「松井石根大将の陣中日誌」は、いわゆる「改竄事件」で有名な本です。
 まずは、「改竄」に関する田中氏の言い分を聞いてみましょう。

「「南京事件」を隠すために、意図的に改ざんしたものでは毛頭ありません。だいいち大将の日誌には、南京に“虐殺”事件があった、なかった、などということとはまったく無関係なのです。」
 「月刊評論八三四号」

 これが、真実かどうかは、田中氏以外の者には判りません。しかしながら、これは、田中氏が「松井石根大将の陣中日誌」に書いている
 
「かねてから南京に何万という大虐殺が行われたという説に疑問を抱いていたが、このたび発掘された松井軍司令官の陣中日誌を読むにおよんで、南京虐殺は全くの虚構であるという確信を得た。近くこの虚構を本にして世に問うつもりである」
 (P40)

 という記述と明らかに矛盾しています。


 この矛盾について田中氏がどう考えているのかは、分かりませんが、取りあえず、田中氏の言い分を続けましょう。
 田中氏は「改竄」と言われる行為に関して

「そのほとんどは、私の筆耕の誤植、脱落、あるいは注記すべきところをしなかった等の不注意によるものであります。(中略)これらの漢文調の文字を、現代の読者に読みやすくする配慮から、かなまじり文になおし、あるいは新かなづかいにそって、おくりがなを付したり、句読点を付すなど、語句の扱いに配慮を欠いた点は認めますが、原文を勝手に書き直して、虐殺事件を隠したとか、大将の不利を補ったとかいったようなことは毛頭もありません。その他きめ細かく〈注〉を付して、日記以外に大将が弁護人に与えたメモの挿入(二ヶ所)を日記本文と峻別しなかった等、づさんな点のあったことは認めます。」
「月刊評論八三四号」

 と述べています。

 つまり、田中氏は、「改竄」について明確に否定している訳です。
 この田中氏の言い分が妥当なものかどうかについては、実際の事例に基づいて検討していくことにしましょう。
 
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