました。それで了承しましょう」
 ということで、全部こちらの希望通りとはいかないが、まずまとまる。オトナの事情の会話で、あまり後口よくなし。

 伏字な会話は、当事者じゃないと面白くないですね。

2003年8月

4日
 (略)ちくま書房Mくんと3時、時間割にて打ち合わせ。『トンデモ一行知識の逆襲』の 赤入れ本を手渡す。『〜世界』の方も、オビに『トリビアの泉』という文字を入れて 実験的に並べてみたところ、凄いハケ方をしめしているという。なんだかんだ言って テレビの方には出版ごときは足を向けて寝られないねえ、ということか。

5日
 (略)ちくま文庫Mくんから メール、こないだ増刷したばかりの『トンデモ一行知識の世界』、やはりぜんぜん足りないらしく、さらに増刷かかる。しかも刷数が前回の倍。うーむ、テレビの悪口を言うのはもうやめようか、とさえ思う威力。喜ぶより先に考え込んでしまう。

 (略)と。『トリビアの泉』の話また。なんであの番組の本がフジテレビなのに扶桑社ではなく講談社から出ているのか、と思ったら、フジが各出版社を集めてコンペをやったんだそうな。

 この「『トリビアの本』、講談社より発売」ってのは僕も不思議に思っていたのですが、そういう事情だったとは。

5日
 (略)S社から文庫のお誘い、やはり『トリビアの泉』がらみで ある。さてブームの間に何冊、私はオビに“『トリビアの泉』のスーパーバイザー” と記した本を出すであろうか?

20日
 (略)テレビで 『トリビアの泉』。オンエアで見るのはこれが初めてだったかも。

 自分がスーパーバイザーやっている番組に関しては言いづらい(仕事の秘匿義務上 言えない)ことも多々なのだが、見るたびに“しかし、ウスい番組だなあ”と、感心 する。勘違いしないで欲しいが、“憤慨”ではない。感心、である。なるほど、テレ ビというのはこう作らなければいかんのか、と毎度思う。私には絶対に出来ない。こ れを作れと言われても無理である。テレビの世界に行かなくてよかった、と、胸をな で下ろしているのである。

 この番組が高視聴率をキープし続けている理由というのは、一にかかって、視聴者 のレベルを知りつくした、その内容の希釈の度合いにある。先日、コミケで同人誌を 買いに来たオタク体型の客が、“あの番組、ウスくないですか”と話しかけてきたと き、K子が間髪を入れず、“ウスいからウケてるのッ!”と切って捨てた。今日の番組でも、“トリビアの種”コーナーなど、あのネタでここまで引っ張れるかと、そっちの方が、私にとっては“へぇ”であった。

 ……見てなかったのか(笑)。とかいう僕も、深夜版は1度しか見ていないし、ゴールデン昇格してからも、1時間フルに見たことは3回しかないんだけどね(だって、深夜は寝てるし、水曜9時に家に帰れる日なんか少ないし)。そんな、トータルで4回しかマトモに見ていない人間が作った「トリビアの泉の探し方」とかいうコンテンツが、1日1000ヒット以上するのだから世の中って不思議(笑)。

27日
 (略)テレビで『トリビアの泉』、今回もネタ自体は大したことなかったが、“テンガ ロンハットに実際に10ガロンの水が入るかどうか試してみる”映像のナンセンスさ がよかった。だいたい、試すまでもなく10ガロン(38リットル)の水が入るわけ がないのだが、そこをきちんと実験し、しかもテンガロンハットならこのヒト、とい う片山晋呉からわざわざ借りた帽子でやるぜいたくさがいかにも高視聴率番組ならで は。黒服の男が二人、まじめくさって台の上から帽子に水を注ぐ絵はモンティ・パイ ソンのコントみたいであった。実験が終わったあと、水浸しでぺちゃんこになった愛用の帽子を見つめる片山の、呆然というか憮然というかの表情を一瞬映すのがまたいい。この番組はそっちの方のセンスで人気を得ているんだろう。
 それにしても番組本、すでに90万部にせまるイキオイだとか。腹立たしいので、 こないだ扶桑社に“どうです、講談社に番組本取られたんだから、扶桑社で「元祖・ 便乗本」出しませんか?”と打診してみたが、さすがに一蹴されたことであった。


 実際、「テンガロンハットは10ガロンの水」って、知識としてはあまり面白くないのだけど、そんな検証VTRを見せられたらバカ負けしますよね(見てないけど)。

2003年9月

1日
 (略)朝食は生ベーコンサンド。一行知識の過去データログを平塚くんに作成してもらっ て、それを昨日、フジテレビとS社に送ったが、S社から開けないとの報告。一方、 扶桑社から『愛のトンデモ本』の印税率の暫定報告が送られてきたが、このエクセル データがうちではなぜか開けない。

 (略)文藝春秋編集者のMくん(以前からの私のファン)から、トリビアの泉がらみで対 談の依頼。そのトリビアの泉スタッフからは、さんざデータを送れと言ってきて(高 視聴率ではあるが慢性的ネタ不足なのである)、いざ送ってみると、届いたんだか届 かないんだか、開けたんだか開けなかったんだか、うんだものがつぶれたとも言って こない。忙しすぎて迅速な応対が出来ないのかもしれないが、なんとも困ったもの。


 高視聴率だからこそ、ネタ不足には困るのでしょうね。もっと低い視聴率だったら、もっと露骨にパクっても文句言われないでしょうが、ここまで高くなってしまうと、何かで一度とりあげられたようなネタを使うだけで「パクリだ!」と非難されてしまうでしょうからねぇ。

3日
 (略)食べながら『トリビアの泉』。裏情報によればフジテレビでは“あの番組はオレが通した”“あの番組の元企画を出したのはオレ”という人物が続出しているそうであ る。呵々。見終わったとたん、電話が鳴る。『創』のS編集長から。“あの番組、カ ラサワさん関わっているの?”と。家でテレビ見ていて、テロップ見て驚いて電話し てきたのであろう。対談企画をやろうと思っていたので是非、とのこと。文藝春秋と あわせ、これがらみでの露出が今後多くなりそう。


 ま、「企画を通した」ってだけの人なら、いっぱいいそうですよね。製作している部署の係長も課長も部長も……

4日
 (略)『創』S田さんから電話、トリビア座談会の件。岡田斗司夫さんとやっていただくの はどう? というので、それは問題ないことを伝える。中森明夫さんとは? という ので、こっちは誰ともでもかまわないけれど、おつきあいがないから果たして盛り上 がるかどうかわからない、というと、あれ、つきあいがないの? と不思議そう。サ ブカル業界というのがよっぽど狭い世界だと思っているらしい。
 (略)総武線で新宿まで、談之助夫妻と一緒。女性漫才のいいのをプロデュースしたい、というような話。ユキさん、職場で『トリビアの泉』みんな見ているので、あの番組のスタッフと友達だと自慢が出来て嬉しいです、とのこと。実は今日、あの番組に関する基本的重大事で、笑ってしまうようなことを発見。その話で談之助さんと二人、イヒヒ、と人の悪い笑みを浮かべる。帰宅、まだK子帰ってきていなかった。三十分くらいして帰ってくる。みんな蟻酒飲んでへべれけになっていたとか。


 基本的な重大ごと……何だろう?「トリビア」のスペルが間違っているとか?


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