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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
空気圧回路の基礎知識(2)
0. 概要
よく使われる機械要素に空気圧機器がありますが、初心者にはカタログを見ても何のことなのか判然としないことが多いと思います。
ここでは空気圧回路と、その主立った機器についての基本的な説明をします。

今回は空気圧バルブの種類とその選定についてです。

その他空気圧回路で注意すべき点についても簡単に説明します。
1.0 解説
[空気圧バルブの種類と選定]
空気圧バルブには色々な種類があります。

まず最初に、バルブの切替の駆動源の違いで分けると
●ソレノイドバルブ(電磁ソレノイドで切替)
●エアーオペレートバルブ(外からの空気圧で切替)
●メカニカルバルブ(メカ動作で切替、または手動切替)
メカニカルバルブは、防爆性が必要な装置などで全空圧制御をしたい場合などに使います。
メカニカルバルブの例(SMC(株)サイトより)
以下、主にソレノイドバルブについて説明します。

更にエアポート(配管接続口)の数で分けると、
●2ポート
●3ポート
●4ポート
●5ポート
などがあります。

2ポート、3ポート等ではそれぞれにノーマルクローズタイプ(略号はNC 英語表記はNormally Close)、ノーマルオープン(同NO、 Normally Open)があります。
以下に、各バルブの図記号を載せておきます。
2ポートノーマルクローズ
2ポートノーマルオープン
3ポートノーマルクローズ
3ポートノーマルオープン

簡単に図記号の見方を説明します。

特に、断りが無い場合はA,Bポートはシリンダーにつなぐポート、Rポートは排気ポート、Pポートは給気ポートを意味します。

例えば、上の3ポートノーマルクローズの図を見ると、単動形のエアシリンダーがバルブに接続されています。

普通、配管図は通電しない状態で書きますので、現在バルブが右側のばねで押し戻された状態です。
(くねくねとした抵抗記号のようなものがばねを表しています)

バルブには二つの長方形が書かれていますが、非通電時は右側の長方形が、現在のポートの接続状態を表しています。
ですから、給気ポートは閉ざされていて、エアーシリンダは排気ポートRと繋がっていますから、単動形のエアシリンダーはばねで戻っている事がわかります。

次に通電時には左側の長方形に切り替わります。(バルブ左側の小さな長方形二つの左側(斜線が描かれている)がソレノイドを表しています)
その時には給気ポートPとエアシリンダー繋がって、シリンダーに圧力が加わり動くことになります。
補足:尚、バルブ左側の小さな長方形二つの内、左側がソレノイドだと説明しましたが、その右の右向き三角形がある小さな長方形は何かと言いますと、「このバルブはエアーオペレートタイプのバルブですよ」と言うことです。
「え?ソレノイドバルブの説明をしてるのに、なんでエアーオペレートバルブなの?」と思われるかも知れませんが、最近のエアーバルブはソレノイドの低消費電力化を目指して、小さなパイロットバルブを小さなソレノイドで動かし、そのパイロットエアをバルブの切替に使っているのでこの様な形になります。
ですので、この小さな三角形部を省略すると、ソレノイドで直接バルブを切り替える「直動タイプ」を意味することになります。
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次に4ポート、5ポートですが、
4ポートはA,Bポートの排気が共通のRポートから排気されるもの、
5ポートはA,Bそれぞれ専用のRポートから排気されるもの、

です。

以下、5ポートタイプで説明します。
ソレノイドの数と切り替わり位置数によっていくつかのタイプに分けられます。
ソレノイドの数による違い
シングルソレノイド・スプリングリターンタイプ
ダブルソレノイド・スプリングリターンタイプ
ダブルソレノイドタイプ(スプリングリターン無し)

切り替わり位置数の違い
2位置タイプ
3位置タイプ
多位置タイプ(説明は省略)

普通は、通電しない状態ではばねで戻り、ソレノイド通電中だけ切換わる、シングルソレノイド・スプリングリターンの2位置タイプが使われます。

2位置のダブルソレノイドタイプ(スプリングリターン無し)はどういう時に使うのでしょうか?

これらはバルブの切換に2つのソレノイドを使うもので、切り替わりに必要な時間だけ通電すれば後は通電しなくてもそのままの状態を保持します。
ですから、省エネ的な使い方をしたり、停電時に不用意に切り替わっては困るときに使ったりします。

ただし、ダブルソレノイド形を瞬時通電によって使用する場合に通電時間が短か過ぎると誤動作することがありますので最低でも0.1秒以上通電するようにします。
また二次側負荷条件によっては、シリンダが誤作動する場合がありますので、シリンダが動作端まで移動したことを確認してからソレノイドの通電をオフにすることが推奨されています。
5ポート・2位置
シングルソレノイド・スプリングリターン

5ポート・2位置
ダブルソレノイドタイプ

補足:図の簡単な説明をしておきます。
図の上側にあるのは複動形のエアーシリンダです。
エアーシリンダとバルブの間にあるのはスピードコントローラ(スピコン)です。
図のタイプのスピコンは、エアーシリンダに圧力を供給する時は抵抗無くエアーを供給し、排気される時にチェック弁(逆止弁:図ではV字と○の組み合わせ)と並列に設けられている絞り弁(図では矢印と向き合った2個の円弧の組み合わせ)によって排気速度をコントロールするメータアウト(排気絞り)タイプ
と呼ばれています。
その逆に、エアーの供給速度をコントロールするメータイン(給気絞り)タイプ
と呼びます。(図記号はチェック弁の向きが上下逆になる)

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次に3位置タイプの説明ですが、これには、
クローズドセンター
エキゾーストセンター
プレッシャセンター
パーフェクトタイプ
があります。
これらは、非通電時にスプリングリターンでセンター位置に戻るものです。
5ポート・3位置
クローズドセンター

5ポート・3位置
エキゾーストセンター

5ポート・3位置
プレッシャセンター

5ポート・3位置
パーフェクトタイプ



次に各タイプの用途や特徴などについて説明します。

●クローズドセンター:
A,Bポートが閉止されてシリンダーが動かなくなります。
例えば中間停止したい時などに使用します。
但しエアーの漏れと弾性は無視できないので、正確な位置決めには不向きです。

●エキゾーストセンター:
こちらはA.Bポートが排気側につながりますから、自由にシリンダーを手で動かせます。
緊急停止などをさせて、ワークを手で取り出したい等の時に使えます。

●プレッシャセンター:
これは給気側(圧力側)にA,Bポートがつながりますから、片側にロッドがある一般の複動シリンダーでは、受圧面積の差があるのでエアーシリンダはロッド側に移動します。
この時、排気する空気量はロッドの体積分しかないので、その分高速で移動します。(但し駆動力はロッドの断面積分しかないので注意)
用途としては、上記の特性を利用して高速戻りに使ったりします。

●パーフェクトタイプ:
これはバルブの構造としてはエキゾーストセンターの一種なのですが、動作としてはクローズドセンタと同じです。
特徴として、排気にチェック弁(逆止弁)が入っていてエア漏れが少なくなっていることがあります。
エア漏れが少ないので、長期間停止させる場合に有効とされています。


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[空気圧回路で注意すべき点]
特に注意して欲しいのは、空気圧が完全に抜けた状態からソレノイドに通電すると、(特にスピコンがメーターアウトの場合)スピコンが効きませんからシリンダーが高速で飛び出してしまいます。
エキゾーストセンターを使っていて、停止後再起動する時も同様です。
最悪、作業者がケガをしたり機械を破壊したりします。
一応飛び出し防止用のスピコンもありますが、あまり効果が無いのが実情です。
この対策として、両ロッド形のエアーシリンダをプレッシャセンターで使うのも一案です。
この辺りは良く検討して使って下さい。


これは制御回路、プログラムを作る際の注意事項ですが、ダブルソレノイドの両方に同時に通電しない様にすることが大事です。直動形の場合は最悪、ソレノイドが焼損します。
このことは当然と思われるでしょうが、シーケンスのデバッグをしている内に間違うことがあるので念入りにチェックをしてください。
特に現場で急いでシーケンスの変更する時は要注意です。


配管設計で注意すべきなのは、マニホールド(内部に空気用の配管路が作られたブロック)にたくさんのバルブを付けると排気の背圧が上がり、誤作動の原因になることがあります。
特にマニホールドの中に単動シリンダーを駆動するバルブや、3位置のエキゾーストセンタ形のバルブをつないでいたりする時、それらが勝手に動いたり、戻らなくなったりすることがありますので注意が必要です。
これらの背圧による誤動作対策としては、個別排気形のマニホールドを採用するなどがあります。
ですから、マニホールドにあるRポートの片側を塞ぐような使い方は止めた方が良いでしょう。
もちろんエキゾーストクリーナーまでの配管など排気の配管径も太くして下さい。


空気圧を使用した装置では、排気の音がうるさいので、市販のエキゾーストクリーナーを使う事を推奨します。(バルブ1個だけならサイレンサーでも可)
そこで、一寸したアイディアなのですが、エキゾーストクリーナーの代わりに、粉ミルクの缶に小さな穴を開け、中にスポンジ等を詰めても代用になります。
または大きなPETボトルでも良いでしょう。(排気穴はなるべく多数開けて下さい)

あと、圧力変動が大きいところとか、大径シリンダーを高速で使う時は、配管系に大きめのエアータンクを設置することをお薦めします。
当然ながら給気側の配管も太くするのは同じです。

あと、説明が前後してますが、スピードコントローラーの使い分けの基本は、複動エアーシリンダーの速度制御にはメーターアウト(排気絞り)を使用し、単動シリンダーのそれはメーターイン(給気絞り)を使うのが原則ですね。
(あくまで原則です。”例外のない原則は無い”、です)


その他、空圧機器を使った自動機の非常停止のシーケンスは良く考えて設計してください。
くれぐれも、全部のバルブを同時にオフなんて単純な設計はしないで下さい。 そうしないと、メカが噛んだり作業者にケガさせたりします。
大径の排気バルブを付けて非常時には全ての圧を瞬時に抜くってことも必要であったり、逆にブレーキつきシリンダーを使って落下防止を考慮するなども必要です。
最悪のケースを想定して、シリンダーやバルブとそれを含む空気圧回路を設計して下さい。
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[エアーシリンダーの種類]
エアーシリンダーは大きく分けて、単動形、複動形があります。

単動形:
加圧ポートが1カ所だけのもの。
ピストンが常時ばねで片側に押しつけられている。
空圧を加えた時だけピストンが動作する。
常時引き込み形、常時突出形がある。
補足: 単動シリンダーは配管の手間も少なく便利ですが、安易に使うとトラブルの原因になります。
粉塵が多いところでは、使用しない方がよいでしょう。(排気穴からゴミを吸って動かなくなることがあります。逆に、シリンダー内のゴミが排出されるためクリーンルームでも不可です。)
また、シリンダーの戻り負荷を大きく(重く)しないのは当然ですが、戻り側で何かに引っかかる様な恐れのある所には使ってはいけないのも同様です。

複動形:
加圧ポートが2カ所有る。
ピストンがどちらに動くかは加圧ポートの選択で決まる。
標準型シリンダーだけではなく、ジグシリンダーとか薄型シリンダーとか色々あります。
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(13 May. 2009 初出)

[参考文献]:  社刊「   」(    著)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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