*** Quality Information Service ***
(for Manager, Staff & Scientist)
98/12 ホームページ掲載記事/ 梅木 信治 sumeki@t3.rim.or.jpURL http://homepage1.nifty.com/QCC/

*** BGM : ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章(5:04)/ベートーヴェン(1770-1827 ドイツ) ***

下記の写真はオーストリアの最高峰 Grossglockner(3797m)をデジタルビデオムービーで 撮ったものです。


表やグラフはPDFファイルで添付します。PDFファイルをご覧になるためには Acrobat Readerが必要です。左側のアイコンをクリックすれば無料でダウンロードできます。

ゴルフ日本シリーズ最終日(12/6)は終盤もつれてプレーオフの4ホール目に新鋭の 宮本勝昌がバーディを決めてジャンボ尾崎に勝ち、初優勝を飾った。ジャンボは敗れた ものの今年度の賞金王が確定し、不動の王座を確保した。勝因をスコアで見ればバーディ、 イーグルが目立つが、テレビでプレーを見ていると2人ともバーディ狙いのショットが 外れた時のリカバリーショットが冴えてパーセーブで凌いでいたプレーが印象的でした。 後述する回帰分析の結果と妙に一致していますが、私は偶然ではないと思います。 本論に入る前に講演会の速報を一つお知らせします。

JSQC(日本品質管理学会)主催のクオリティ・パブ(98/11/26, シックスシグマについて/NEC総研、青木保彦氏、三田昌弘氏)に行ってきました。

この会は夕方6時からサロン形式で、リラックスして1時間ほど講演を聴いてから気楽に ディスカッションする方式です。少しアルコールも用意されていますから、楽しめますし、 質問や回答もオフレコ的な自由な感じのものでもOKです。 この夜の主題はシックスシグマ運動の紹介でした。いろいろ質問も出て、活気のある会で した。新しいマーケットの創出とか新製品開発手法などについてはやや具体性に欠ける 感じがしましたが、方針や目標がトップダウンで示された後の実行レベルでは効果が大きい 手法のように思います。ただし、教育を含めてコンサルタント費用が高額なので大企業で ないと導入は難しいようです。日本ではソニーが開始したとのことです。

*** 「 重回帰分析(その2): 回帰分析の実施と偏相関係数行列 」 (98/12/7) ***

(この記事は前回(98/11/9)の続きになっています。今回初めて読まれる方のために、 この記事の後に前回の分を再掲しましたので併せてお読み下さい。)
前回は相関係数行列と主な散布図まで示しましたが、今回はいよいよ回帰分析を行なった 結果を説明したいと思います。 計算は Excelだけでも(ツール --> 分析ツール --> 回帰分析)の手順を踏めば一応可能 なのでここではその過程と得られたデータの解釈を下記に示しました。

Money/G(賞金額/1試合)を目的変数に選び、ほかの5つの変数を説明変数としてとりあえ ず回帰分析を行った結果が第1回目のデータです。
3番目の表で、P-値が 0.05(危険率5%)以下の変数 Par-save と Birdie/R を選んで 第2回目の回帰分析を行った結果を第1回目の下に示しました。


*** 回帰分析結果(第1回) ***

 <回帰統計>
重相関 R  0.883
重決定 R2 0.781
補正 R2 0.756
標準誤差 0.506
観測数 50

 <分散分析表>
  自由度 変動 分散 分散比 有意 F
回帰 5  40.007  8.001  31.298  1.92E-13
残差 44 11.249 0.256    
合計 49 51.256      

  係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95%
切片 -125.805 80.750  -1.558  0.126 -288.55 36.94
Stroke 0.663 0.721 0.920 0.363 -0.79 2.12
Putting 1.180 0.800 1.475 0.147 -0.43 2.79
Par-on -0.224 0.163 -1.373 0.177 -0.55 0.10
Par-save 0.590 0.266 2.219 0.032 0.05 1.13
Birdie/R 3.405 1.122 3.034 0.004 1.14 5.67


*** 回帰分析結果(第2回) ***

 <回帰統計>
重相関 R  0.876
重決定 R2 0.768
補正 R2 0.758
標準誤差 0.503
観測数 50

 <分散分析表>
  自由度 変動 分散 分散比 有意 F
回帰 2  39.364  19.682  77.791  1.23E-15
残差 47 11.892 0.253    
合計 49 51.256      

  係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95%
切片  -20.641 3.294  -6.267  1.06E-07 -27.27 -14.01
Par-save 0.201 0.044 4.578 3.44E-05 0.11 0.29
Birdie/R 1.820 0.248 7.350 2.41E-09 1.32 2.32


これらのデータから Money/G(賞金額/1試合)に最も関連が深いのは Birdie/R であり、 2番目に Par-save であることが判明しました。これら2つの因子が Money/G を75%以上 支配していることも分かりました。相関係数の最も大きかった Stroke は消えてしまい、 いわゆる疑似相関であったことも判明しました。

これらの情報を基にしてグラフを描いてみると次のようになります。
は Birdie/R が 3.5以上、 は 3.0 - 3.49   は 2.9 以下のグループであることを示しています。

つまり、プロゴルファーが賞金額をより多く獲得するには、パーセーブ率を高め、 バーディを積極的に狙うゴルフをするのが良いことになります。結果的に平均ストローク 数は少なくなりますが、逆に平均ストローク数を意識しすぎて消極的になるとボギーは 減るかもしれませんが、バーディも出なくなり、賞金額の多い上位には入れず、プロと しては魅力のないプレーヤーになってしまいます。
ChartObject Chart 1

分析結果 が分かってしまえばコロンブスの卵みたいなもので、特別驚くような結論ではないかも知 れません。しかしながら、日本プロゴルフ協会が毎年シーズン終了後に発表する年間公式 記録が新聞やゴルフ雑誌に解説付きで掲載されますが、ここまでは掘り下げてコメントし ていないように思います。

今年の女子プロは服部道子が賞金女王に輝き ましたが、部門別ランキングではトップになった項目がなく、わずかに平均ストローク数 が2位で、あとは5位前後です。一方福島晃子は平均ストローク数とパーオン率では トップなのに賞金ランキングは5位と振るいませんでした。ちなみにバーディ数はどうか というと、服部が7位、福島は16位であったと報道されています。 (98/12/4 読売新聞より)

偏相関係数 について

ここまで読まれて重回帰分析を適用すると何故以上のようなことが判るのか?不思議に 思われている方も多いのではないかと思います。理論的なからくりは私にも良く分かり ませんが、素人にも分かるヒントが一つだけあります。それは今回のタイトルに掲げた 偏相関係数という概念です。今まで良く知られている相関係数は統計学や品質管理の本 に必ず出てきますから、このホームページをご覧になっている方にはそれこそ釈迦に説法 ですが、偏相関について説明されている本は非常に少ないので、ご存知でない方も多い のではないかと思われます。

簡単に言うと、一般に相関といわれる概念は特定の2つの 変数の間にどのような関係があるかということであり、この際、他の変数の影響は無視 しています。つまり、見かけの関係のみを調べようとしているのです。 これに対して偏相関は他の変数の影響を取り除いた実質的な関係を調べる概念であり、 品質管理手法としては最近(ここ2,3年)ようやく実際に使われるようになってきま した。計算方法は専門的な立場では簡単のようですが、ここでは芳賀敏郎先生が開発した グラフィカルモデリングのパソコンソフトを用いて計算した結果を下記に示します。 比較するために前回に示した相関係数行列もその次に再掲しました。

*** 偏相関係数行列 ***
  Stroke Putting Par-on Par-save Birdie/R Money/G
Stroke -          
Putting -0.31 -        
Par-on 0.28 0.98 -      
Par-save -0.77 -0.81 0.79 -    
Birdie/R -0.76 -0.78 0.77 -0.94 -  
Money/G 0.14 0.22 -0.21 0.32 0.42 -

*** 相関係数行列 ***
  Stroke Putting Par-on Par-save Birdie/R Money/G
Stroke 1.000          
Putting 0.439 1.000        
Par-on -0.689 0.307 1.000      
Par-save -0.897 -0.484 0.582 1.000    
Birdie/R -0.830 -0.308 0.634 0.535 1.000  
Money/G -0.844 -0.340 0.622 0.708 0.815 1.000

赤い数字の部分をご覧ください。Mnoey/G と Stroke の値は なんと 0.14 と最小に なってしまい、1番大きいのは Birdie/R, 2番目が Par-save になっています。 つまり、本当は バーディ数とパーセーブ率が賞金額の決め手だったのです。 それが判ればわざわざ重回帰分析などしなくても途中で私が述べた結論は当たり前 だし、グラフは誰にでも描けるでしょう。 だいぶ長くなりましたので、今回はここまでにします。ではまた次回をお楽しみに!

1998年はこれが最後だと思います。予想以上に多くの方にアクセスしていただき、 感謝しております。多少なりとも皆さんのお役に立てればと思い、勝手なことを記して いますが、1999年も続けたいと思っていますので、よろしくお願いします。
楽しいクリスマスと新しい年を迎えられるよう お祈りしています。


今回初めてアクセスされた方のために前回分を再掲しました。

*** 「 重回帰分析(その1): 相関係数行列と散布図 」 (98/11/9) ***

前置きが長くなりましたが、いよいよ 「私の勧める SQC手法」 も核心に入ってきました。 抽象論を書いても意味がないので事例解説で進めます。解析データは少し古いのですが、 1991年男子プロゴルファー公式記録の一部を借用しました。この年は尾崎直道が頑張って トップになった年ですが、まだ AON(青木、ジャンボ、中島)も健在で、常に上位を 独占してた頃です。

次の表はベスト10の記録ですが、データ解析には50位までの記録を使用しました。
元のファイルは Excel97 ですが、すべてを HTML化して表示するのはメモリーも不経済 ですし、あとで表をプリントして活用する場合、便利なので PDFファイルにしました。
( Acrobat Reader をまだインストールされてない方はダウンロードしてインストールして 下さい。)
PDFファイルは jpga91a.pdf です。(クリックして下さい。)

Rank Player Money Stroke Putting Par-on Par-save Birdie/R Money/G Eagle Birdie Game Round
1 尾崎直道 119.507 70.94 29.43 69.44 84.75 3.73 4.121 9 380 29 102
2 R.Mackey 113.137 70.56 29.48 71.89 86.97 3.73 5.143 0 313 22 84
3 中島常幸 111.639 70.67 29.40 70.06 87.16 3.42 3.721 9 352 30 103
4 尾崎将司 99.060 70.50 28.53 65.06 85.67 3.91 4.717 9 297 21 76
5 青木 功 74.237 71.19 29.81 70.20 85.80 3.34 2.855 4 331 26 99
6 牧野 裕 66.358 71.40 29.50 66.99 85.19 3.03 1.952 4 364 34 120
7 金子柱憲 66.191 71.44 29.52 66.94 84.24 3.38 1.839 11 412 36 122
8 羽川 豊 62.590 71.95 29.91 67.45 82.84 3.18 1.841 4 359 34 113
9 鈴木弘一 61.745 71.65 29.73 66.06 82.39 3.40 1.930 8 340 32 100
10 藤木三郎 61.638 72.17 30.23 67.81 82.09 3.12 1.712 2 377 36 121

これなら SQCに馴染がなくてもゴルフの好きな方なら後を読んでくれるでしょう。一般に 平均ストローク数の少ない方が獲得賞金も多いのは誰でも分かりますが、それだけでは すべてを説明できないようです。
なお、解析に際しては1試合あたりの獲得賞金額(Money/G)との関係を調べることにしま した。

1.相関係数行列を Excelで計算する。(ツール --> 分析ツール --> 相関)
2.相関係数の絶対値が1に近い変数の組み合わせを探す。
3.それらの散布図を Excelで描く。(グラフウィザード --> 散布図)

以上の処理結果を表示すると次のようになります。(なお、PDFファイルは jpga91b.pdf です。)

  Stroke Putting Par-on Par-save Birdie/R Money/G
Stroke 1.000          
Putting 0.439 1.000        
Par-on -0.689 0.307 1.000      
Par-save -0.897 -0.484 0.582 1.000    
Birdie/R -0.830 -0.308 0.634 0.535 1.000  
Money/G -0.844 -0.340 0.622 0.708 0.815 1.000

ChartObject Chart 5 ChartObject Chart 6

ChartObject Chart 7 ChartObject Chart 4

ここまではただ単に散布図を並べただけで、事実の把握を視覚的に行っただけです。 このあたりまではその気になれば多分誰でもできるでしょう。今回の解析の目的は 「どうプレイすれば上位入賞できるのだろうか?」であり、どうやらバーディ数が 鍵を握っているような予感がしませんか?
この続きは次回に行いますが、重回帰分析手法の価値が証明されるかもしれません。