藤岡氏の主張と異なり、石橋湛山は「日本が持っていた植民地はすべて持ち出し」であるとか「植民地から決して経済的利益を引き出していない。」などと主張してはいません

 長くなりますが、以下に、
石橋湛山の論文「大日本主義の幻想」(「石橋湛山評論集」 岩波文庫 P102)の一部を引用します。

 「朝鮮・台湾・樺太ないし満州を抑えて置くこと、また支那・シベリアに干渉することは、果たしてしかく我が国に利益であるか。(中略)けだしこれらの土地が、我が国に幾許の経済的利益を与えておるかは、貿易の数字を調べるのが、一番の早道である。
今試みに大正九年の貿易をみるに、我が内地及び樺太に対して

        移 出      移 入        計
 朝 鮮  一六九、三八一  一四三、一一二  三一二、四九三
 台 湾  一八〇、八一六  一一二、〇四一  二九二、八五七
 関東州  一九六、八六三  一一三、六八六  三一〇、五四九
  計   五四七、〇六〇  三六八、八三九  九一五、八九九

(備考)朝鮮および台湾の分は各同地の総督府の調査、関東州の分は「本邦貿易月表」による。(単位は千円)

であって、この三地を合せて、昨年、我が国はわずかに九億円余の商売をしたに過ぎない。同年、米国に対しては輸出入合計十四億三千八百万円、インドに対しては五億八千七百万円、また英国に対してさえ三億三千万円の商売をした。朝鮮・台湾・関東州のいずれの一地をとって見ても、我がこれに対する商売は、英国に対する商売にさえ及ばぬのである。米国に対する商売に至っては、朝鮮・台湾・関東州の三地に対する商売を合せたよりなお五億二千余万円多いのである。
(中略)もし経済的自立ということをいうのならば、米国こそ、インドこそ、英国こそ、我が経済的自立に欠くべからざる国といわねばならない。

 引用している表の数値を見比べればすぐに分かることですが、日本は明らかに植民地から経済的利益を引き出しています。
 石橋湛山の言わんとするところは、植民地から得る経済的利益よりも、アメリカやイギリスから得る経済的利益の方が大きいということです。
 藤岡氏の主張は完全に誤りです。

 


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