『決着』  Decider    決着 決着

(1993年作品)


 主人公リー・モリスは一級建築士ながら、廃屋の改造を自らの手で行い、売り出すという一風変わった仕事を専門にしている。フランシス作品ではめずらしく、6人の子持ち。6人目は生まれたばかりだが、妻アマンダとは冷めた状態がつづいている。

 ウィリアム・ストラットン男爵が亡くなり、ストラットン・パーク競馬場の男爵の持株は、3人の息子(コンラッド、キース、アイヴァン)と、その子供(ウィリアムの孫)たちに相続された。リーはその競馬場の株を8株持っている。それは亡母の前夫が男爵の次男キース(リーとは血のつながりはない)で、凶暴な異常性格キースとの離婚の際(慰謝料代わりに?)男爵からもらったものを、リーが相続したものだ。
 その競馬場について、一族がそれぞれの思惑で対立し、存続の危機にあるという。いつもはあえて無視していた株主総会に、リーは自然と足を向けていた。5人の息子とともに、住居を兼ねたバスで乗り付けるのだ。
 存続派のマージョリー・ヴィンシャム(老男爵の妹)、新スタンド改築派のコンラッドとその娘で騎手のレベッカ、売却派のキースなどなど、ひと癖もふた癖もある一族の面々。
 一方で、正門前でつづく動物虐待反対運動。新スタンド建設でコンラッドに圧力をかけていると思われる建築士ウィルスン・ヤーロゥ。そんななか、メインスタンドの爆破事故が起こり、リーは息子とともに巻き込まれ、九死に一生を得る。さらに障害物への放火。競馬開催を阻止しようという影がうごめく。困惑する馬場取締委員オリヴァ・ウェルズを助け、リーの機転で競馬開催はとどこおりなく行われる。「Decider」として、皆に自分の意見を受け入れさせることに長けたリー・モリス。
 一族の間では、それぞれが弱みを握られ、それぞれの行動の抑止力として働いていることをかぎ取ったリーは、一族のなかの秘密を暴き出すことで、競馬場存続をはかろうとする。
 個性ある5人のリーの子供たち、コンラッドの息子で薄毛に悩むダート、リーの友人で大テントの設営者ヘンリイなど、個性的な脇役も豊富に登場する。