| 2002-3 |
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QC&C Labo 梅木 信治 |
*** QCテクニック初級講座 ***
”これなら簡単,誰でも使えるSQC”(第9回) |
層別の考え方を応用すると散布図はこうなる!
---プロゴルファーの獲得賞金とゴルフスコア(その2)--- |
いよいよアウトドアスポーツのシーズン到来ですね.ゴルフ,野球,それに今年はサッカーのワールドカップが日本と韓国で行なわれます.今回のトピックスは前回の続きです.前回は日本プロゴルフツアー2001
の公式記録を対象に獲得賞金額(1試合当たり)と平均ストローク数やパーブレーク率との散布図などを示しました.今回はそれらをコンバインした散布図を紹介します.使用するデータは前回と同じですので,前回の記事も後半に引き続き掲載しておきますので,読み比べながら今回のポイントを把握して下さい.
獲得賞金額(1試合当たりの獲得賞金額を対数変換したもの)は平均ストローク数と強い負の相関関係にあるのは当然として,パーブレーク率(1ラウンド当たりのバーディ+イーグルの獲得率)も獲得賞金額に寄与しているようです.ただし,パーブレーク率が高ければ平均ストローク数も当然少なくなるので,見かけ上のことかも知れません.そこで今回はそれらと獲得賞金額との関係を同一のグラフ上で図示してみることにしました.とりあえず,次のグラフをご覧下さい.この図は横軸にパーブレーク率,縦軸に獲得賞金額の対数をとり,平均ストローク数の70台(70以上71未満)を赤色,71台を緑色,72台を紫色の3段階に分けて表示したものです.
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Log(Money/G) by Par Breakers
(パラメーター:平均ストローク数) |
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パラメーター:
平均ストローク数
赤色:70-70.99
緑色:71-71.99
紫色:72-72.99 |
| パーブレーク率 (Par Breakers) |
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皆さんは層別散布図という言葉を聞いたことがあると思います.ある2組のデータを国別とか男女別,クラス別などに分けて同じグラフ上に散布図を色分けして表示する手法です.これらの場合は,層別パラメーターが分類値なので,誰でも理解できると思います.
今回のように3つとも連続した計量値の場合は,3次元グラフで表示する方法があります.もうひとつの方法はひとつの変数を見かけ上分類値のようにグルーピングして上図のように描いてみる方法です.上の図から分かることは,平均ストローク数がほぼ同じとみなせる場合でも,パーブレーク率が上がると獲得賞金額も高くなることを示しており,パーブレーク率が直接寄与していることを証拠付けていることになります.
つまり,平均ストローク数が同じで,パーブレーク率が高いということは,たとえばバーディ数が増えた分ボギー数が増えている訳ですから,年間を通して考えた場合,試合毎にスコアにバラツキのあった方が有利ということになります.つまり,ボギーも出るが,バーディの取れる選手の方が上位に食い込む試合が増えるので,年間獲得賞金額が多くなることを示唆しています.別の表現をすれば,ボギーのリスクを犯してでも,バーディを多く取るにはどうプレーすればよいかが課題になります.
それから,グラフ上の楕円の形ですが,細長ければ相関が強く,円に近ければ相関が弱いことを示していることはお分かりでしょう.
では次に,肝心のバーディを多く取るにはどうすれば効果的なのか調べて見ましょう.今回発表された公式データには記載されていませんが,一般にロングホールの方がバーディをとりやすいことを皆さんはご存知でしょう.(アメリカのPGAツアーの公式記録には,ショートホール,ミドルホール,ロングホールごとのバーディ率が載っています.)常識的にティーショットの距離,すなわちドライビング・ディスタンスが長いほど有利になりますね.ただし,フェアウェイにキープしなければ効果は半減してしまいます.
前回の散布図で示したように,ドライビングディスタンスとパーブレーク率は比例関係にありますが,楕円の形はあまり細長くありません.それに,飛距離(ドライビングディスタンス)とフェアウェイキープ率は逆相関の関係にあります.このふたつが両立すれば言うことない訳ですが,プロに限らずアマチュアゴルファーにも永遠の課題でしょう.そうかといって諦めてしまえばそれで終わりですから,ゴルフのレッスン書はこの問題を少しでもよくするための秘訣をセールスポイントにして次から次へと出版されます.それはともかくとして,次のグラフをご覧下さい.
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パーブレーク率 by フェアウェイキープ率
(パラメーター:ドライビング飛距離) |
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パラメータ:飛距離
(ヤード)
赤色:250-269
緑色:270-279
紫色:280-300 |
| フェアウェイキープ率(%) |
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今度は飛距離をパラメータとしてパーブレーク率とフェアウェイキープ率の散布図を描いてみました.この散布図から分かることは,ドライビング飛距離が短い場合(250-269)は,パーブレーク率との相関はほとんどなく,長くなるにつれて相関が強くなり,フェアウェイキープ率が上がるとパーブレーク率が高くなっています.つまり,パーブレーク率を高めるには,まず飛距離を上げることが第一条件であり,更にそのフェアウェイキープ率が高くなれば最高ということになります.飛距離が出ない場合は,フェアウェイキープ率を上げてもバーディまでには結びつかず,他の方法で稼ぐしかないでしょう.(例えばパッティングに命をかけるとか・・・)
このように散布図といえども,少し工夫することによって,直感では気が付かない関係をつかむことができるのです.今回は数値による説明は行ないませんでしたが,いままでの内容が感覚的に理解できれば,次回予定している重回帰分析の考え方に通ずるのでこのようなSQC手法をマスターしたいと思っておられる方は,よく吟味していただきたいと思います.次回は,数値による説明を相関係数,偏相関係数,回帰式なども含めて簡単な重回帰分析の話を同じデータを使用して行いたいと思います.
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