(1977年作品)
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主人公ローランド・ブリトン。本業は公認会計士。トレヴァ・キングと共同経営の会計事務所を経営。そしてその合間にアマチュア障害騎手として馬に乗る。こんな自由な職業選択も英国ならではだ(フランシスの謝辞によれば、プロ障害騎手から公認会計士になったライオネル・ヴィックという人物がいたようで、いわばローランドのモデルになったというところか)。 冒頭、ローランドはチェルトナム・ゴールドカップで、アマチュアながらタペストリ号を駆り優勝する。有頂天でいるのもつかの間、何者かに気絶させられ、気づいたときは暗い部屋の中。全く光のない中で慎重に気を配れば、そこは船の中、しかも帆船の帆庫ではないか。さらに、ローランドは船酔いする体質、この上ない苦痛と悲壮感。いったい誰が、何故? 食料は定期的に与えられ、その都度、外部が垣間見える。脱出しようにも、蓋はしっかりと鎖がかかって這い出るほどは開かない。狭い部屋の中で、1日中ほとんど光も入れてもらえず、時間の感覚もなくなる。寒さ、惨めさ、不快感。普通の人間なら狂喜に走るだろう状況。脱出するにも蓋をこじ開けるような道具もない。しかし、1週間以上も閉じこめられ、苦悶のなか、才知を振り絞ってローランドは脱出するのだ。海岸へ向かっての逃走劇。 しかし、これはまだ序章だった。2度、3度とローランドを誘拐、隔離、自由を奪おうとする魔の手が迫る。その中で、ローランドは敵を見いだしていくのだ。
ローランドは、32名の騎手、31名の調教師、15の生産牧場、ジョッキークラブの理事2名、競馬場1箇所、賭屋13軒、馬匹運搬会社2社、鍛冶屋1軒、飼料商5名、馬主40名に会計士として雇われ、競馬関係者の個人的財政状況に否応なく詳しい。会計士の仕事は会計監査、とまり不正がないかをチェックすることであり、不正直な人間は会計士を敵と見なす。一般に利益や損失を計算することだと思われているが、本質は違うのだ。多くの人間の会計を見ていると、その相関関係にも精通してくる。
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