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机の上の交響楽



シューベルト:アルペジョーネとピアノためのソナタ イ長調

Franz Schubert : Sonate in a-moll fuer Arpeggione und Klavier

SCHUBERT.JPGデータ作成者:ぴっころ
フルート:ぴっころ
データ形式:MP3
制作日:2004年10月





第1楽章
arpeggione.mp3
(8.37MB)

朝日新聞で先月より篠田節子さんの連載小説「讃歌」がはじまりました。篠田さんはチェロも弾き、私の近隣にあるアマチュアオケにも入っておられたこともあるくらいなので、音楽への造詣は相当深いものがあるようです。いくつかの音楽関連の小説を発表されていますが、音楽を大変うまく題材として使っていて、好きな小説家です。今連載中の「讃歌」は、ヴィオラ弾きが主人公という、大変珍しいもの。しかも内容は本当の音楽とは、演奏とは?という問いかけが主題にあるようで、興味深く、毎日楽しみに読んでいます。

この小説のはじめのほうに、主人公が演奏するシューベルトのアルペジョーネソナタをたまたま聴いていたTVプロデューサーが生まれてはじめて音楽を聴いて感涙してしまうという経験をして、そこから物語が進行していくのですが、これを読んでふとこの曲を製作してみたくなりました。そしてこの小説に合わせてヴィオラの音色を中心に使おうと思い立ちました。

アルペジョーネというのは、楽器の名前です。1823年にシュタウファーという人が考案したギターと同じ調弦のガンバで、チェロのように弓を使って演奏します。チェロとの大きな違いは、ギターのように指板に金属のフレットが付いているということ。発想としてはギターを弓で弾いたらどんなんだろうってなノリで作った楽器でしょうか。ただ、この楽器はほとんど普及せず、音楽史の上ではほんの一瞬で消えて無くなってしまいました。プロのアルペジョーネ奏者もこの考案者ただ一人と言われいます。しかし、かのフランツ・シューベルトがこの楽器のために大変美しいソナタを残してくれたおかげで、この楽器の名称のみが永遠にこの曲ともに残ることになったという次第。

実は私は数年前、復元されたアルペジョーネの演奏を聞くことができました。ちょうどそのころピアソラが大ブームで、私は何かというとフルートとギターのための「タンゴの歴史」の演奏に借り出されていたころ。そのときもそれを演奏するためにギターの大きなサークルの集まりに呼ばれたのですが、参加された方の一人がアルペジオーネを持ってきていたのです。たぶん基本的にギターと同じ指使いであるということで手に入れられたと思うのですが、その方は自分で「私は日本で唯一のアルペジオーネ弾き」であり、だから「日本で一番うまいアルペジオーネ奏者でもあるのだ」と言っておられました(日本で一番下手ともいうかも・・(^ ^;)

その音はチェロよりもちょっとガンバみたいな地味な音だったように記憶しています。現代の楽器で一番近いのがもしかしたらヴィオラかもしれません。

この曲はさまざまな楽器で演奏されます。一番多いのがチェロでしょうか。フルート版というのもありまして、私自身も何度か演奏したことがありますし、ランパルやゴールウェイなど名演奏を聴かせるフルーティストもいますが、やはりこの曲はヴィオラで演奏するのがもっともふさわしいのではないでしょうか。音域的にはオリジナルの低音から高音までカバーできるのはチェロなのですが(かなり広い音域の作品です)が、メインの部分はチェロにしてはかなりの高音であり、またチェロだと少し雄弁にすぎてしまうようにも感じます。今回は篠田さんの小説を読んでイメージした、すこしひなびたアルペジョーネにしたいと思ってヴィオラを使い、ピアノも古雅な響きで大好きなフォルテピアノを使用しました。シューベルトの時代だとまだまだピアノの音はこちらのほうに近いものだったと思われますし。

また、この曲はさまざまな楽器で演奏する際、非常に音域が広いために、奏者はそれぞれの楽器に合わせてオクターブ上げたり下げたりしながら演奏しますが、今回はヴィオラで出ない低音は補助的にチェロを使用し、シューベルトオリジナルの楽譜のまま演奏しています。

お楽しみいただければ幸いです。
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この曲の楽譜はこちら。

シューベルト:アルペジョーネソナタ(ベーレンライター原典版 29)

こちらの楽譜を使って打ち込みました。フルート、チェロ、ヴィオラでやるにせよ、やはり原曲の楽譜には目を通すのは必須です。

ハルモニア
篠田 節子 (著)

篠田さんの音楽関連小説はなかなか音楽の本質を語っていて面白いです。やはり自身チェロを奏されるとのこと、クラシックへの造詣は深いものを感じます。ここの登場人物のバッハの無伴奏組曲の理想の演奏観というのが興味深い・・・後半は少々オカルトチックで好みが別れるところでしょうが、作品を知っている人ほど面白く読める筈です。テレビドラマ化されて放映されたので、ご存じの方も多いでしょう。お奨め!

シューベルトの伝記

シューベルト作曲家・人と作品

最も新しいシューベルト伝。病気や父親との葛藤、貧困など多くの苦悩の中で夭逝してしまった作曲家が生み出していく美しい歌曲からシンフォニーが生まれるまでの軌跡。作曲家への共感がより深まります。

アルペジョーネ・ソナタのCD

シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ 深井碩章(ヴィオラ)

北ドイツ放送響首席ヴィオラ奏者、またハンブルク国立音大教授であった方のヴィオラによる演奏。

シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ オーレル・ニコレ(フルート)

巨匠ニコレ先生によるフルート版。この夏に縁会って来日時にお世話をしましたが、まだまだお元気そうでした。暖かいニュアンスに溢れた演奏。

シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ ゲリー・カー(コントラバス)

なんでも弾いちゃうスーパーコントラバス奏者、カーによる珍しい弦バス版アルペジョーネ。もうなんでもあるぺじょーね(^^;)(-_-;)。この他にトロンボーン版なんてのもあるんですが・・。(アルバムのタイトルが「トロンボーンの犯罪」ってのも傑作です。)
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