1998-5 QC&C Labo 梅木 信治

「 私の勧める SQC手法 (その1) 」

         *** BGM は ピアノ用に編曲された「美しき青きドナウ」です。***

仕事や日常生活の中で、いろいろな目的で情報を集めたり、データをとって整理し、 なにか行動を開始する際の判断基準とすることがよくあります。一般的に情報やデ ータはすべて正しいとは限りませんので、よほどのことがなければ一つや二つだけ の情報やデータで行動を開始する人はいないでしょう。 一般にデータは、いろいろな原因によるバラツキや変動がありますので、 少なくともいくつかのデータをとってそれらの分布を図示したり、数値データで あれば平均値やバラツキの程度を示す標準偏差などを計算して予想される値を求め、 比較することが多いと思います。
それではどのくらいの差があれば本当に差があると判断して良いのでしょうか?

ゴルフのハンデキャップ18の人は1ラウンド平均90のスコアでまわるとしても 現実のラウンドスコアは100を超える場合もあるし、調子が良くて運も良ければ 84とか85のスコアが出る時もあるでしょう。多分、分布は悪い方に裾を引く形 だと思いますが、標準偏差は4から5位でしょうか。 コースの難易度、ホールセッティング、季節、天候、キャディ、同伴競技者、ギャ ラリーなど自分自身の実力以外の変動要因 が半分以上占めていると思われるので、自分のライバルとの比較は一緒にラウンド して4,5回の平均スコアが2打差以上であればほぼ確実に差があると見て良いで しょう。
ツアープロはプレーヤー同士は基本的に同じ条件で年間100ラウンド以上プレー しますから、年間平均スコアで 0.2の差があれば実力差があると言えるでしょう。 (N回の平均値を比較する時は標準偏差をルートNで割った値で検定する。つまり N=100 の時は標準偏差が1なら、0.1 として検定する。) 話がやや横道に外れましたが、
バラツキの目安として標準偏差をあらかじめ求めておくことは非常に重要なことな のです。

ゴルフの好きな方 (興味のない方には申し訳ありませんが) なら上記の話は感覚的 に理解できるでしょう。(標準偏差についてはいずれ説明します。)私も実際のデー タで計算した訳ではありませんから、数値の正確さはややファジーですが、考え方 はほぼ正しいと思います。数値化できないデータの場合は少し難しいので別の機会 に触れたいと思います。
品質管理や統計学の本を読むと、パソコンの初心者がマニュアルを見ても良く理解 できないのと同じように、いらいらして頭に来ることが多いと思います。 学者や専門家は読者の困惑を考えずに専門用語を多く使うし、 ある限定された条件でのモデルを対象に厳密性を重視してややこしい理論的検討を 重ね、一つの結論を出してもっともらしく主張する悪い癖があります。 一般ユーザーから見れば、
もっと簡単に一応の結論を出し、次に進んでみて「具合が悪かったらその時また考 える。」 というケースの方が圧倒的に多い ので、素人向けの考え方や手法が必要なのです。私は学者や専門家ではありません が、学生の頃から 40年近く、ひとりのユーザーとして自分なりに勝手に都合の良い ように解釈して SQC手法を活用し、結果として研究、新製品開発、製造工程での改 善などに大いに役立ったと思っています。

いままでこの1年間、一時中断した時期もありましたが、月1回のペースで勝手に トピックスを紹介してきましたが、5月からは月2回位に増やし、しばらくは 「私の勧める SQC手法」 を掲載したいと思います。相当に大胆な部分がありますから、異議もあるかと思い ますので、その節は遠慮なく質問なり、反対意見をお寄せ下さい。 現在考えている項目を並べてみます。

 1.データ一覧表を作ろう。
 2.先ずはグラフ化して見よう。
 3.とにかく標準偏差を計算しよう。
 4.データを必ず層別しよう。
 5.標準偏差を物差しとして平均値の比較をしよう。

 6.いいヒントが見つかったら必ず確認実験を行おう。
 7.特性要因図を馬鹿にしないように。
 8.実験を行う場合は、要因や水準を大きくカバーしよう。
 9.実験効果の確認は分散分析法がベストではない。
10.交互作用を見落とすな。

11.実験では直交表を思いきって使おう。
12.定量的な関係よりも定性的な関係を重視しよう。
13.重回帰分析は魔法みたいなもの。
14.不良率はロジット変換してから解析しよう。
15.重要な特性は信頼性評価を実験の初期から行おう。

16.見かけの最終特性を追うより真の代用特性を探そう。
17.実験条件、代用特性、最終特性の相互の因果関係を調べよう。
18.管理図法は実験データの解析にも使える。
19.抜取検査、管理図、実験計画法の原点は同じだ。
20.重回帰分析と直交法による実験計画法との関連について

21.検査データやクレーム情報を活用しよう。
22.ロット管理を徹底しよう。
23.皆でパソコンを活用しよう。
24.SQC手法を製造や技術以外の部門でも活用しよう。
25.定期的に成果発表会を行い、表彰しよう。