5年「総合的な学習の時間」年間カリキュラム(案)
‘99.12 高橋恒久
1.「総合的な学習の時間」のとらえ方
ケルンサミットでの小渕内閣総理大臣の発言は、インターネットを通して日本の教育界を駆け巡った。日本国政府を代表してのサミット首脳への発言だったからである。
「21世紀の『読み・書き・算』は外国語とコンピュータだと思っています。」
総合的な学習については様々な意見がある。しかし、基本は日本の進路である。未来に向けて日本はどのように進み、解決すべき課題は何なのか。そして、教育はどの部分を受け持つべきなのか。
「教育課程審議会中間のまとめ」には、このことが具体的に書かれている。それは、「日本の主な課題」としてまとめられている。「総合的な学習」は、ここから発想された。最初から「総合的な学習」があったのではなく、「主な課題」があって、「総合的な学習」が出されたのである。
「総合的な学習」の出発点は、「これからの日本の教育には、英会話とコンピュータが必要だ」という問題提起である。
学習指導要領では、教科を越えた総合的なテーマである「国際理解、情報、環境、福祉・健康等」が最初に示されている。これらのテーマは「児童生徒の興味・関心」や「地域に関する学習」と密接に結びついており、断絶しているわけではない。
「総合的な学習」に関する意見を聞いて不満に思うことに、内容と方法を混合して論じられている点がある。論議の多くは「方法」についてであり、「児童生徒の興味・関心」に比重をかける。そこでは、児童生徒の興味・関心に合致すれば、何をやってもいいという極論も生まれる。
また、「地域に関する学習」を積極的に取り上げようという意見もある。これは大切な見方であるが、従来の教科枠で対応できる事柄である。そもそも「総合的な学習」は、教科の枠に縛られないところに最大の特色があるのである。
近未来、小学校の「国語・算数・理科・社会」等の廃止と教科の変更は確実である。「総合的な学習」は、従来の「教育」という狭いフィールドではなく、国家的な見地、地球規模の見方、21世紀における学問の在り方なども踏まえて考えていかなければならない。
このような中味を扱った上で、「児童の興味・関心」や「地域の特色」に応じて、課題を発展させていけばいいのである。
2.各領域について
先に述べたが、中心は「英会話」である。アジア25カ国中最下位、世界180カ国中170位といわれる「英会話能力」を克服していかなければならない。
将来的には「幼児期からの英会話学習」が取り上げられるであろう。ただし、それには時間がかかる。そのためにも「小学校英語」の実践の積み重ねが必要である。
指導は、学級担任とAET(ALT)によるTT形式になるであろう。その場合、「AETにすべてお任せします」というのではなく、計画は担任が立て、協力して指導に当たるということになるであろう。
これは他の領域と密接につながっている。
国際理解 …… 外国の様子を「CD−ROM」「インターネット」で調べよう。
環 境 …… 環境・エネルギー問題を「インターネット」で調べよう。
福 祉 …… 高齢者とコンピュータで交流しよう。
地 域 …… 地域を調べ「ホームページ」として発信しよう。
ただし、これとは別に「コンピュータの基本操作」について習熟させる時間が要る。
現在、地球環境は絶望的な状態にあり、有力な解決策はない。人類が生き延びていくために必要なピュアーウォーターが足りないのである。
近未来に枯渇するエネルギー資源に代わる代替エネルギーも、現在のところ見通しは立っていない。
化石燃料の消費によって出される二酸化炭素による「地球温暖化」の問題は、年を追う毎に深刻になってきている。
「人工」「食料」「環境」「エネルギー」の問題は、地球規模であり、未来を生きる子どもたちが直面する大問題である。
「英会話」と並んで、諸外国では「ボランティア」の学習をすることは常識である。日本では、急速な高齢化の到来によってやっと取り上げられるようになってきた。
小学校段階では「基礎基本」を体験を通して学習させることが大切である。それが、ボランティア社会実現の土台になるからである。
3.東生口小学校5年「総合的な学習全110時間カリキュラム」(案)
FUTURE〜新しい自分探しの旅〜
学習を通して、未来(FUTURE)を生きていく新しい自分の可能性を見つけようというコンセプトで行う。
A.英語学習 35時間 「遊ぶ・歌う・会話する」
前回の指導案に書いた全10時間に「英会話」「英語の歌」「スキット」を加える。
(略)
<2> 情報教育 30時間
*製本して「学級文集」とする。
A.エネルギー教育 15時間
前回の指導案に書いた全12時間に「おもしろ学習スキル(正進社)」3時間を加える。
B.EM環境教育 5時間
「サイクル図」を使って地球環境をとらえさせると共に、EMを使用した作物作りに取り組ませる。
<4> 福祉・健康教育 20時間
A.福祉(ボランティア) 15時間
ボランティアの基本 1時間
視覚障害に関するもの 5時間 「アイマスク体験」「点字ペン」
聴覚障害に関するもの 3時間 「手話ソング」など
車椅子介助 3時間 「介助の仕方」から「町作り」へ
老人福祉 3時間 「お年寄りとの交流会の計画・実施」
B.健康(ライフスキル学習で「食の問題」を扱う) 5時間
栄養素について 1時間
食生活を調べよう 1時間 「毎日のおやつしらべ」
生活習慣病について 1時間 「白砂糖ってこわい」
自分調べ 2時間 「身長・体重の伸び、既往症など」
<5>その他 5時間
ゆとりとして当てる。(行事やクラブ活動との調整)
1年間の「総合的な学習の時間」のまとめにあたるのが「自分新聞作り」と「学級のホームページ作り」である。
「自分新聞作り」においては、「未来を生きる新しい自分探しの旅」というテーマで、「未来を生きていく自分が、これから先、どのような学習を積み重ね、どのように生きていくか」について総合的な見地から作文にまとめる活動を行う。
「学級のホームページ作り」においては、母校や地域、行事などの写真をデジタルカメラで撮影し、「自分新聞」や「学習内容」などもアップして、1年間で学んだことの「足跡」となるような総合的な内容にしていく。