OfficeKOBA連載小説
痛み(1) by 小林 千早都
痛みには、横に走る痛みと縦に突き抜ける痛みがある。 じわじわときてなかなかひかない痛み。がつんときて スッと消える痛み。痛いことをいくつも経験してきた はずなのに、いつまでたっても痛みに慣れることができない。 さすがに三十代も後半になると、痛みを感じないフリだけは 一人前にできるようになったが、痛いという事実には変わりが ない。それどころか、年経るごとに心にも身体にも弾力性が なくなってきているせいか、痛みを跳ね返すことができずに いることのほうが多くなってきた。 人を簡単に傷つけるヤツは人の痛みを知らないヤツだ、と 巷の評論家は決めつける。けれど、逆の場合もあるんじゃないか。 人一倍痛みを知っているからこそ痛めつけてしまう。 自分と同じ痛みを相手にも感じてほしいから傷つける。 痛みの共感。こっちのほうが素直だし、私にはすんなり呑み込める。 (2004.01.31)Copyright(C) 2004 小林 千早都