八宅派と紫白九星派について
1 八宅派について
八宅派は原書「八宅明鏡」に代表される中国風水の中でも最もメジャーな流派の一つですが、その根本理論はかなり古く、風水創始時代まで遡ることができます。
八宅派の基本理念とでもいうべき「本命卦」を用いた「宅命相配」は判断が明解なため中国の一般の人にも多く受け入れられてきました。「宅命相配」は東四命の人が東四宅に、西四命の人は西四宅に住むのが良いとされています。
八宅派の本命卦は陰陽の理から同じ生まれ年でも男女がそれぞれ異なります。「天元身運起白例」の中の男須女逆怖周天の言葉通り、男性は9、8、7、6、5、4、3、2、1と年の九星の運行通りにめぐり、逆に女性は6、7、8、9、1、2、3、4、5と巡ります。1は一白で坎、2は二黒で坤、3は三碧で震、4は四緑で巽、6は六白で乾、7は七赤で兌、8は八白で艮、9は九紫で離となります。5の五黄は中心を意味する太極と同義で方位の性質を示すものではないので九星を逆行させる男の場合は同じ五行の性質である3つ先の坤になります。また女性の場合は順行である3つ先の艮になります。
運を受け入れるための器としての「体(タイ)」は男性は陽ですが、その作用である「用」は陰であり逆行となります。女性はその逆で本体は陰で、作用としての、働きは陽となり、易の理にかなっていると言えます。「体と用」という用語はしばしば中国占術では用いられる重要な考えでもあります。
また、それぞれの本命卦別の吉凶方位ですが、これも易の理念より導き出されます。
「大遊年変爻法」によりそれぞれの本命卦の変爻により以下のように算出されます。
本命卦と同じ方位を「伏位」とする。 小吉
全 変爻の方位を「延年」とする。 中吉
下・中変爻の方位を「天医」とする。 大吉
上 変爻の方位を「生気」とする。 最大吉
下 変爻の方位を「過害」とする。 小凶
下・上変爻の方位を「六殺」とする。 中凶
上・中変爻の方位を「五鬼」とする。 大凶
中 変爻の方位を「絶命」とする。 最大凶
これは例えば本命卦が「乾」の場合、「乾」という卦は「陽」「陽」「陽」の組合せでできていますが、一番下の卦を「陰」に変えたら「陰」「陽」「陽」(下から上に書いていきます)でこれは八卦では「巽」になるので後天八卦の「巽」である南東方位は「禍害」になります。その他の方位もこれにならいます。
「爻」とは八卦を成立させる要素をいい、「陽が陰に」「陰が陽に」変わることを「変爻」といいます。八卦についてはこちら
さて、この八宅派ですが本命卦を基本とし、家自体の宅卦も入口の方位を基準とした「向」により「坐」を求める「宅向法」です。
いずれにしてもあまり知られていませんが、八宅派も単純な流派ではなく、本命卦、坐向、二十四山と干支を用いた組合せでかなり複雑な判断や時流判断ができます。それだけに易卦を基本と為すこの流派が風水の基本理念として存在しえる確固たる立場を築いたともいえるのではないでしょうか。
それぞれの吉凶説明は以下のとおり。
●生気(最大吉) 生命力や活気に溢れ積極的になる
食欲、性欲、物質欲が高まる
自信が付き指導力を発揮する
●天医(大吉) 生活習慣が安定し心身とも健康になる
意欲的に問題解決に取り組める
努力が報われたり援助を受けたりする
●延年(中吉) 結婚や恋愛を含む人間関係が円滑になる
忍耐強く問題に対処できる
衝動的にならず冷静に判断できる
●伏位(小吉) 責任感が強くなる
経済観念が身に付く
家族の絆が深まる
○禍害(小凶) 特に胃腸関係にストレスがたまる
雑事に振り回されたり騙されたりする
自身がなくなる
○六殺(中凶) 不安や迷いが多くなり判断を誤る
異性関係のトラブルがおこりやすい
書類関係のトラブルが信用問題になりやすい
○五鬼(大凶) イライラして他人の気持ちを傷つけてしまう
大事な人との人間関係が壊れる
妄想などから過ちを犯す
○絶命(最大凶) 誹謗中傷をうけたり濡れ衣を着せられる
味方を失い失敗を繰り返す
精神的な疾患にかかりやすい
2 紫白九星派について
この流派もまた中国において、とてもメジャーな流派の一つです。上で紹介した八宅派と併用される事が多く、あわせて八宅派とよぶ場合もあります。最大の特徴は入口の向きから五種類の「宅気」を導き出し判断する点です。また「紫白訣」や「九星五行断訣」といった方法で時流的な判断も詳しくできます。紫白九星派の宅盤は入口の向きの反対を「坐」として坐の九星を中宮(太極)に入れ飛泊した各方位の九星と「九星の定位盤」との五行の相生相克で次のように導き出されます。
中宮の九星と方位の九星が比和 「旺気」で大吉
中宮の九星が方位の九星を生ずる 「洩気」で 半吉半凶
中宮の九星が方位の九星を剋する 「死気」で半吉半凶
中宮の九星が方位の九星より剋される 「殺気」で凶
中宮の九星が方位の九星より生じらる 「生気」で吉
注意:半吉半凶は使い方次第で吉にも凶にもなるという意味。
それぞれの吉凶説明は以下のとおり。
●旺気(大吉) 室内で最も旺盛な気がおよぶ。健康、財運、地位向上な
どに即効性の効果がある。凶作用も吉に転化する。
●生気(吉) 室内でそれなりに旺盛な気がおよぶ。将来性が期待でき
る。健康、財運、家族運におだやかな吉。物事を始める
のに適す。ただし本命卦の凶方にあたると化殺が必要。
●洩気(半吉半凶) 室内で吉凶の境目にあたる。発展性はないが現状維持
には良い。本命卦の吉凶や置いている物などではっきり
する。
●死気(半吉半凶) 活気に乏しく消極的な方位だが積極的に使うことで活性
化する。別名「財方」ともいい水槽や観葉植物などを置く
と発財に有利。本命卦の凶方だと健康面や金銭面で苦
労する。
●殺気(凶) さまざまな面で不利になる。精神、物質両面で凶。本命卦
の吉方位と重なっても吉作用が失われる。棚など動かな
い物を置いて凶作用をブロックする必要がある。
3 両派の併用について
本命卦と宅気は本命卦の吉凶が五種の宅気によって強められるか、弱められるかという関係になります。ですので原則的には本命卦が主で宅気が副となります。たとえば本命卦が絶命で宅気が生気であった場合、個人の先天運の運勢状態で変化します。個人の先天運が発展する時期だったなら宅気の生気の作用が出て吉になりますが衰運期に入っていたら本命卦の絶命の作用が出てきます。運勢が良くも悪くもないような時は吉凶がはっきりしないエリアとなります。ただし、その建物が地運の気に旺じられていると宅気の作用が強く出る場合もあります。通常は、一家の長の本命卦に門向や門位を合わせる事を優先したほうが良いですし火を扱い調理する人の本命卦に合わせて台所の炉位、炉向を優先します。
本命卦と宅気はいずれにしても吉方位、凶方位に設置するものの種類は同じなのでそれがうまくいかない場合風水調整が必要になります。ただ、この吉凶判断はあくまで原則なので、これにとらわれ過ぎると却って使い勝手が悪い配置になったりしますので使いやすく住みやすい配置に留意するという事を忘れてはいけません。
4 小は大を兼ねない
ここで紹介した両派の判断法は家の間取りや配置決めに確かに優れた方法です。しかし風水の判断方法の鉄則である「大から小へ」というみかたの最終段階であることを忘れてはなりません。いくら室内の配置が良くても屋外の環境が良くなければ良い気を取り込むことはできません。やはり広範囲な環境から受ける影響のほうが大きいのです。
周囲の巒頭を判断し、宅山、宅格、宅局、宅位、家の形と宮などの様々な判断法を経て初めて最終段階であるこの「向」の判断方法に移ります。羅盤を用いての水法や砂法などで凶意が見つかったら被害は甚大ですし、三元九運などで地の気に背かれている時期なども凶意が増します。屋外で始まった工事にも要注意ですし、室内の形殺もあなどれません。とはいえ、屋外から入って来る気をうまく受け止められるかはこの最終段階にかかっています。屋外の環境変化に対応し時流に敏感に反応してこそ良い風水を手にする事ができるのです。