2000/ 9/16
10月の栽培
会誌「サキュレント」96年10月号掲載記事より(筆者N.W. 東京都在)
さて、秋霧のうっとおしい季節も終り、10月に入ると日照時間もかなり短くなり、朝夕の涼気と共に人にも植物にも快適な秋晴れの日々が続くことになりましょう。
この良い季節を捕え、夏バテした枯物を更生させ、9月以来、植え替え、挿木、種子まきしたものを精一杯元気に育てましょう。遮光材料も徐々に取り外し、陽光に馴らして健康な体躯作りに心掛けるのもこの時期です。同じ乾燥地帯の植物物ながら、多肉とサボテンの栽培管理には微妙な差違があり、通風が不可欠な多肉に対し、サボテンはむしろ蒸し作りを好む植物である点を考慮に入れねばなりません。
これから晩秋に向かって、サボテンは多肉より早目に窓や扉を閉めきって、通風を制限することになり、このため室温はかなり高くなるので、当然遮光も必要となります。要すれば、サボテンの場合、夏の強日の遮光材料と、秋〜春用の薄目の遮光材料と使い分けするのが理想的といえましょう。秋は大気が澄み、閉めきった室内は異常に高温となり、陽焼けをおこし、取り返しのつかない傷跡を残すことにもなりかねないので注意したいものです。空気容量の大きい大型温室では、陽焼けは防げても、小型の温室やフレームなどでは特に気をつけましょう。陽焼けは、高札 強光と無風状態の環境下でおこります。
秋の深まりと共に、太陽の入射方向も次第に南に移動し、片屋根式温室やフレームなどでは、植物が南に曲がって育つようになるので、時折鉢を画してやる必要があります。簡単な方法として、北側の璧全面にアルミフォイルを張ることで防止できます。強光を嫌って、葉裏や球体の陰に寄生するワタムシ・ハダニなどの防除にも役立つものです。
以下、散発的ですが、栽培に役立つかどうか、常日ごろ気のついたことをひとくさり。
俗に水やり3年、どんな園芸にも水加減は少なくとも三年かけて習得しなさいということで、作る鉢植えの如何に拘らず大切な栽培管理の一つです。拙宅のように数千鉢も並べてあると、水やりもかなりの重労働となり、いきおい、ホースの先にハスロを付け、頭からザアザアと散水する粗放農法と相成っている次第です。こんな方法は決しておすすめできませんが、一鉢ずつ乾きを見て水差しなどで与えていては、一日の大半を水やりで終ってしまうので、これも止むを得ないことと思っています。しかし、昨年か今年になって植換えたのに拘らず、水を与えているのに何とはなく生気が無いものを時折見つけ、根腐れかと表土を取り除いて調べてみると、水が鉢底まで行き届いていないことがあるのに気付くことがあります。こうしたものは、腰水して日陰に置くだけで、ピーンと張切った姿に戻ることがしばしばです。ペンケイソウ料などの強健種で、天蓋もない露天放出の数々が、連日の雨天続きで腐るのではないかと思っていたものが、室内に在った同じ植物よりはるかに生気に猛れているのを見ると、水をやるときは鉢底から流れ出るほどという原則が分かるような気がします。「チョビ水」は、玉メセンなどの夏越しや植換え直後のもの、休眠中のものなどに限って必要な方法でしょうが、生長の最盛期にはタップリ与えるべきでしょう。
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