2003-3 QC&C Labo 梅木 信治

*** QCテクニック初級講座 *** 
これなら簡単,誰でも使えるSQC”(第16回)

抜取検査のJIS規格(1999年大改訂)の紹介(その2)
---計数抜取検査の事例(JIS Z 9015-1) ---

  商品やサービスの品質保証はいろいろな形で行われるが,最終的には検査が重要な役割を果たすことが多い.量産品の場合は抜取検査が適用されることが多いが,その基本的な考え方を理解している人はあまり多くない.日本では独自に抜取検査法が開発され,JIS規格として制定されていたが,ISO9000シリーズが品質マネジメントの国際規格として制定された後,抜取検査の分野でもISO規格が世界の標準として幅を利かすようになった.日本でもそれに合わせて1999年にJIS規格を大幅に改訂した.その中心になるのは JIS Z 9015 であり,AQL的な考え方が基本になっている.

計数抜取検査の事例(JIS Z 9015-1)
 
1999年に制定された JIS Z 9015 シリーズは,ISO 2859シリーズに準じたものですが,その中の JIS Z 9015-1 は,計数値検査に対する抜取検査手順を示しています.これはロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式と呼ばれるものです.

 
詳しくは,JIS Z 9015そのものを参照してください.ここでは,その中からごく一部を抜粋した資料である表1を使って,手順のみを簡単に説明します.


  表1 抜取検査方式を決めるための表(JIS Z 9015-1 から一部抜粋)


  検査するロットサイズが決まったら,付表1からサンプルサイズ文字を探します.たとえばロットサイズが 1000個であれば,通常検査水準II の欄を見て,文字がであることを確認します.次にAQLと呼ばれる合格品質水準を決めます.例えば1%であれば,サンプル文字Jの行とAQL 1.0 の交差した部分を探し,サンプルサイズと合格判定個数Acおよび不合格判定個数 Reの値を求めます.

 表1の下段にある付表3-A 2回抜取方式の場合ですが,サンプルサイズは 50個ずつであり,1回目の検査で不適合品が 0ならロット合格,不適合品が 3個以上なら不合格,1個と 2個の場合は第2回目の検査を行い,不適合品の合計が 3個以下であればロット合格,4個以上であればロット不合格とします.表1には載っていませんが,1回抜取方式の場合は,サンプルサイズが 80個で,不適合品が 2個以内ならロット合格,3個以上ならロット不合格とします.

 JIS Z 9015-1は連続したロットを継続的に検査するシステムとして作られており,検査結果のレベルによってサンプルサイズや判定値のきびしさを調節する基準を用意しています.生産者の工程平均レベルが取り決めたAQLより低くなれば,不合格ロットは出にくくなり,ゆるい検査に移行します.サンプルサイズも小さくなり,検査コストも少なくなります.具体的な運用は規格書を見ていください.

 
OC(検査特性)曲線とは何か?

 
抜取検査マニュアルを見ると,OC曲線と称するカーブが出てきます.これはロットの品質に対してロットの合格率をプロットしたグラフのことですが,サンプルサイズ,合格判定個数,抜取方式などによってグラフの形が異なります.
 図1つの例ですが,サンプル数(n) 200,合格判定個数(Ac) 7個,不合格判定個数(Re) 8個,なみ検査の1回抜取方式で,サンプル文字LAQL1.5%の場合に相当します. この場合の生産者危険は約1%,消費者危険10%における消費者危険品質は約6%ということになります.

 

図1 OC曲線の例( n=200, Ac= 7, Re=8, 1回抜取方式)

 実際の抜取検査は上述のようなJIS規格に従って行われますが,どのようにしてサンプルサイズを決めるのか疑問が残ります.次回はこのあたりの根拠に触れ,更に実際の検査に際して注意すべき点を述べたいと思います.