『血統』  Blood Sport

(1967年作品)


 主人公ジーン・ホーキンス。30代後半。英国諜報部適格審査官。ゆううつ症で、常に身を消したいと思いながら、自分の任務を全うする強い意思をもつ。
 相手の心を読むことに長けている。
 「でも、あなたにどうしてそれがわかるのか、理解できないわ」

 3週間の休暇を無為に過ごすべく睡眠中、上司シム・キーブルに誘い出され、そこで米国の牧場主ディヴ・テラーに会う。テムズ河の船上。テラーの持ち馬で種牡馬として期待されている名馬が行方不明に。その捜索を依頼される。名馬の名はクリサリス。しかも失踪馬はこの十年間で3頭目。アレックスとショウマン。
 気が乗らないジーンの気持ちを変えたのは、若い男女の不注意によるテラーの落水事故だった。テラーを救助したジーンは、確信した。「あの事故は、計画された殺人だった」。

 テラーは骨折で英国で入院中。ジーンは、ディヴ・テラーの妻ユーニスのお相手にと米国へ向かうシム・キーブルの娘リニイと共にヒースロー空港を発つ。

 ジーン・ホーキンスを取り巻き色を添えるのが、このユーニスとリニイの二人。
 ジーンの相棒は、バトレス生命保険会社の調査員ウォルト・プレンセラ。二人は名馬奪還作戦を開始するが、敵は殺しをも辞さない人間。巧妙な作戦で敵の裏をかきつつ、名馬へと迫るが……。

 誰か作家が引用していたせりふ(石川喬司だったか?)を言うのはユーニス・テラー。
 「あなた、馬というド畜生のいちばん基本的なこと知ってる?」
 「馬というド畜生のいちばん基本的なことは、男の心を奪ってばか者にすることよ」

 そして、ストーリーには直接何も関係ないのだが、入院中のテラーの身辺を警護するよう依頼するのが、「ラドナー−ハレー探偵社」というところ。ん、どっかで聞いたような名前だと、ニヤリとしてしまう。

 それと、鰯好きの名馬。馬にもそれぞれ個性もあれば、好みもあるのだ。きっと英国に鰯の好きな馬がいたんだろうなあ。