栽培と管理 
2000/ 7/10


7月の栽培

 会誌「サキュレント」96年7月号掲載記事より(筆者N.W. 東京都在)

 鬱陶しいツユが続きますが、皆様もご愛培の植物にはお変わりありませんか?
 梅雨明けも間近ですが、曇り空の下、肌寒いツユ冷えの日があったり、蒸し暑い日があるなど、今暫くはこんな状態が続きそうです。ともあれ、春以来生長し続けた植物もタップリ水を貰い、生気に満ち溢れている姿を眺める楽しさは何にも譬ええようもありません。
 しかし、この楽しさもここまでで、間近に迫った梅雨明け後の猛暑で、著さに弱い多肉やサボテンにとって生死を賭けた正念場を迎えることになります。雨天・曇天続きで組織が軟弱に育っているところに、興りつける夏の強光により肌はひどい陽焼けを受け、取り返しのつかぬことにもなるので気をつけましょう。多肉のペンケイソウ科など生長の速いものは、切り戻して容易に再生できますが、球型のサボテンなどでは、回復に長日月を要したり、致命傷ともなりかねません。概していえば、多肉はサボテンと比べればはるかに再生カが強く、凍害・陽焼け・根席れ・病害などでひどく傷んだものでも作り直して見事な株に仕立て直しができることは、今まで小生も数多く経験してきたことです。
 転ばぬ先の杖、梅雨明けの強光で陽焼けさせぬよう、遮光には充分注意し、特に今まで雨ざらしで作ったものも頃合を見計らって早目に遮光下に取り込みましょう。気温も湿度も急上昇し、人間にも植物にも耐え難い不快指数の高い日が続くことで、9月上旬に至る約2ヶ月間は厳戒を要する期間です。
 因みにいささか古い資料ですが、東京に於ける過去30年間の5〜9月期の気温、湿度・日照時間の月平均値を検索しましたら下記のとおりでした。

        5月   6月   7月   8月   9月
最低気温(℃) 13.5  17.8  22.0  23.2  19.5
最高気温(℃) 21.3  25.2  29.2  30.7  26.9
湿  度(%) 73   79   80   79   79
日照時間(時) 193   149   181   204   136

 これを見ると8月は、高い気温と湿度に追い討ちをかけるように、日賄時間もダントツに長いことがわかります。
 この時期の水やりは、日が陰ってから行うのがよく、気温の高い日中の水やりは、鉢内が蒸れて根腐れの原因ともなるので止めましょう。冬型で休眠中の玉型メセン類の取扱いで、完全断水する人もいますが、小生の今までの経験では、決して良好な結果を得ていませ九。特に微細種は、秋の植換えの頃には ”蒸発”してカラだけになっていることが多いものです。
 これらめ水やりは、晴天が続けば3〜4日日毎に球体と表土が軽く湿る程度に与えるほうがよいようです。水やり後、換気扇などで風を送れるようにしてあるなら、かなり水の量を多くしてもよいでしょう。送風することで気化熱を奪い、球体や用土を冷やすことは大いに効果的です。これはメセンに限らず、夏場の多肉・サボテン全般に適した方法だと思います。
 一方、夏型種で酷暑もものかわ、この季節に最も良く生長するものには、乾けばタップリ鉢底から流れ出るほどの水やりをします。時には即効性の水肥を与えるのも大いに効果が挙がります。多肉では、アガベ・アロエ・パキポ・アデニア・ユーフオ・ブルビネ・カランコエ・ガガイモ料各種などは純然たる夏型種ですが、夏型とも冬型ともつかぬ中間型のものも多数ある点に注意したいものです。
 こうしたものは、あまり寒すぎたり暑すぎたりの気候を好まず、人間が快適に感じる春と秋の季節に最も旺盛な生育を示すものです。カナリー群島などを原産地とするアエオニウムやモナンテス、メキシコなどの高地に産するエケベリアやセダムなどがそのクチで、酷暑期はいつも葉がクタクタして元気がないものです。何れも熱帯に近い地域ですが、寒流の関係や高冷地のため冷涼な気象となっています。
 サボテンにも、こうした気象や気温により、盛んに生長したり半休眠状態になるものが多数あり、強刺類・白系マミなどは冷涼期によく生長し、盛夏の頃は生育が純るのが常です。反面、森林性のサボテンであるペレイスキア・孔雀・シャコバ・三角柱・竜神木などは何れも夏型などで水切れのないように育てましょう。


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