『勝利』  Shattered    勝利 勝利

(2000年作品)



 主人公ジェラード・ローガンは新進気鋭のガラス工芸職人。科学が進歩し、世の中が機械文明になり、コンピューターや機械がなんでも造ってしまう時代だけれど、芸術を生み出すのはいまもって人間の「手」だ。こんな時代に「職人」と呼ばれる人は少なくなっているが、職人は代々、1対1で技を教え、弟子は独自の技を体得していく。これみんな人間でなければできないことなのだ。機械で出来ないモノを人間は造ることができるということなのだ。こうした状況設定を下地に作品を描いたフランシスに改めて敬服する。
 ちょっと脱線するが、最近ある人から、「手」が「人間」を表すのは日本語だけ(だけ、というのは言い過ぎかもしれないが……)だというような話を聞いた。たしかに「騎手」選手」「担い手」「働き手」……と。日本の伝統文化も大事にしたいものだ。閑話休題。
 ちなみに、原題の「Shattered」は「粉々に砕かれた」というような意味があるそうだ。これがすぐに「ガラス」に結びつくのはいうまでもない。しかもそれだけではなく、これはガラス製品の製作途中のデリケートなガラスの物理的(化学的?)反応を言い表しているのである。もちろんストーリーとも関連するのだ。これがなぜ「勝利」という邦題になるのか? タネ切れというより、想像(創造)力不足ではないの。
 フランシス健在と言っておこう! これ、ホントに最後の作品になるのかなあ。