栽培と管理 
2000/ 1/ 1


1月の栽培

 会誌「サキュレント」96年1月号掲載記事より(筆者N.W. 東京都在)

 さて年も明けて,寒さもいよいよ本番を迎え,北寄りの寒風が身を切る日々が続きますが,晴天の日の温室内はまさに天国,早春の息吹を感じさせます。12月の冬至の頃は,太陽光の入射角度は東京近辺では約30度と低く,夏の間はほとんど直射光の入らなかった所まで入り込み,年を越すと除々に元に戻りますが,冬型で盛んに生長を続けるものは,南に傾斜して育つため,時おり鉢の南北の向きを変えてやる必要があります。放置すると腰曲がりの姿となり,矯正が困難になりますので注意が必要です。特に片屋根式(北側が壁の温室)や,スリークオ一夕ー式温室などではこの傾向が強く現れますので,こうした温室では,北側にアルミフォイルやステンレスの薄板を張り,光線を北側から反射させることで防止できます。これは光線を嫌って葉の裏側を好む,ワタムシなどの防除にも役立つものです。

 またこの季節は,照度も弱く,日照時間も夏よりはるかに短くなるので,できるだけ陽光を採り入れるように工夫したいものです。そのため,温室・フレームの屋根はできるだけ透明度を増すよう,水洗いして清潔に保つのも必要な作業といえましょう。ガラスや新素材のポリカーボネイト(商標ユービロン)などを用いた屋根は,スポンジなどで簡単に清掃できますが,古くなったファイロン屋根は,ガラス繊維が浮き出してホコリやススがこびり付き,透明度が著しく低下していますので,水洗を充分に実施しましょう。特に冬の間,透明度の良い温室と悪い温室では,作柄に大きな差が出るものです。この点ではガラス屋根は最高,次いで,ポリカーボネイト,塩化ビニールなどとなり,ファイロンは2〜3年で透明度が著しく低下するので,いささか時代遅れの感がします。私事ですが,ポリカーボネイトで張替え4年目になりますが,透明度はほとんど落ちていないこと,折り曲げが可能なこと,専用の両面テープ(耐久力もテスト済み)で接着できることなど,いろいろな利点があり,これからの温室・フレーム用の素材といえましょう。(これはコマーシャルではありません。実際に使ってみた結果です)ただ,塩ビの耐候性は1年程度で,毎年張替えせねばならないのが難点です。

 一般に多肉は,夏越しより冬越しのほうが楽だといわれていますが,夏越しに失敗して枯らす率が高い点で一応は肯けることですが,これも防寒準備を完璧にしていえることで,隙間風の防止,二重張りの実施だけでも,大型温室では外気より2〜3℃暖かく保てるはずで,更に暖房器具を使えば冬越しは万全といえましょう。暖房器具も,電気・石油を利用するものが大半ですが,これらの種類も極めて多様で,スペースに適したものを使うことになります。小はヒヨコ電球から,大は石油ストープまでありますが,いずれもサーモスタット連動で,+5℃で作動したらよいでしょう。いずれの場合も,アンペアを超えた電気器具,排気装置のない石油器具は防災上最も気をつけねばなりません。温室の暖房器具でボヤをおこした例も身近に聞いていますし,私自身,排気装置のない石油ストーブを持ち込んで,温室全体を一夜にしてススだらけにした苦い経験をしたことがあります。どうぞ,他山の石と思し召し下さい。

 ”寒の入り”も間近になると,信州・東北・北海道などの寒冷地帯は,日中0℃以下の真冬日が連続して続くことがあり,櫓物を安全に過ごさせるためには,関東以西の私どもには想像も及ばない大変な苦労があると思われますが,来るべき陽春を楽しみに頑張り抜いていただきたい。

 夏型の多肉群は,10月に入ると生育も純り,葉を落としたりして棚下などに取り込みを終えていると思いますが,来春までは完全断水で過ごさせ陽春を待ちましょう。冬型のメセン類やペンケイソウ料の各科は申すまでもなく,適温と通湿さえあれば休眠しないアロエやアガベ,その他寒冷期にも生長を続けるものがかなりあります。これらを見極めて水やりを続けることが必要です。サボテン類も,早いものは開花を楽しめる。今月は,無理に作業などせず,ゆっくり花や棘を楽しむのに徹するのも一興です。自分が育てている多肉が調子よく生長して最高の美しさを発揮するとき,多肉人冥利に尽きると申せましょう。


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