| 2001-11 | QC&C Labo 梅木 信治 |
| *** QCテクニック初級講座 *** ”これなら簡単,誰でも使えるSQC”(第6回) |
| 異常とは何か?(慌てもの,ぼんやりものの誤り) |
| 日常生活でも「異常」という言葉はよく使われるが,常識的に判断して通常と異なる事態や状況が突発的に発生した時に使うことが多い. 多少の変化は通常あり得ることだから異常とは呼ばない. 気になる変化ではあるが,原因が特定できない場合には,”もう少し様子を見てから判断しよう”となる場合が多い. 管理図では,管理特性の値が管理限界線を超えたり,特定の傾向を示した場合に,「異常」が発生したと呼ぶが,通常起り得る変化(バラツキ)を過去の実績から計算して数値化しておき,それより大きな変化があれば,何か原因があるに違いないと判断する. 一般に直感で分かる大きな変化は異常なので,管理図がなくても判断できるのでアクションを起こすが,直感では分かりにくい変化は見落としがちなので,管理図法と呼ぶSQC手法が生まれた. 個々の観測値(データ)が今までの実績の平均値から3シグマを超えれば,異常であることは初歩的な品質管理を学んだ人ならお分かりのことだと思うが,そこまでの変化がなくてもいくつかのデータが片側に偏在するなど統計的に異常を示す場合には,直感では分かりにくいことが多い. 管理図はそのあたりを客観的に示唆してくれるので,意味のある変化があれば関係者はそれを早く知ることができる. |
| ところで,工程が異常か否かを判断するのに,管理図の場合は平均値から3シグマ離れた値を基準にしているが,これは危険率(有意水準)で言えば
0.3%であり,相当に安全を見た慎重な判断と言える. つまり本当は異常かもしれないのにそれを見落としてしまう危険性が大きいかも知れないので,それを防ぐには一般に一つの群(グループ)のサンプリングの数を大きくすることが効果的である. つまり,Xbar 管理図に於けるnの値を大きく選ぶと良い. |
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| 計量値を対象とした管理図の場合,n=1の場合のX管理図,nが1桁の場合のXbar−R管理図,nが10以上の場合のXbar−σ管理図などがあり,一般にXbar−R管理図が適当であるとされているが,異常の検出力から見れば
nを大きく取ったXbar−σ管理図の方が優れている. |
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パソコンが普及していなかった頃は製造現場でシグマ(σ)の計算をすることが大変だったので,Xbar−R管理図を使うことが多かったが,今ではパソコンの活用があたり前になってきているので,シグマの計算などは簡単にできるし,ソフトによっては自動化されているので,これからはサンプリング数を多く取れるのであれば,Xbar−σ管理図を使うことを薦めたい. ただ,製造工程の都合でサンプリング間隔が長い場合には,異常発生の検知が遅れてしまう場合があるので,nを小さく選ぶようにすると良い. |
| 異常でないのに異常と判断してしまう誤りを第1種の誤り(慌てものの誤り),逆に,異常なのに異常でないと判断してしまう誤りを第2種の誤り(ぼんやりものの誤り)と呼んでいるが,第2種の誤りの確率は状況によって変化するので,数値化することは困難であるが,一般にnの数が大きいほど小さくなるので,実用上可能な範囲でnを大きく選んだ方が正しい判断をすることができる.個人的にはnを大きく選び,管理限界巾を
±2.5σ位に狭くして運用した方がより効果的な管理ができるのではないかと思っている. それから,製造工程では“異常は悪”とされるが,研究や開発部門では“常識を超える異常”を探し出してそれを再現させる技術を確立することが目的なので,異常の発見が大切である.その際注意すべきことは,第2種の誤りを犯してしまうと,せっかくのチャンスを失うことになってしまうので,有為性の検定に際しては,形式的に行うのではなく,技術的背景を考慮すると同時に適切な実験計画を組むことが重要になってくる.一般に技術者は主観的な思い込みをしがちで,自分の予想と異なる現象が発生してもそれを直ぐには認めたがらない場合があり,技術者や研究開発部門の管理者がこのあたりの点を十分に配慮すれば開発効率はもっと高まる.経営者も異常現象にはもっと目を向ける必要がある. |
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