藤岡氏は松本健一氏の著書「白旗伝説」の記述をもとに、「アメリカの歴史の教科書には、「日本は二度、アメリカに降伏した」と記述してあります。」と主張しています。 この松本氏の本の内容を紹介しないことには、藤岡氏の主張が間違っているということがわからないので、この「白旗伝説」の内容をまず、紹介したいと思います。 この本は、簡単にいってしまうと、ペリーが浦賀にやってきた際に一通の手紙と二本の白旗をもってきたということを様々な史料を駆使して証明し、手紙の内容を分析、また日本がおかれた国際背景等もからめてふれています。 問題は、そのペリーが持ってきた手紙の内容です。 「日本が鎖国の国法をたてに通商を認めないのは天の道理にそむき、その罪は大きい。通商をひらくことをあくまで承知しないならば、われわれは武力によってその罪をただす。日本も国法をたてに防戦するがよい。戦争になればこちらが勝つのは決まっている。降伏するときは贈っておいた白旗を押し立てよ。そうしたら、アメリカは砲撃をやめ和睦することにしよう」(松本健一「白旗伝説」新潮社) というものです。 この手紙と、日本が実際に条約を結んだことから、藤岡氏は、だから日本は二度アメリカに降伏した(もうひとつはポツダム宣言)のだ、と主張しています。 一見もっとものようにみえますが、この主張には論理の飛躍があります。あらかじめもった先入観や色眼鏡で資料をみると、第一人者(この場合松本氏)のいっている事実がかくも歪曲されるという好例です。 ペリーが浦賀にやってきて日本に通商を求めた、これに日本は応じて開国した、というのは中学の歴史の教科書にものっている、誰でもしっている事実です。アメリカの通商要求に応じて開国した、というだけの話が、どこをどうおしたらアメリカに降伏したというふうになるのでしょうか。 松本氏の分析によるペリーの手紙は「日本が開国を拒否するならば、こちらは攻撃しますよ。ですが日本が負けるのはこの状態では明らかですからそのときはこの白旗を掲げなさい」ということです。 ですから、実際にペリー艦隊と戦って日本が負けて、白旗を押し立てたのであれば、藤岡氏のいうとおり日本はアメリカに降伏した、ということになりますが、事実はそうではありません。 従って藤岡氏のいっていることは論理の飛躍があります。藤岡氏はたびたび日本の教科書は自虐史観でかかれていると批判していますが、氏自身の考えも立派な自虐史観だといわざるをえません。 |