栽培と管理 
2000/ 9/16


9月の栽培

 会誌「サキュレント」96年9月号掲載記事より(筆者N.W. 東京都在)

 9月の声と共に、冷涼な気象を好む多肉やサボテンにとって生長の最盛期に入ります。この夏は著さもひとしお、人も植物も熱帯夜の連続でバテ気味でしたが、朝夕の涼気とともに、日一日と生気を取り戻す好李の到来です。この季節を何よりも待ちこがれていたものの代表は、何と申してもリトープス・コノフイーツムなどの玉型メセンでしょう。
 小生のところでは、この夏、晴天続きのときは2〜3日に1度の割で、早朝または日没後に軽く散水して過ごさせ、幸いにさほど衰弱せずに過ごせましたが、皆様のところでは如何でしたか?脱皮の状態も種によりますが、すでに青々とした球体をのぞかせ、枯れた旧皮を取り除くばかりのものから、依然として硬い旧皮に覆われているものなどまちまちですが、これもやがて秋の深まりととともに球体の肥大を待って押し破られる準備中です。
 先ずこの季節に行わねばならぬ大事なことに、植換えがあります。3〜4年間も植換えなかったものは、この際ぜひ実行しましょう。外見上は何ともないようでも、用土の劣化、球体や茎・根の老化が進んでいるはずで、抜き上げて根をよく整理し、ネジラミ(もし寄生していれば)などを除去して新土に移しましょう。ネジラミを除くには、油絵に使う、腰の強い筆を用いると便利です。ハブラシでは強すぎるし、細部の作業には不向きです。
 少々時期を失しましたが、玉型メセンの植換えで大切なことは、残暑が過ぎてから実施することです。小生の大失敗の例ですが、以前に8月下旬に行い、群生の大株を数鉢腐死させた苦い経験をしました。東北や信州などの涼しい地方以外では絶対に、早期移植はされないようご注意下さい。植換え後、どうしても水をやりたいのが人情で、これが大矢敗の原因でした。他山の石とおぼしめし下さい。
 玉型メセンの植換えは、2.5〜3号鉢では大体2年目毎を目安とされたらよいでしょう。植換えしなかった鉢は、秋の目覚しとして、液肥を一般の草花に与える濃度の2〜3倍に薄めたもので腰水するのは大いに効果が挙(あ)がります。この薄めた液に、更に殺虫剤を極く薄めたものを加えるのもネジラミ駆除に効果的です。
 その他 涼しい季節を好む多肉やサボテンの数々は、残暑の終りとともに一斉に生気に満ち溢れ、棚下で断水・休眠していた亀甲竜も勢いよく新茎を伸ばし始め、エケベリア・アエオニウム・セダム・セネキオ等々、夏とは見違えるほどの姿に変わり行くのを眺めるのはこの上なく楽しいものです。
 この時期は、夏の間にだらしなく徒長したものを切り戻して挿し直して更新を計る絶好のチャンスでもあります。駄物といわれる虹の玉や玉葉など、切り取って密植したり、葉まきして群生させるのも一興です。晩秋の頃までには美しく発色して見せ場を作ってくれます。こ¢らのものは、挿し床で発根させて後に鉢上げするのではなく、培養土に直接挿す簡易法で結構です。
 種子まき、挿し木、株分けなどもこの時期は寒さを控えていますのでなるべく早目に行い、充分に根を張らせて寒さに村して抵抗力を付けておくことが必要です。
 秋は台風の季節。戦後たびたび本土を襲って大災害をもたらした大型台風も、ここ数年は経験しておらず、いつ襲来するか予測もつきませんが、転ばぬ先の杖、万全の準備をしておきましょう。温室の屋根やフレームの蓋が吹き飛ばされたなどの事例はたぴたび耳にするところです。台風時は、少々蒸し暑いが、完全密閉としたほうがよいでしょう。全開放して風抜きする方法もありますがす鉢が倒されたり、室内が水痩しになるなどの欠点は避けられません。
 9月中旬以降となると、朝夕の冷え込みも一段と加速し、日照時間も盛夏の頃よりかなり短くなりますが、日中の日射しはまだかなり強いので、遮光材料は月末からぬわ10月にかけて徐々に取り除きましょう。全部一斉にではなく、できれば部分的に行い、次第に直射光に馴らしていくのが理想的です。
 9月から10月いっぱいは、冬型種にも夏型種にとっても快適な季節ですので、これからの短い期間中は精いっぱいの生育を計りましょう。ラベルを引抜いて、前回植換えの年月日を調べ、何年も植換えしなかったものは、ぜひこの際に植換えを実施しましょう。ラベルの裏側には、植替えの日付を必ず記入しておく習慣をつけましょう。


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