話をする上で、他分野との用語のすりあわせが必要なのかな、と、こさえた自習メモ。
門外漢にはいろいろ耳慣れぬ表現のオンパレードではあれど、よく見ればなじみの概念が頻出する本、日本放送出版協会『幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について』(2007/03) をベースに。
黒字はウェブや他の書籍から。茶色は雨崎。
幸福論remix:
『0,a,ア行』
『カ行』
『サ行』
『タ行』
『ハ行』
『ナ・マ・ヤ行』
『ラ・ワ行』
■ナ・マ・ヤ行■
【ナイーヴ】 ナイーブ
- 何かを素朴に信じてしまっている人、踏み抜きや全体視から遠い人。
- 運動に関わっている人たちがナイーヴであかん。
- ナイーヴであるがゆえに、頭のいいネオコン的ニヒリストに太刀打ちできない。
【なやみ 悩み】
- 「悩み」と「気分」は分けて対処せよ
- 「死にたい」やつに対しては、死にたい悩みをどうこうしてやるのではなく、死にたい気分の手当をせよ。
- 死に向かわせるのは、悩みではなく気分。気分が悩みをこしらえている。
→『防衛庁経由・うつ病救済行き』
- 相手の「気分」を自在に変えるにはテクニカルな実践修行が必要。
ゆえに、修行方法にこだわる小乗化がある。

【ならく 奈落】
【ニヒリズム】
- 虚無主義。
真理など存在しないとみなす立場。
- 近代の外に出られないことを自覚できない素朴なロマンチストが、やがてギャグ的現実に気づいて幻滅し、ニヒリズムに陥るのは、よくある話。
- こうしたパターンに陥らないためには、「真理の言葉」が自分の実践を最終的に正当化してはくれないことについての免疫が必要。
- →ネオコン的ニヒリスト
【にんしょう 人称性/人称的】
- その考え方、前提、物語が、誰の意図によるものか、誰がこさえたのか、明らかなこと。
- それがある特定の人(たち)によって押しつけられたものにすぎないのだと、相対化の視点を向けること。
- 先生が言うには リーダーが言うから →特定人称性
- 人為的人称的社会化:社会の規範を立てる側の姿が見える
-
→奪人称性
(普遍的な規範であるかのように遵守を当然視される:人称性を奪われた言説)
【ネオコン】(新保守主義者)
- 一般的に、デタントのトラウマゆえに合議の可能性を信じない立場を指す
- 9・11以降のネオコン的振る舞いを肯定するギデンズやウォルツァーらリベラル派論客の言説
- 人びとを慰撫(いぶ)する現状や都合のいい過去を総動員する一方で、人びとを不快にしアイデンティティを脅かす決定的な過去については、人びとの不安につけこんで道徳的に無効化し、現実に居直る。
- 「頭の良いネオコン」
- 合議の可能性を信頼させながらの恣意的誘導を企図
- 自由と民主の枠の逸脱を不可視化させる
- 「頭の悪いネオコン」
- ただちにゲバルトをもち出す
- 自由と民主の枠の逸脱を可視化させる
【ネオコン的ニヒリスト】
- ナイーヴな運動家はナイーヴであるがゆえに頭のいいネオコン的ニヒリストに太刀打ちできない。
そんな異議申し立てじゃあ効きやしない。
- 「どうせ世界はこんなもの」だと気づいてしまった「頭のいいニヒリスト」に対して、「マイノリティの自由は大切である」というような従来の道徳的な言葉は、完全に無力。
- たとえば環境問題は、ネオコン的ニヒリストにとっては、主義の問題以前の趣味の問題にすぎない。
- →ニヒリズム
【ネオ・トックヴィル主義】
【ネタ】
【ネオリベ】 ネオリベラリズム neoliberalism 新自由主義
- リバタリアニズムの世俗的な形態。
- 多様性を切り捨てて流動性を重視。
異質な存在を排除、監禁、重罰化する傾向。
サッチャリズムやレーガニズム。
【ノイズ】
- 自分側の世界観・価値観にはいない者。
自分側の整合性をおびやかす者。異なる規律で動く者。
よそもの、他者、異質な存在。
- →感情的安全 →免疫、ノイズ耐性
【ノージック】ロバート・ノージック
-
正義の権原理論
- 獲得の正義に従って保有物を獲得する者は,その保有物に対する
権原をもつ
- ある保有物の権原をもつ者から移転の正義に従ってその保有物を得る者は,それに対する権原をもつ
【のうみつさ 濃密さ】
【ノブレス・オブリージュ】
- 「貴族の義務」、「高貴な義務」
一般的に財産、権力、社会的地位には責任が伴う事を言う。
〜ウィキ
- 特権には必然的に(特権のない者のめんどうを見る)責務が伴うものだとする。
根本的に「優劣」を前提にした、東洋文化圏には縁遠い概念。
- →公民
【まつり 祭り】
- →感情ゲーム
- どんな「祭り」も、非感情的に設計されたものである可能性はぬぐえない
【まさつ 摩擦抵抗の低いコミュニケーション】
【マナ】
- メラネシア語で「人間の平常の力を超え、自然の通常の過程の外にあって、あらゆるものに効果を生じさせるもの」(コドリントン『メラネシア人』)
宇宙に濠る何か超自然的で神秘な力であり、森羅万象のなかに自由に出入りしてそれを背後から作動させ、生気づけるものであり、人間や自然物、自然現象を通 じて啓示されるもの
〜 山内昶「もののけ1」法政大学出版局
- 日本語の「もの」をはじめとして、世界各地に偏在するマナの例は、 山内昶「もののけ1」法政大学出版局p.93〜にふんだんに挙げられている。
-
【マルクス主義】
- 気分としてのマルクス主義の全盛時代のあと、気分としての構造主義やポスト構造主義が出てきて、時代遅れの気分に対する解毒作用を果たした。
- 自分はいまだにマルクス主義とは何かがよくわからない。
【まるやま 丸山眞男】
- 「民主政は実践の永久革命だ」
- 民度の低さ=人の良さ を、丸山眞男は「作為の契機の不在」と表現。
【みた 見田宗介】
【みっきょう 密教】
- →顕教
- 隠されていた正しい理論的認識。
-
エリートの一部が保持占有していた密教
。
- われわれの幸福へと向けた社会設計は原理的に不可能。
公正・平等原則に反しない「社会設計」はありえない。
- 普遍的に正当化できる境界線の設定は不可能だが、境界線の設定は不可避。
- 全ての社会は、恣意性を覆い隠す正当化装置や正統化装置をもつ。
- エリートたる者は近代の外に出られないことを徹底的に自覚せよ。
- →金剛密教
【ミメーシス】(感染的摸倣)
- →公民 →特定人称性 →感情的動員
- カリスマ性 美学 ロールモデルヘの同一化動機
- ミメーシス:初期ギリシア的な意味での教育は、自己陶冶を遂げて自立した者が周囲に及ぼす感染的摸倣であった。
- 人から人への感染を及ぼしうる者だけが全体性へのアクセスの資格を得る。
- 等身大のパターナリズムを有効に機能させるためのミメーシスは、どうすれば広く実現できるか。
『シリーズ物語り論 1 他者との出会い』
p.55
森岡正芳
『「ミメーシス」というのは美学の理論からも随分いろんな考え方があるようです。これは単なる模写ではないんですよね。クリエイティヴ(創造的)な動きも含めた意味での模倣です。これが我々のやっていることとかなり近いのではないかということで「ミメーシス」という言葉を導入したわけです。』
【みんど 民度】
- 問題があればプラットフォームを要求し、それを維持していくための意志をもつこと。
- 日本的に美化される人間学「信じやすさ」や「素朴さ」は、近代社会の維持には不都合。
- 民度が低い:つまり人が良いからこそ、人の良さを最大限生かしたソーシャル・デザインが遂行されるしかなく、民度の高いエリートが要求される。
- 日本では民度の低さが国民全体を覆っているので、統治する側と統治される側を截然と分けがたい。
【めんえき 免疫】 ノイズ耐性
【ものがたり 物語】
- ナマの情報をふるい分け変形させて、むりやり意味を単純化させるフィルタ。
編まれた意味枠。
- 「意味」の回路。
- 第三者の審級=物語。
- 全体を見通す、全体性という幻想としての「大きな物語」。
環境複雑性の縮減に効果を発揮する。
社会システムの複雑性を、心理システムのキャパシティに収まる範囲にまで縮減してくれるフィルタ。
- ルーマン理論的には、「意味」は世界の複雑性の縮減のための機能の一つでしかない。
ポストモダン理論風に言うところの「大きな物語」が機能していない状態とは、ルーマン風に言えば世界の複雑性を縮減させるための装置が十分に機能していないということ。
『シリーズ物語り論 1 他者との出会い』 宮本久雄, 金泰昌 (編さん) 東京大学出版会 (2007/02)
『シリーズ物語り論 2 原初のことば』 宮本久雄, 金泰昌 (編さん) 東京大学出版会 (2007/03)
『シリーズ物語り論 3 彼方からの声』 宮本久雄, 金泰昌 (編さん) 東京大学出版会 (2007/04)
【ユビキタス】
- めっさテクノロジー化していくこの世界。
- スマート化やユビキタス化:「見たいものしか見えない」という方向を目指すテクノロジ。
- テクノロジーが「この社会に意味がない」という感覚を加速させる
- 「スマート化」必要だが危険=危険だが必要
【ヨーロッパ、イギリス】
【よきりろん 予期理論】
- 何事も「そう見える −− 期待できる」という水準で議論。
- 内的融合が愛なのでなく、内的融合があると見えるときに愛があるとされる。
内的合致が理解なのでなく、内的合致があると見えるときに理解があるとされる……。
内的融合や内定合致の有無は検証できないし、検証の必要もない。
見えれば、思えれば、いいだけ。
- こうした理論はシニシズムだと見られ、不人気。
それは残念だな、という、ルーマンのシステム理論と共有するペシミズム。
- これからは予期理論的な社会観がますます必要になる。
【ヨナス】 ハンス・ヨナス
- 『責任という原理』という本のなかで、いま問題にすべきなのは、われわれが、われわれ自身の力を恐れること。
- 人間がもっている、自然を超える力をどうやって畏怖するか、畏怖する感情的プログラムをどうやってもう一度注入するか。
【よんきのう 四機能】 音楽コミュニケーションの四機能
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シーンメイキング機能:音楽をかければ空間がオッシャレーなシーンに早変わり
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1990年代半ばまではベタにいたが、今は完全にバカ扱いされる。
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関係性提示機能:「これってアタシ」自分や周囲の解釈ツール
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承認要求が強いがゆえの不全感に苦しむ自傷系やひきこもり系に親和的。
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究極お耽美(たんび)機能:「異世界」現実逃避ツール
- 社会的退却の方向に行きかねないところを、異世界提示ツールのおかげで擬似的な共同体を形成し、酷薄な流動性をやりすごしている。
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ネタ機能:「どうせおいらは」的な韜晦(とうかい)にもとづく「楽屋落ち」。オタク的コミュニケーション・ツール
幸福論remix:
『0,a,ア行』
『カ行』
『サ行』
『タ行』
『ハ行』
『ナ・マ・ヤ行』
『ラ・ワ行』
『幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について』
宮台 真司, 鈴木 弘輝, 堀内 進之介 (著)
日本放送出版協会 (2007/03)
『波状言論S改 社会学・メタゲーム・自由』
東浩紀,北田暁大,宮台真司,大澤真幸,鈴木謙介
青土社 (2005/11)