話をする上で、他分野との用語のすりあわせが必要なのかな、と、こさえた自習メモ。
門外漢にはいろいろ耳慣れぬ表現のオンパレードではあれど、よく見ればなじみの概念が頻出する本、日本放送出版協会『幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について』(2007/03) をベースに。
黒字はウェブや他の書籍から。茶色は雨崎。
幸福論remix:
『0,a,ア行』
『カ行』
『サ行』
『タ行』
『ハ行』
『ナ・マ・ヤ行』
『ラ・ワ行』
■タ行■
【だいさん 第三項/第三者】
【たいせい 耐性】 耐える/耐えられない
- 酷薄な流動性をやりすごすための解決ツールは1990年代以降ほとんど提示されていない。
- 1990年代末になると「耐えられない人のリアリティ」が前面に出てきた。
ある時点で「もういいです、脱落します」といって耐えられなくなった人たちが多数出現。
- 「意味の果て」という話は苦しい。単純に普通の人は耐えられない。
-
→免疫
【たごさく 田吾作】
- →奪人称性 →ハイパー・メリトクラシー →衆生
- エリート主義を邪魔する「田吾作平等主義」 →東大系
- 突出した能力を持った規格外の人間の存在を許さない、結果的な平等を主張する民主主義。
- 日本的学校化と表裏一体。
- 日本の場合、ヨーロッパのような階級文化の歴史も、アメリカのような移民社会の現実もない。
だから誰のスタートラインをどの範囲で揃えるのかに合意できず、いきおい神経質な機会の平等主義に陥りやすい。
- 「嫉妬する勉強田吾作」=エリート層に入れずルサンチマン(妬み)にぐずぐずのたうつ二流三流の連中。
- ハイパー・メリトクラシー空間は、エリートの傍らに「嫉妬する勉強田吾作」を量産する。
- 「嫉妬する勉強田吾作」の量産を緩和するために、彼らの感情的安全を保つ装置(地域集団を含め、オルタナティブな所属意識を可能にする集団)をデザインする。
- 早くからエリート校志望者には、勉強だけではエリートになれないことをわきまえさせる 【インテリジェンス】 →資格授与
- 「そこに入れないバカは身のほどを知れ」「そこに入れない人間は何をやっても無駄だ」というメタ・メッセージを送る
【たじゅうきぞく 多重帰属】
- どの島宇宙に帰属するかを「選べる人」と「選べない人」
- 島宇宙を並べる営為自体がもう一つの島宇宙になる。
全体としては縦横を論じられない「言語ゲーム的状況」。
【だつしゃかい 脱社会化】
- 「脱社会化」とは、精神医学でいう「人格障害」の概念を社会学の側から言い換えたもの。
精神障害ではないのにマトモではない、「感情の働き」が当該社会に沿っていない、壊れている状態。
そも、標準的な「感情の働き」は時代や文化によって変わるものであり、「脱社会的」は当該社会の内側だと考えられているあり方から外れているというだけの意味。
- 「社会化と脱社会化」あるいは「参加と離脱」が、差異を構成できない状態になること。
「どう違うんだよ」
- 「生きても死んでも別にいいや」■
- →金剛密教
【だつしゃかい 脱社会的存在】
- 社会(システム関与)から離脱したいという願いを抱えた者
その願いが感覚的にわからない存在もいる:浅田彰、大塚英志
- 「死のうが生きようが大差ない」という気分を理解できるのが成熟社会。
だから、サブカルチャーを通じて、そういう気分を再帰的に顕在化することが大切。
- 脱社会的存在が生まれないように、事実的に存在するシステム定常にコミットメントする
→
ローティの感情教育
- すでに事実的に存在する脱社会的存在に対しては、殺すか、隔離するか、いずれにせよインディファレント化(無関連化)するしかない。
- 結局、実践する者しか −− 正確には実践する者が救おうと思う連中しか −− 「人」として救われず、残りは「もの」として切断される小乗。
脱社会的存在が遺棄されるのは、結局はしかたない。
- 端的な事実性という臨界を見きわめる動員者は、実は脱社会的存在と遜色なくなる
【だつにんしょうせい 奪人称性】=非人称性:自明性
【たましい 魂】
- 「魂」の問題:
万人が再帰的に覚醒することはありえない。
かといって実践者と非実践者の差異、実践者のなかにある動員者と被動員者の差異という、端的な事実性を、万人が忘却するわけにもいかない。
【たようせい 多性様】
- 「流動性によって多様性がなくなってしまうことを理解できる感受性があなたにはありますか?」
- 流動性がある閾値を超え、流動性と多様性が両立しえなくなると、人々の感受性は二つに分岐する。
- 多様性を切り捨てて流動性を重視:ネオリベラリズム
異質な存在を排除、監禁、重罰化する傾向。
サッチャリズムやレーガニズム。
- 流動性を抑制して、多様性を護持せよ:リバタリアニズムやコミュニタリアニズム
欧州主義、亜細亜主義、マルチカルチュラリズム…
- 流動性や収益価値を重視するのか、多様性や共生価値を重視するのか
- →多性様フォビア
- 多様性が減少すると、しかと踏み抜くことができるチャンスが減ってしまう
強制的に多様性と踏み抜きを伝授するシステム■
【たようせい 多性様フォビア】
- 過剰流動性(変化の激しい多様化社会)のもとでの幸福を確保するには
- 多様化社会の中で、日本的ヘタレが感情的安全を持てるようにしてやるには
- 異質性(ノイズ)に出会わないようにしてやる
- でもそれでは「ノイズに出会うかも」と考えるだけで不安になる:
多性様フォビアを量産してしまう
- ならばノイズ耐性をつけさせなければ。
【ちいきしゃかい 地域社会】
【ちしきじん 知識人】
【ちょうてい 調停】
- 発生している対立を、相対主義の視点から、第三者として「こうしたほうがいいのではないか」と調停の提案をすること。対立の利害の外から、アドバイスをする。
- 「〜〜であるならば、**したほうがいいだろう」 →if-then文
■
- → 美学としてのゲームプレイ
【ちょくしん 言説の直進力】
- コンテクスチュアリティ(文脈依存性)を片端から暴かれ、空間を直進する力/ベクトルを失ってしまう言説
それでも直進力を与えるためには、どういう工夫をすれば良いか。
- 民主主義こそが言説の直進力を担保すると見るがゆえ、「敢えてする近代主義者」(ex.ハーバーマス)
は、「合意」概念をもち出す。
【てきおう 適応/適応力】
- →平凡化
- 「適応」としての「社会化」/「適応力」としての「教育」
「社会化=適応」よりは「適応力」が「教育」の本質
- 前提を供給し合う循環
- 「疑いつつ適応せよ」(適応力主義)
- 「疑うにも適応基盤が必要」(適応主義)
- ベタな「適応」に対し、「適応」の自明性を疑うのがメタな「適応力」
【でぐちひろし 出口汪】
【テクネー】
- テクネー:自然界に隠れているものを能動的にあばく方法
- →ポイエーシス:自然界から湧きあがる力を受動的に受け止めていく道
【デザイナー(設計者)】
【デプス】(深み)
- 「不可視なものが、見えるものを規定している」という感覚。
一九世紀的な「潜在性の思考」
- 世界には裏の構造がある/一皮めくれば次元の違う支配構造がある/それさえもさらに一皮めくれば…
→ 『デプス:リセットやチャンネル変更』
- 60年代以前:
社会には目に見えるよりも深いデプス「世界の謎」があって当然だった世代。
- いまの若い連中には「大人になるにつれてデプスが見えるようにならないと、バカを見る」という感覚がない。
-
→世の中をうまく渡ること →セカイ系 →世代
【てんとう 転倒】
【てんのうせい 天皇制】
【とうぎ 討議 闘技】
- 討議のフィールド(=アゴーン)
- 全員討議/資格者討議
- 合意を最大多数の最大幸福という文脈で議論するのではなく、全員が、どこまでも全員が、ある種の問題設定に関して合意に至れると「思えるか」が重要。
【とうぎょろん 統御論的な議論】
【とうだい 東大系】
- →京大系
- 「学びの共同性」系列の議論。
- 「田吾作平等主義」を前提として俗情に媚びてきた東大系の連中が、教養を欠いた教育批判を、さももっともらしくぶっている。
- 格差批判を通じて過剰な「機会の平等」を主張する。
過剰な「機会の平等」は「結果の平等」に堕す。
- 万人向けの公的教育護持:日本の教育は一枚岩的な従来型プラットフォームを守るべき。
【どうぶつ 動物化】
- 東浩紀氏の用語。
- 自分の欲望に忠実で、他人に影響されず、しっかりと自己決定する。が、その自己決定の実態は、データベースのなかにある情報的な分身=履歴情報との往復運動でしかない。その過程に、超越論的な自由は入る余地がない。
- 厄介な「意味」の回路(→物語)を介さずとも、技術的にさまざまなコミュニケーションが可能になってきたという状況を念頭に置いて言う。
- 「意味」をはずした「強度」には、差異を調達するためのリソース「濃密さ」が不足し、「飽き」に至る。
- 生物学側にとっては、かなり直感的にわかりづらい語。
カギとなる概念に、意図されたものとは異なるイメージを喚起してしまう語をあてられてしまうと、けっこう脳内翻訳がしんどい。
【とくていにんしょうせい 特定人称性】
【とくめい 匿名的コミュニケーション】
【トタリテート】(全体性)
- →全体性
- 宮台真司関係の一部でしか使われていない語 〜マンハイム由来
日本では丸山真男がマンハイムから大きな影響を受けている 〜ウィキ
【トックヴィル主義】 ネオ・トックヴィル主義
- ex.ヒラリー・クリントン
- 近代固有のリスク
- 平等という要請から社会が分解され、社会的個人が原子化する。
- 自由の要請から規範消失、価値相対主義へ
- トックヴィル主義
- 共同体のなかの既存の紐帯に着目し、強化したり回復したりしようとする
- 紐帯は、外圧によっては作り出せない、とみなす
『トクヴィル 平等と不平等の理論家 』宇野 重規 講談社 (2007/6/8)
- ネオ・トックヴィル主義
- 再帰性の観点に立って、紐帯そのものを作り出そうとする。
- 頻繁なタウン・ミーティングや教会の奉仕活動への参加の奨励
- 地域に密着した物々交換経済の促進
- 情報交換的・討論的なフォーラムの展開
- 紐帯の創造というよりは、紐帯によって大衆的感情を沈静化し私的利害を調整する中間集団によって市民社会を埋めようとするフィールグッド化
【トリックスター】
- →奪人称性
- 異邦人
→第三者
- 共同体の(再)建設時には利害の超越者として歓迎される
- 建設後には政体の正当性を脅かすものとして排除される
- 異邦性の排除を含む建国の物語を、「真理の言葉」として読み替えることで安定した統治を実現する方法論。
【どろぬま 泥沼の再帰性】
- 底が抜けた状態。自明性が崩壊した状況。
「全て恣意的だから何でもあり」
- アノミー化する(途方に暮れて混乱する)。
- 相対性を踏み抜き、どこにも真理たる真理はないと見抜き、立場としてのよるべをなくした状態。 →「奈落」
→踏み抜く
- どの言語ゲームが優越するかを相対的に論じる行為も、もう一つの言語ゲームでしかないという、無限後退構造。
- 「この社会に意味がない」という感覚をテクノロジーが後押ししている。
- →多様性フォビア
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幸福論remix:
『0,a,ア行』
『カ行』
『サ行』
『タ行』
『ハ行』
『ナ・マ・ヤ行』
『ラ・ワ行』
『幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について』
宮台 真司, 鈴木 弘輝, 堀内 進之介 (著)
日本放送出版協会 (2007/03)
『波状言論S改 社会学・メタゲーム・自由』
東浩紀,北田暁大,宮台真司,大澤真幸,鈴木謙介
青土社 (2005/11)