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ディック・フランシスの作家としての出発点となった作品で、いわゆる自伝・半生記。 障害のリーディング・ジョッキーであり、女王陛下の持馬の専属ジョッキーであったディック・フランシスが引退するにあたり、出版を勧めた側も当初はゴーストライターを勧めたように、「記念に一冊」という域を出なかっただろう。ところが、著者自らが筆を執り、これが以外にもユーモアとペーソスを織り交ぜて、なかなかのものだったということだろう。 既にその後のフランシス作品の原型がここにあるような気がする。まさしくフランシス作品の主人公の原型が著者自身ともいえそうなのだ。 それから、この原題(英語)。なんともいいではないか。 とりわけ競馬ファンにとっては、臨場感のあるレースの記述、騎手の競馬場での行動・レースでの思考、競馬場のコースなど、本場英国競馬の息吹がそのまま伝わってきて興味深いと思う。日本ではあまり盛んでない障害競馬だが、平地レースとは違う醍醐味を感じる。 著者の乗った有力馬の記述では、まさに千差万別の馬の性格がよくわかり、乗り方もさまざま考えなければならないことがわかる。これは平地も障害も共通するものだろう。岡部幸雄騎手がシンボリルドルフに騎乗して得た境地を既にすっかり理解していたことも面白い。 そしていまだに未練をもつのは「グランドナショナルの優勝」だという。 女王陛下の騎手 |