栽培と管理 
2000/11/30


11月の栽培

 会誌「サキュレント」96年11月号掲載記事より(筆者N.W. 東京都在)

 11月の声と共に、朝夕の冷え込みも一段と加速し、厳しい冬の訪れを肌で感じる季節となりました。”秋入梅”とも言われる秋霧の期間も、今年(96年)は特に長く続き、10月中旬になっても曇天・雨天の日が多かったようです。光量が不足し、気温が高めに推移すると、植物はどうしても徒長気味に生長するのは止むを得ませんが、これも天候が回復次第解消されることで、左程心配することもないでしょう。ただ、こうした時期は、過湿により腐死させないよう、特に湿度に敏感な実生小苗や玉型メセンなどへの気配りが必要です。
 11月に入る前までには、ハオルチア・ガステリアなどを除き、遮光はほとんど不要iとなりますが、これも10月中には取り除き、徐々に直射光に馴らして健康な体躯作りに努めねばなりません。真夏の焼けつくような強光を遮断してくれた遮光ネットも、連日の雨天・曇天が続くと、室内は薄暗くうっとおしい状態となるので、光量に応じて遮光ネットが脱着できるような設備があれば申し分ないといえましょう。不要の時は、ネットの両端に張った針金に添って滑べらせて片方に折りたたむように工夫してみましたが、何分にもぶ厚いゴワゴワした材質のなめ思ったようには働いてくれず、もっと良い方法がないものかと苦慮しています。光量に応じてネットが自動的に収縮・展張できるような装置がほしいものです。
 晩秋の陽は“つるべ落し“、夕方4時を過ぎると日は沈み、急速に冷え込みが始まります。窓や扉の開閉が忙しい季節ですが、こまめに実行しましょう。お勤めの方は在宅の家人に頼むことになりましょう。3時を過ぎる頃から早めに閉め切って、残温を遅くまで保った室内は、適当な空湿を伴って、植物が育つには快適な環境を作ることになります。温度をなるべく逃さないよう、二重張りや隙間風を防ぐ手当も当然必要となります。
 11月は“霜月“。土地により、その年により早い、遅いはありますが、やがて来る降霜を見る前に、屋外栽培を続けた寒さに弱い夏型種などは早めに屋内に取り込んでおきましょう。耐寒カの強いセンペルや潅木メセン、花メセンなどは、酷寒地を除き、北側と天上部を覆う程度の防寒設備のある場所に移せば越冬可能です。
 9月の初秋の頃から、厳冬期の2月頃までは、各種の玉型メセンの生長最盛期で、特に10月は、色とりどりの花が折を競う”お花畑”を現出し、メセン党が醍醐味に酔いしれる一時です。しかし、栽培品を等しく保つためには苦労はつきものです。その最たるものは皮むきでしょう。“旧皮はそのままにしたほうが良い“などという人もいますが、これは絶対に頂けない説です。極く稀にしか降雨を見ない自生地と違い、鉢棺えのメセンは、比較にならぬほどの水やり(降雨)をされている訳です。当然ながら、旧皮と球体の間に溜った水は乾きが遅く、腐ったり、球体にカビが発生したり、旧皮の色素が溶けて球体を汚すことにもなるので、皮むきは絶対不可欠な条件となります。タビ型コノフイツム、アルギロデルマ、リトープスなどは早やばやに脱皮して皮むきも楽なほうですが、玉型や極く小型のものには皮むきの面倒なものもあり、これらは無理をせず、充分に旧皮がはじけてから実施しましょう。ついでに、球体を色素で汚さないよう花がらも取り除くこともお忘れなく。この時期になっても球体が膨らまない株は、水やりが極端に少ないか、根の故障が考えられますので、引抜いて調べてみる必要があります。皮むきは、球体にキズを付けないよう、強弱2〜3種のピンセットを用いて実施しますが、要領よくむくのには多少の経験を要します。秋の夜長、居間に鉢を持ち込んで、せいぜい皮むきを楽しんで(苦しんで?)下さい。
 なお、多忙だったり、鉢数が多いと遂々植換えを忘れていたものなどもこの際ぜひ植換えを実施しましょう。多少遅れても、年内ならば植換えも挿し木も可能です。2年程度で植え換えられれば申し分なく、4〜5年以上放置したものは、表面上は何ともないようでも、用土の劣化 根茎部の老化などで決して良い結果とはなりません。化粧砂については、小生の場合、桐生砂と鹿沼土の混合で、小豆粒よりやや小粒のものを使っていますが、球体の並び方の乱れたものを矯正する場合にだけ使用し、普通は用いません。熱帯魚の水槽に使う角の取れた硬い礫を使う人もいますが、これは乾きは早いが、用土の乾湿が分からないので使わないほうがよいでしょう。


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