アスコットイノーバ
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結婚したこともあり、ATでちょっと落ち着いたクルマが欲しいと考えていた。
やたら売れた初代インスパイアがワイドボディになったので、マジで買うつもりで初めてホンダのディーラーに足を運んだ。
が、試乗して一気に冷めてしまった。ボディはでかいくせに中身は以前と変わっていないため非常に狭かったのである。
5気筒縦置きFFミッドシップ恐るべし。3ナンバーであの車内はどうしても許せなかった。それに木目を多用したインテリアも古めかしく感じられた。


その後欲しいクルマも無かったのでどうしようかと思っていたら、同じホンダから新型車が出た。
アスコットの4ドアハードトップ版のイノーバである。
早速試乗をしに近所のディーラーへ。ハードトップで流れるようなルーフライン。
とても室内の広さは期待できないな・・・と思いきや、広い!ほんとうに広い!!
横置き4気筒FFとは言え、5ナンバーサイズでもここまでできるのか・・・

ともかく夫婦とも気に入り、契約に向けて商談を開始したのである。


最初に試乗したのは2000ccDOHCのSiだった。よく回るエンジンだったが、正直がさつでいい印象はなかった。営業マンはそれを見透かしたのか「少し待ってください」と一言。
待っていると、どこからか2300ccDOHCの最上級グレードを持ち出してきた。
聞くとディーラーの社長の所有車だと言う。

極めてはいなかったけど一応4A-Gエンジン乗り。
2300ccの4気筒なんかさぞかしかったるいだろうな、と先入観丸出しで乗ってみたら驚いた。
レッドは6000rpmそこそことは言え一気に吹け上がり、2000ccとは全く別物のトルク感。
内装も地味ながら高級感あふれ、一気に印象が変わって購入決定となった。
この社長車に乗っていなかったら絶対に買っていなかっただろう。

前述のとおりパワー・トルク感は文句無し。
このH23Aエンジンは当時のプレリュード用2200ccVTECエンジンのストロークアップ版で、VTECを外されてはいるが、ハイオク仕様で165psを稼ぎ出した。後で知ったことだが、イノーバ専用設計だったようだ。
燃費は街中で8km/Lと、レビンと変わらない程度で大いに満足であった。

欧州ではアコードの名前で販売され、ローバーにもOEM供給されていたせいか、当時の日本車ではめずらしく硬めでしっかりとした足を持っており、これも非常にお気に入りだった。それに長いホイールベースをものともせず、結構機敏な動きもできたのである。BTCCではレース用ベース車としても利用されていた。

しかし、欧州ではそこそこ売れたようだが、本拠地日本では・・・

日本では全くと言っていいほど売れなかった。存在を知っている人間の方が少ないだろう。
少なくとも某大手カー用品店のオーディオ担当はみんな知らなかった。
そのうちいつの間にやら受注生産→生産中止となった。一代限りで消滅である。
トータルで3万台売れなかったそうだ。

ろくに宣伝せず、年齢層のターゲットもはっきりせず、当時あまり人気車の無かったプリモ店扱いで、インスパイアと変わらないほどの強気の価格設定などなど・・・
よくよく考えりゃこういうクルマを買うのは物好きだけなのか(笑)

でも、いいクルマだった。全然いじらなかったけど、車検を通して5年間乗った。
今でもたまに見かけると懐かしくて必ず振り返ってしまう。

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