以下に、松井大将の陣中日誌の原文を記載します。
 
 「一月十日(晴)
内地新聞ノ報ニ依レハ 昨日来東京ニ於テ閣議、内閣ト大本営トノ打合 参議トノ談合等行ハレ今後ノ対支政策ニ付一層具体的決定ヲ見タルヤノ模様 内容不明ナレトマア此ノ如キ漸次我政府ノ旗色明朗トナルコトハ 軍ノ作戦、謀略ノ上ニモ明快トナルノミナラス支那側ニ与フル感興モ不浅ト信ス 今後其結果ヲ知ルニ及ヒテ夫々積極的ニ行動スルヲ得ヘシト楽ム」「南京戦史資料集U」

 (「南京戦史」偕行社 P155)


 見ていただけば、一目瞭然ですが、もともとの陣中日誌には、田中氏の本にある、
 

此日各国の主要なる通信員と会見す。

 などという記述はありません。これについて、田中氏は既述のように
日記以外に大将が弁護人に与えたメモの挿入(二ヶ所)を日記本文と峻別しなかった等、づさんな点のあったことは認めます。
「月刊評論八三四号」
 と述べています。
 
 しかし、田中氏のしたことは、ただ単に、日誌に、もともと無かった文章を挿入しただけではありません。
 田中氏は、自分が挿入した文章に、
 
編者注・この記者会見でも南京虐殺事件は問題にされていない
 
 という、「編者注」をつけています。

 田中氏のした行為が「日記以外に大将が弁護人に与えたメモの挿入(二ヶ所)を日記本文と峻別しなかった」などというレベルの問題ではないことがお判りになると思います。
 田中氏は、史料を改竄し、その改竄した史料をもとに、南京事件の否定を行おうとしたと言わざるを得ません。
 まさに「原文を勝手に書き直して、虐殺事件を隠した」としか言い様がありません。

 しかも、田中氏は、既述のように、自らの改竄を認めておりません。これでは、歴史を研究する資格はないと言わざるを得ないでしょう。
  

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