98/10 ホームページ掲載記事/ 梅木 信治 sumeki@t3.rim.or.jp URL http://www.t3.rim.or.jp/~sumeki/
*** BGM : 幻想曲K396(385f)ハ短調(8:01)/モーツアルト(1756-1791,オーストリア) ***
ある時期、ファジー(fuzzy)と言う表現が良く使われましたが、統計学は数学の一部 ですから、厳密性の点では最右翼であると思うのですが、これを品質管理に応用した 場合、結論を出す段階で意外にファジーな面があるように思います。
たとえば、有意水準を1%とか5%とか決める根拠は曖昧であり、決定的なものでは
ありません。管理図の場合は一般に3シグマを目安にして異常の有無を判断しますが、
有意水準の表現を借りれば 0.3%弱で、1%よりもシビアです。
データ数が少ない時、2つのグループ間の有意差検定は t検定を使うのがよいと本に
は書いてありますが、有意水準1%とか5%とかにこだわれば、新編日科技連数値表
(1990)の7ページにあるような手順で計算することになります。
品質管理を熱心に勉強した人や数学の得意な人でも t表や計算の手順は暗記できない
でしょうから、いつも手元に数値表か品質管理の本を用意しておかないと実際には役
に立たないことになります。
元々曖昧な根拠を前提にその後の計算を厳密にやってもあまり意味がないように思う
のですが皆さんはどうされていますか?
また、一方でデータの数が多い場合(例えば 50 とか 100 )、わずかの差でも統計的
には(計算すれば)有意となる場合が多く、単純なモデル(例えば正規分布)を一つだけ
想定した判断はあまり役に立たないことがよくあります。
しかしながら、工場などで管理や検査のために採っているデータにはいろいろな変動
要因が重なっていることが多く、単純な解析では判断を間違える場合があります。
それらに対処できる手法として、重回帰分析などがあり、最近はパソコンの普及に
伴って製造現場でも活用されることが多くなってきたように思います。
問題はここからなのですが、重回帰分析手法そのものがやや難解なのと、ソフトの価格 が高い(一般には10万円以上)ためにユーザーが限定されてしまい、せっかくの切れ味 抜群の宝刀が広く活用されずに、いわゆる宝の持ち腐れになりかかっているように思い ます。
このホームページでも今年の4月から「私の勧めるSQC手法」を数回紹介してきまし たが、いままでは変数が1つの場合のデータ処理について、管理図と標準偏差、および 不良率データの扱い方の説明が中心でした。この間、数人の方からご質問や親しくさせ ていただいている先生からの有益なコメントなどを頂いたりして感謝しております。
これからはいよいよ変数が2つ以上のいわゆる多変量データの解析の話に進んでいきた いと考えています。使用するソフトも今なら多くの方が持っているエクセルに入ってい るアドインソフトの分析ツールが中心です。これなら社内ネットワークのある会社の方 は勿論、パソコンを個人でお使いの方でも殆どの方にご利用して戴けるものと思います。
考え方の基本は元々ファジーな部分が多い手法(いい加減ということではありません!) ですから、厳密性よりも実用性重視で、ヒントが掴めたら 「だまされたと思って次に 進んでみよう!」、予想が的中したら結構な話であり、結果がいまいちの場合は「原点 に戻ってもう一度考えよう!」、くらいの軽い気持ちで期待して下さい。 決して株や為替で儲けようとか、競馬で当てようとかの過大な期待は多分無理でしょう から保証の範囲外です。
なお、不良率のデータ処理で、安易にロジット変換を行うのは本来の趣旨にそぐわない
のではないかとのご意見もいただいていますが、いずれ重回帰分析のステップに入れば
利用する手法の1つなのでやや勇み足のきらいはありますが、ユーザーの立場で考えれ
ばどうせ後で使うものは便利なら多少本来の目的と異なっていても利用させていただく
ことでご理解いただきたいと思います。
もっとも平均不良率が5%前後であれば変換せずにそのまま(計量値とみなして)データ 処理をしてもOKです。このあたりもファジーな部分ですね。 (結果オーライ型というか、--- )
友人の 大澤 正之 さんが、ホームページを開設しました。 ジャズファンの方は一度ご覧ください。